ソードアート・オンライン ~幼い心は強く~   作:紅風車

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第二十六話

ぼやける光景。

鬱蒼とした森林にて、さまよい歩く少女。

力が抜けたように地面へと倒れ込む少女の近くには一人のプレイヤーが見ていた。

 

ただその身体を動かすことはしなかった。

人として見ていない様な目に少女の姿は映っていなかった。

 

「・・・」

 

そして少し時間が経てば。

少女の姿は青く輝き、データの破片となって消えていった。

 

「ん・・・」

 

消えて散って行くのを見届けた人物はゆらりと体を動かして森林を進んだ。

 

「ユキー!」

 

森林の中からは名前を呼ぶ声が響いていた。

よく透き通る声である人物からすれば最愛の人の声。

 

「ん・・・ユウキ」

 

「居たっ!心配したんだよ!?」

 

「・・・ごめん」

 

「全くー!」

 

紫紺色の髪に深紅のような瞳の少女。

腰にまで届く長い黒髪に前髪に隠れているが少女を見詰める蒼い目の少年。

 

「ん・・・」

 

何事も無かったかのようにユキはユウキの手を繋いで家路へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

月の光が窓から差し込む時間に目が覚めたユキは隣で寝ているユウキを起こさないようにベッドから出ると外へ出ていく。

 

「・・・MHCP、か」

 

気分転換と考え事をするため夜風に当たりに来たユキは森林にて見つけた少女の事を考えていた。

 

「なんで・・・カーディナルが何か、制限?」

 

何故MHCPがあのようにアバターとして実体を持ち、アインクラッドに出てきたのか考えていた。

SAOの情報を大きく操作しているカーディナルシステムはユキの手により作り出されている。

その際にSAOにて精神や不安等を解消するために生み出されたカウンセラーがメンタルヘルスカウンセリングプログラム(MHCP)だった。

無論このプログラムはユキが作っており、感情や表情に思考、記憶などを全て手掛けている。

 

「・・・あのまま、だと異常、異物・・・排除、か」

 

本来ならば有り得ない為にカーディナルシステムはMHCPを消そうとするだろう。

勿論ユキはそれを阻止する術を知っているが、この場では出来なかった。

 

「・・・コンソール、あればな」

 

コンソールはゲームマスターがゲーム内でGM権限を行使するために必要となる装置。

ユキのアカウントは開発者として使えるためアクセスが可能だがそれが存在する所は第一層にある。

 

「ん・・・」

 

考え事に耽っていると近くの草村が少し動いた。

風による動きではなく人為的。

 

「・・・誰」

 

プレイヤーから無意識に発生する情報。

呼吸、動作、移動、音、風。

ユキはそれら全てを捉えると隠れているプレイヤーを見つけると一瞬で加速する。

 

「ひゃっ」

 

プレイヤーの目の前に出ようとすると、迫って来るユキに驚いたのか小さな声を上げた。

 

「ん・・・」

 

「ぁ・・・え、えと」

 

「・・・誰」

 

ユキの目の前には幼い少女が慌てて言葉を詰まらせていた。

武器こそ出していないがそれでも体術だけで倒せるステータスをユキはもっている。

 

「わ、わたし・・・そ、その」

 

「ん・・・はぁ」

 

あまりにも慌てすぎてパニック状態になっている少女から悪意を感じないからかユキは警戒を解くと少女の足と背中に手を伸ばして持ち上げて抱えた。

 

「ふぁ・・・あ、あの」

 

「少し、落ち着いて、ね」

 

「は、はい・・・」

 

お姫様抱っこされている少女は顔を朱くしているが何も出来ないのでユキにされるがまま抱き抱えられていた。

程なくして家に着くと寝室に連れていった。

ユウキはまだ寝ていたが静かに行動した。

 

「ん・・・静かに、ね」

 

「は、はい」

 

「・・・君は?」

 

「私は・・・ルルです」

 

「ん・・・一人?」

 

「はい、一人です」

 

「ん、そか」

 

「・・・貴方の、名前は?」

 

ルルという少女はユキを呼ぶときの言い方が引っ掛かった。

ユキの姿は初めて見る人は基本的に幼い少女にしか見えない。

一発で看破出来る者はおらず、誰もが勘違いを一度がしている。

なのにもかかわらずルルはユキが男だろうと確信した言い方だったことに気になった。

 

「・・・なんで男って分かったの?」

 

「えっ・・・?違うんでしょうか・・・」

 

「・・・生憎一発で看破した人居ないから。君は、プレイヤー?」

 

「え、えと・・・」

 

「それとも、MHCPなのかな」

 

ユキの手によって生み出されたMHCPは二つある。

その識別名として名前が着いているが、その一つに《MHCPーLuLu》という物はたしかにあるのを覚えていた。

 

「っ・・・」

 

「ん・・・とりあえず、寝る。おやすみ」

 

「ふぇっ・・・!?」

 

眠気が程々に襲ってきたユキはルルとユウキを抱きしめる。

突然抱きしめられて動けなくされたルルは何も出来ない事がわかると目を閉じた。

 

 

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