ソードアート・オンライン ~幼い心は強く~   作:紅風車

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今回中途半端に切れますがご容赦ください。


第二十二話

とある日、SAO内アインクラッド第七十四層主街区。

ユウキを連れて転移門前でキリトとアスナが来るまで二人で待っていた。

 

「それにしても遅いね」

 

「ん・・・」

 

俺はユウキの膝の上に座らせされており、ユウキの事を知るプレイヤーから好奇の目で見られていて居心地が悪い。

元々人の目は嫌いだし、ユウキが居なければローブを着ていたぐらいだ。

 

「うぅ・・・」

 

「ん・・・あっ」

 

だが、ユウキはそれに気づいたようでストレージからローブを着せてくれる。

 

「これで良い?」

 

「ん・・・」

 

「・・・ふふ」

 

周りにばれない程度でユウキに擦り寄るとユウキが手を前に動かす。

傍からは落ちないように支えている様に見えるのだろう。

こういう気遣いをしてくれる部分も好きになった所なのかな。

 

「ん~・・・」

 

先に来て数十分ほど。

ベンチで待っていると転移門が光り輝いた。

そしてそこから慌てるように出てくるのはキリトとアスナ。

 

「うぉおおぉ!?」

 

「ひゃあぁぁ!」

 

「ん・・・」

 

すぐに二人は立ち上がるとキリトがアスナを転移門から隠すように後ろに移動させる。

その光景を見ていたユウキは変に思っていたようで、俺に耳打ちする。

 

「あれ・・・なんだろ?」

 

「ん、何かから逃げてる的な」

 

「なのかな」

 

「さ・・・わかんない」

 

あの光景だけでは何とも言えなかったが、その答えがすぐに分かった。

転移門がまた光り輝くと、そこには長身で痩せ細った男性。

白と赤の甲冑で十字架が入ったそれはSAOの最強ギルド《血盟騎士団》の証明。

 

「アスナ様!ここでしたか」

 

「く、クラディール!あ、あなたどこまで来るつもりなのよ!」

 

「何を言いますか!私の任はアスナ様の護衛です!それには当然街や家であろうとお守りするのが役目でございます!」

 

「ふ、含まれないわよ!それに団長はそこまでするようには言っていないはずよ!」

 

アスナとクラディールと呼ばれた男性は言い争いをしていた。

内容は聞く限りストーカーだけど・・・。

ユウキも聞いてるだけじゃすごく嫌そうな顔をしてる。

 

「ん・・・」

 

「あ・・・ごめんよ。ちょっと・・・ね」

 

「ん、大丈夫。・・・行こ?」

 

アスナ達の所へと行くとクラディールの視線が少し動いた。

俺はローブを着ていて分からないが、ユウキは名のあるプレイヤー。

大手ギルドからすれば喉から手が出るほど欲しい人材だ。

 

「これはこれは、《絶剣》ユウキ様ではありませんか!」

 

「ちょっと、クラディール!?」

 

「アスナ様、私はユウキ様が未だギルドに入っておりません。それゆえに狙われるのですからそれならばと」

 

「あはは・・・アスナ。ボクは入るつもりも無いから。勧誘は・・・ごめんね」

 

「ならいいのだけど・・・」

 

「ユウキ様、体験でも構いませんよ?ギルドの雰囲気を感じていただくだけでも大歓迎でございます!」

 

そういうとクラディールがユウキの手を掴もうとした。

今までの俺なら何も思わなかった。

だけどいつからか、こんな些細な悪意や敵意にすら過敏になりつつある。

 

「なっ・・・!」

 

気づけば神速の如き早さで霊想刀を引き抜いていた。

忌ま忌ましそうに俺を見てくるが、刀が見えなかったことが悔しいようだ。

 

「貴様・・・何のつもりだ」

 

憤怒の表情で見てくるが、何も怖いとは思わない。

たかが殺意にも等しい目を向けられようが、それ以上を出すことなんて出来ないのだから。

 

「・・・失せろ」

 

自分でもこんな声が出るのだなと思うぐらいぞっとするものだった。

 

「この・・・餓鬼が!」

 

少し威圧すれば丸出しにして来る。

沸点が低いし、戦闘でも弱い部類だ。

 

「・・・餓鬼にムカついてる。馬鹿、だね」

 

「糞・・・!」

 

譫言のように呟くと後ろを振り返ってどこかへ行った。

あんな言葉で頭にきてるのならギルドなんてやめれば良い。

所詮、人なんて信じるだけ無駄なのだから。

 

