ソードアート・オンライン ~幼い心は強く~   作:紅風車

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書き溜め分が無くなれば書き終わり次第投稿となります。
SAOにさっさと入れたいので。


第三話

いつも通り俺は学校に通う。

独りで登校は慣れたから良いけど時折友達同士で登校している子を見ると羨ましく感じた。

まぁ・・・自分には出来ないだろうし、あんまり寄って来なさそうな気はしてるから良いや。

 

「・・・寒い・・・な」

 

通り慣れた道を歩いているとふと気になった子を見た。

自分と同じように腰にまで届きそうな長い紫色の髪の毛を持つ女の子。

頭には主張が強いアホ毛がピコンピコンと跳ねている。

夜々が言うにはアホ毛は本人の大事なところだから抜いては駄目と聞いているけど・・・実際に見てると凄い抜いてみたい。

まぁ喋った事も無いし関わることは恐らく今後も・・・無いかな。

 

 

だが、それは不意に訪れるものだ。

本人すら予期せずに。

 

 

小学校は義務教育の一貫なので渋々受けているけれど正直これなら家でご飯を作る方が楽しい。

どうせ授業内容はつまらない。

分からなくてつまらないんじゃなくて知っているからこそ面白くない。

知っている知識でもそれをどう教えていくかによってそれを受けている生徒も変わりそう。

楽しい授業ならその分その内容は印象強くなるだろうし。

静かな授業なら面白くない分印象は弱い。

でも俺は面白くないからだけで寝るわけではない。

じゃあどうするか。

自分の席は窓側でちょうど左側を見れば外の景色が見える。

授業中は基本的に外を見ている。

先生も気づかないわけではないので当てて来るも俺に詰め込まれた知識は問題なく返せる。

この辺りは研究所に感謝かな、したくないけど。

 

そんなことを考えていれば授業が終わるチャイムが鳴り響く。

そしてこれは4時間目終了のチャイムなので次はお昼ご飯の時間なのだ。

ここの小学校は弁当持参となる。

席も自由に移動していい分、やはりハブれて来る子はいるものだ。

 

「・・・どっかいこ」

 

この席も誰かが座っている形跡があるのでその子のためにも俺は学校指定の鞄を持つとお昼ご飯を食べるために屋上に行く。

屋上は本来危険性を考慮し開いていないがあんな程度の鍵ならピッキングで数秒あれば開けれる。

しかし今日は何となく変な感じがした。

屋上に行く階段は殆ど使われることが少ないので埃がちらほら見える。

でも誰かが来たのであろう自分よりも大きい足跡が目立つように見えた。

 

「・・・誰か、来ている?」

 

そんな予測と一応の警戒をしてドアノブを捻った。

すると、本来俺以外はいないはずの屋上には。

 

 

朝登校時に見えた紫紺の髪の女の子と、その子を囲むようにいる女子数名。

 

 

瞬時に悟った。

これが虐めなのだろうと。

俺は虐められるのは良いけどする方には絶対になりたくない。

する理由も利益も無いから。

 

「・・・ぁ」

 

「・・・・・・・・・・・・!」

 

関わるのも嫌だ。

だけど、あの紫紺の女の子は俺を見た瞬間、驚きと悲しみとか色々混ざった瞳を向けてきた。

一つ目は虐めて来る人数の増加。

二つ目は、()()()()()()という彼女の願いとその口の動かし方。

生きるために必要だった技術の一つに読心術ぐらいはある。

あの女の子が声を発さず唇の動きだけで伝えたかった言葉。

 

()()()()

 

俺は大事にはならないよう、紫紺の女の子を囲っていた女子生徒数名に軽めの殺気を向ける。

ただ、殺気を向けただけ。

それだけで青ざめた表情になってすぐに脱兎の如く逃げ出した。

殺気を抑えるとあの紫紺の女の子の所に行って抱っこしてあげた。

 

「へ・・・?」

 

なんか・・・すごい素っ頓狂な声を出されたけど気にしない。

この小学校の屋上には何故か都合よくベンチが置いてあるので女の子を寝かせるようにベンチに寝かせた。

枕がそのままなら痛いかなと思って現在俺の膝の上には女の子の頭が乗っかってる。

 

