4月入ってからPS4が届きまして、最近話題の狩猟ゲームをしていたので完全に執筆が進んでないんですね。
更新速度に関しましては元々不定期のため、遅くなれば早くもなりますのでご容赦下さい。
アインクラッド第七十四層迷宮区。
最深部にて待ち受ける牡牛と金属を打ち合うのは幼い子供の姿。
カン・・・カン・・・と金属同士を打ち合っているがその光景は異様だろう。
自身よりも遥かに巨大な相手を前に怖じけず、怯むどころかその闘士は上がっていた。
狂気とも言える狂った表情で整った顔は歪んでいた。
幼い頃から人というモノを見て視ていない。
殺す事に戸惑いすら感じず、ただ殺戮を楽しむ。
それこそが優紀という少年であり、ユキの本性。
「ふふっ・・・軽い・・・もっと・・・もっと・・・」
今までの戦闘では感じ得ない気持ち。
それはすなわち第七十四層のフロアボスでようやく少年の本気が出始める。
「さぁて・・・ふふっ・・・」
少し牡牛から距離を取ると、手に持っていた武器を入れ替えた。
ただ武器を持ち替えただけなのに、ユキの表情は勝利を確信した表情へと変わる。
「生きて、帰れると・・・思った・・・?」
《秘天剣》スキルの製作者でもあるユキにとってこのユニークスキルこそがユキの現実世界の技を模写したものと言える。
それこそ殆どはシステム的アシストがなければ行使できないが、一部は現実世界での剣の技の奥義だ。
「・・・
SAOのソードスキルは発動の動きを取れば自動的にシステムが動かす。
だが動かされるだけではなく、プレイヤー自身も動けば普段よりも強いアシストが掛かる。
断命剣と呼ばれたその技もユキからすれば己の剣技であり使い慣れた物だった。
ただ二刀を一直線に引き抜く。
それだけの行動の極地に、この技に到るまではその強さが価値が分からない。
「ん・・・」
神速の如き引き払われた剣は牡牛へとても重い一撃を与えた。
その効果は、
つまりは、牡牛の胸にある心臓部分へと当たったそれは急所判定。
ボスすらも悉くその命を断ち切った。
「Congratulation・・・か」
無機質なそれは表示を見ると結晶アイテム無効化エリアの制限が消えたような感覚があった。
そして重厚に閉ざされた扉も漸く開きはじめると一目散にユキへと飛びついて来る人物がいた。
「ユキ!」
「んぅ・・・ユ、ユウキ?」
「大丈夫・・・!?怪我とか・・・何も無いよね!?」
「ん・・・だい、じょぶ」
ぎゅうっとユキが生きていることを確認するのはユキの恋人のユウキ。
だがその瞳には大量の涙があり、目元が腫れていた。
(こんなとこまで、現実・・・)
プレイヤーのプログラムはあまり関わって居ないためユキはそういうことには疎い。
SAOはそういったトイレ等がないため現実感が無かったが、それでもしっかりとしたもう一つの世界。
「ユキ君!大丈夫だったの!?」
「ん・・・このとおり」
「それでもだ・・・転移結晶は?持っていたんだろ?」
「・・・結晶アイテム無効化エリア」
「「なっ・・・」」
ボスフロアにそのようなギミックが入るとは想像していなかったのか、驚愕の表情を浮かべる。
ユキに抱き着いてまだ泣き止まないユウキには聞こえていなかったようだが。
「・・・つか、れた」
極度の戦闘状態による狂気に等しい興奮と人から外れた剣技を模写しただけでユキの身体は一気に力が抜けていく。
《霊剣》の効果時間が切れていたがそれのノックバックが今になってやってきていた。
「ユ、ユキ!?大丈夫!?ねぇってば!」
いきなり目を閉じてユウキへと身体を預けた為になにかあったんじゃないかとまた涙が溢れそうになるが、ユウキの耳元で静かに整った呼吸が聞こえはじめると優しく抱きしめて抱えた。
「あはは・・・寝ちゃったみたい」
「いきなりだな・・・最も一人で相手したからな」
「ホントだよっ。死んじゃうかと思ったんだか・・・らぁ・・・」
ユウキに抱えられ寝てしまった少年を責めはしない。
当然恋人であるユウキが起きたあと泣いては怒ってまた泣いたりしたが、それはまた何時か。
時刻は7時0分。
SAO内第二十二層にひっそりと建つ家。
隠れ家的な雰囲気があるその中には二人のプレイヤーがベッドで共に寝ていた。
「す~・・・す~・・・」
「んぅ・・・?」
長い黒髪に異質とも言える蒼眼。
「くぁ・・・ぁう・・・」
目覚めたばかりでまだはっきりとしていないが、その声色は幼さが抜けない女の子に近い。
「は・・・ふ・・・」
見た目は女の子だが男の子であり、SAO最強とも言われその姿を見るものが居なかった事から《孤高の剣士》と呼ばれた。
「まだ・・・寝てる、かな」
ユキの側でまだ夢の中にいるのは紫紺色の髪でユキよりも少し背が高い少女。
ひたすら独りであろうとしたユキを止め、恋仲になり運命共同体とも言える。
「ん・・・ゆーき」
まだ寝ている少女の頬を軽く突けば小さな唸り声を上げるとまた寝はじめた。
「・・・ふへへ」
だらしのない声を上げるがユキにとって
無意識的にそう脳内でユキ自身が刷り込んだそれは依存だろう。
だがそれを咎める者はおらず、ユウキからすれば同じ思いを抱き、そして依存している。
お互いがお互いを思うあまりにどちらかが居なくなれば壊れてしまう程だ。
「んぅ・・・にゃに・・・?」
夢から覚めたのか、目をパチパチと瞬きさせユキを捉える。
「ゆ、き~」
寝起きだからかあまり力が入っていなかったが、それでも起きてすぐのユキを押し倒す事は出来ていた。
「ぁ・・・」
「ん~♪」
ユキにスリスリと擦り付けており、まだ寝ぼけか声もはっきりとはしていない。
「ユウキ、朝だよ」
「んぅ・・・?んにゃあ・・・」
「ユキ・・・?」
ぽ~っとしていたユウキは漸くはっきりとしだすと顔が少しずつ赤く染まっていく。
先程の行動が記憶に残っていたのだろう。
「ん・・・おはよう」
「う、うん・・・おはよう」
「お腹、すいた」
「朝ご飯・・・食べよっか」
「ん・・・」
少し恥ずかしさを覚えつつユウキはユキの手を引いて寝室を後にした。
幸せそうにする幼さが残る二人はいつも通りSAOというゲーム内の監獄で過ごす。