「ユキ」

 

「ぁ・・・ん・・・」

 

名前を言われるとユウキが心配そうに俺を見てきた。

今まで通りに戻すとユウキの隣に移動して手を握った。

 

「ユキ君。その・・・ごめんなさい。私の団員の問題なのに」

 

「・・・別に。ユウキに触れられる方が嫌」

 

ぎゅっと手を握ると、少しだけ強く握り返された。

今ここは人の目が多いから、こういった触れ合いしか出来ない。

それだけでも別に構わないし、大丈夫。

 

「ん・・・行こ?」

 

「・・・そうだな。そのあとの問題はその時考えよう」

 

「そうだね、行こっか」

 

「おいで、ユキ」

 

「ん・・・」

 

ユウキの広げられた手の中に入るとそのまま持ち抱えられる。

周りのユウキを知るプレイヤーが見てきたけれど別にどうでもいい。

ローブを着てるから姿は見えにくいし、見えても俺の見た目は男には見えないだろうから。

 

「相変わらずだね・・・ユキ君とユウキは」

 

「まったくだ・・・」

 

「あはは・・・」

 

街を出て迷宮区へと向かう途中、雑談などをしていた。

ユウキにずっと抱えられていたが道中の戦闘は《秘天剣》スキルで一切鉢合わせが無い。

だがこのスキルは使っていて分かったことはあった。

《秘天剣》スキルの一部は俺自身の技が入っているからか、連発し過ぎると疲労がとてつもないほど掛かる。

使いすぎれば頭痛や眩暈もある所から脳の異常系がナーヴギアを通して感じてしまうのだろう。

現に道中の戦闘回避もある程度思考力が必要で、体が怠いなと感じる。

 

「・・・ま、良いか」

 

「んー?どうかした?」

 

「ん・・・何でもない」

 

こう見えてユウキは勘が鋭い。

見えない姿でも気配的な物を感じるらしく、天性の才能だろう。

 

「ふーん・・・?」

 

俺の小さな動き等ですら察知したり、先読みするために隠し事は出来ない。

それでも心配をかけたくはないし、ばれればその時だ。

 

「ん・・・着いた」

 

「ああ。前衛は俺とユキで交代にアスナとユウキで行こう」

 

「良いけれど・・・一人でやり過ぎないでね?」

 

「分かってる。ちゃんと引くときは引くさ」

 

「ユキもだよ?無茶しないでボクと変わってくれて良いからね」

 

「ん・・・分かった」

 

無茶し過ぎるとユウキには怒られるが、《秘天剣》で暴れ散らすつもりだったから控えめでやろう。

 

「じゃあ、行くぞ」

 

キリトが先行してその次に俺が続く。

《秘天剣》スキルをフル稼動させると、視界の右上にその効果表示がされる。

『自動回復』『自動索敵』『夢幻剣』が常時発動する。

装備している武器の耐久値がゴリゴリと減りまくるが俺の武器は生憎無限なので問題はない。

唯一あるとすれば『夢幻剣』が発動中は頭をずっと使うため疲労がかなりある。

その気になれば無視できるがユウキの前だと出来る気がしない。

 

「・・・ねえ、ユキ」

 

「ん・・・」

 

「そのスキル・・・もしかしてかなり疲れる?」

 

「・・・うん」

 

「使っちゃ駄目って言っても意味ないだろうからね。せめてしんどくなったら言ってね?ボクだって守られてるだけじゃ嫌なんだ」

 

「・・・分かった」

 

夢幻剣は不可視で、簡単に言えば俺以外には見えない斬撃。

黙って使えば良いのだがユウキなら気づきそうなので仕方ない。

 

 

迷宮区に入って数時間ほどしてセーフティエリアに着くと休憩することになったが・・・。

 

「ん・・・」

 

「えへへ~・・・」

 

「ユウキ・・・少しはね?」

 

「ぁ・・・ごめんよ・・・」

 

座り込むとユウキが俺の手を引っ張って膝の上に座らせると思いっ切り抱きしめられる。

力で言えばSAO内なら負けないが現実世界だと単純な力は負ける。

 

「ぎゅむー」

 

「・・・お昼ご飯、抜き」

 

俺が小さく呟くと手を退ける。

ユウキもこういったことには弱いのを知っているが、あまり使いたくない。

何かで人を釣るのは好きじゃないから。

 

 

 

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