ソードアート・オンライン ~幼い心は強く~   作:紅風車

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第十八話

 

「・・・ユキ?」

 

ユウキが目を覚ますとベッドには自身の夫となったユキがおらず、一人になっていた。

 

「ど・・・こ・・・?」

 

見渡すもユキの姿が見えず、ユウキは不安と孤独が頭の中を埋め尽くす。

 

「ん~・・・」

 

「ユキ・・・?」

 

「ん、おはよう」

 

ひょっこりと別室から出てきたのは長い黒髪を一つに纏めて括っているユキ。

白いタオルで更に軽く纏めあげており、その頬は朱く染まっていた。

 

「ユキぃ~!」

 

「わっ・・・ど、どした・・・の?」

 

「だってぇ・・・起きたらいないんだもん・・・」

 

「ん・・・お風呂入りたかった」

 

「ホントだ・・・良い匂い」

 

ユキが先程まで居たのは洗面所で、そこから浴室へと入れる。

まだ乾かしていないからかユキの髪の毛はしっとりと濡れており、シャンプーの匂いがしている。

 

「ボクも入ろうかな・・・」

 

「ん、待ってるよ」

 

「じゃ、じゃあ入ってくるね!」

 

寝汗などでぐっしょりしているユウキはすぐさまお風呂へと向かう。

その間にユキはストレージで何か無いかを探すことにした。

 

「ゴミだらけ・・・」

 

見た目が女の子のユキはそれに惹かれてか、綺麗好きにもなっていた。

それはSAOでも同じでストレージ内部の使わないものは廃棄していることが多い。

売れるものは売ろうと決めているため置いているのだがそれでもストレージの空きは確保していて損はない。

 

「ん・・・?これ」

 

そうして整理も兼ねて漁っていると、一つのアイテムに目を付けた。

それは『ハイウェーグの胸肉』というもので、言わば鳥系の食材肉だった。

また、部位の食材となるとレア食材で料理プレイヤーからすれば高い価値がある。

 

「・・・どうしようかな」

 

出現率が高いハイウェーグだが、食材アイテムは二つ。

討伐数は既に数千を超えているだろうと考えてかなりのレア食材と考えられる。

 

「はふ~・・・良いお風呂だったぁ~」

 

「ん・・・」

 

洗面所から出てくるのはタオル一枚を巻いて出てきたユウキ。

ユキと同じように髪の毛を纏めあげていた。

 

「髪の毛、乾かさないの?」

 

「ユキも乾かしてないでしょ?」

 

「ん・・・駄目。乾かすからそこ座って」

 

ユウキがベッドに座るとユキが後ろで櫛とドライヤーを持って乾かし始める。

ユキの黒色とは違い、紫色が入った黒髪だからか色の深みが違って乾かしながらその髪を羨ましく思うユキだった。

 

「~♪」

 

「どうか・・・した?」

 

「ううん、慣れてるの?」

 

「ん・・・自分の髪も長いし・・・」

 

「・・・そっか。終わったらユキのもするね」

 

「ぇ・・・う、うん」

 

ユウキがやると言うと何故かユキが照れた様に顔を伏せる。

それは今までずっと一人で乾かしていたために、誰にもそれをしてもらったことがない。

ユキにとって自身の長い黒髪は恥ずかしい物ではなく、ユウキも褒めてくれたからか自慢出来る物になっていた。

それを自分以外、それもユウキにしてもらうというのは嬉しい物があるのだ。

 

「ん・・・もういいかな」

 

「ありがとう!じゃ、次はユキだよ」

 

「・・・ぅ~」

 

「熱かったら言ってね?」

 

「ん・・・」

 

ユウキはユキの半乾きになっている髪を一度梳きなおしてからドライヤーで乾かしはじめる。

自分の髪と同じぐらい長く、指を通せば梳き通るそれは嫉妬を通り越して羨みの気持ちが出る。

 

「綺麗だね・・・ユキの髪は」

 

「ん・・・」

 

「サラサラだし、ボクの髪とは違って綺麗な黒色だし」

 

「嫉妬・・・した?」

 

「・・・少しね。でもボクの旦那さんは綺麗で可愛いからね!全然気にしないよ」

 

「綺麗・・・可愛い・・・」

 

「ボクからしたらね。でも格好良いよ?守ってくれる時の表情とか、その・・・ベッドでしてるときとか。男の子なんだなあって思うもん」

 

「ん・・・」

 

そうしてドライヤーを止めて念入りに櫛で梳いていく。

髪の塊を作らないようにゆっくりと優しくするユウキにされるがまま梳かれているユキは姉妹のようだった。

 

「よしっ、出来たよ」

 

「ん・・・ありがと」

 

「それとね~、鏡見てみて」

 

「・・・?」

 

どこか楽しそうな感じになっているユウキに言われてユキはストレージから手鏡を取り出す。

するとユキの長い黒髪は蒼いリボンで後ろに括られているが、全てではなくある程度だけだった。

 

「ん・・・これ」

 

「どうかな?ユキって目を見せたくない見たいだからある程度残して括ってみたんだけど・・・」

 

「大丈夫。ありがと」

 

返答はいつも通り素っ気ないが、心なしか嬉しそうであり、鏡でいろんな角度から付けられたリボンを見ている。

 

「ん、そうだ」

 

「どうしたの?」

 

「お返し。座って」

 

ユキが早く早くと言うためユウキはまた座ると自分の髪の毛が弄られることがわかる。

 

「こうして・・・よしっ」

 

「もういいー?」

 

「うん!はい、鏡」

 

ユキに手渡されて自分を写し出す鏡を見るとユウキの赤いカチューシャの近くには少しだけ髪を括った細いリボンが付けられていた。

黒紺髪に合う赤色で、ユウキの天真爛漫なイメージと大人っぽい感じが加わった。

 

「綺麗だよ、ユウキ」

 

「えへへ・・・有り難う」

 

「ん・・・よし、外行こう?一緒に歩きたい」

 

「うん!しっかり守ってね?ボクの旦那さん」

 

「ん・・・」

 

そういってユウキは手を差し出すとユキに捕まえられて宿屋の部屋を出る。

二人仲良く歩く姿は周りのプレイヤーからすれば驚愕物だろう。

 

 

あえてユウキは左手を誰かに見せ付けるようにしており、その薬指は指輪があるのだから。

 

今までユウキを狙おうとしていた男プレイヤーは驚愕とその本人を娶った相手に対して嫉妬などを思う。

 

「ユキ、どこいこっか」

 

「ん・・・じゃぁ・・・」

 

ユキは自分でも変わったなと思いながら、ユウキに考えていた事を話した。

最初こそユウキも少し驚いていたが、それを想像して楽しく思えるのか喜んで承った。

それは一体何なのかは、二人だけが知る物なのだから。

 

 

 

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