「・・・大丈夫?」

 

「ぁ・・・うん」

 

「そか。良かった」

 

「・・・ボクの事、その・・・嫌じゃないの?」

 

「・・・?」

 

そういえばこの小学校にはHIVに感染してる子がいるって聞いた気がする。

興味はなかったから名前はしらないけど・・・。

もしかしたらこの子がそうなのかも知れない。

高々HIVに感染してるだけなのにね。

感染した人の体液とか血液に気をつければ良いだけなのに、何故わざわざ虐めに行くのか分からない。

 

「ぁ・・・えと、その・・・傾げられても・・・」

 

「・・・助けて欲しそうにしてた。それだけじゃ・・・駄目?」

 

「う・・・駄目・・・じゃない」

 

「・・・君はHIVキャリア?」

 

「っ・・・うん」

 

「そっか」

 

「嫌・・・じゃないの?」

 

二度目の返し。

不安・・・なんだろうな。

HIVというのは不治で難病でありながら治せない。

そもそもウィルスに有効な治療薬が無いし。

 

「・・・嫌じゃない。病気で偏見は、嫌い」

 

「・・・ありがとう」

 

「・・・名前・・・聞いても、良い?」

 

「うん。ボクの名前は木綿季。紺野木綿季、だよ」

 

ゆうき。

その名前の字は分からないけど俺と一緒なことに少し親近感を覚えた。

 

「・・・ゆうき・・・かぁ・・・」

 

「君の名前は?ボクだけ教えるのなんて不公平だよ」

 

「あ・・・ごめん。俺は・・・村雨優紀。同じ、名前だね」

 

「ホントだね。ボクのは木綿に季節の季・・・書いたのが分かりやすいかな」

 

ちょうど俺は鞄を持ってきていたので中からノートと鉛筆を渡した。

ゆうきが書いたのは『紺野木綿季』。

俺も自分の字を教えるために『村雨優紀』と書いた。

 

「・・・よろしくね、優紀」

 

「ん・・・よろしく、木綿季」

 

そういう彼女は凄く明るい笑顔で見ていて心を引き付けられる感じがした。

木綿季がHIVキャリアとは思えないほど明るかったから。

 

「・・・授業・・・めんどくさい・・・」

 

「あはは・・・ボクも正直同じ感想」

 

「・・・仕方ない、出てくる」

 

「優紀がいくならボクも出ようかな」

 

「・・・呼びづらくない?」

 

俺の名前と彼女の名前は一緒な為分かりづらい。

ゆうきと呼んでも一緒にいる場合どっちを呼んでいるか分からない。

 

「じゃあ・・・優紀の事、ゆうって呼ぶ。ボクはそのまんま。どお・・・かな?」

 

「・・・ん、良いよ」

 

「えへへ、ありがと、ゆう!」

 

不安げな瞳から一点してコロコロと表情が変わってて見ていて飽きない感じ。

掴みにくい表情だけど一緒にいればこんなのすぐにわかる。

そうしてもうすぐ5時間目を始めるチャイムが鳴りそうだったので、早めに動いた。

 

 

その後もすぐに授業は終わって帰るとき、ふと思った。

帰り道一緒に帰れないかなと。

そう思い校門で待っていると玄関口から待っていた紫紺の少女が見えた。

目立つのは嫌いなので、木綿季が見つけてくれると思い待つ。

 

「ん・・・ゆう?」

 

「木綿季・・・その、一緒に、帰ろ?」

 

断られるかもしれないこの提案、正直不安しかない。

そもそも身内以外と話すことがないから何をどうすれば良いのか分からない。

帰ろうと言った瞬間、木綿季の顔が真っ赤になってボンッと煙が出た感じがした。

 

「ぁ・・・駄目・・・かな・・・」

 

「ううん!だ、大丈夫!大丈夫だけど・・・ゆう!」

 

「んう?」

 

「家族とかボクとか以外にその聞き方はしないほうが良いよ。その・・・あれ・・・だから」

 

「・・・?」

 

ちなみに木綿季さんの心の声↓

(可愛いよぉおお!お持ち帰りしたいいい!止めてぇ!その不安げな瞳で涙目ならないでよおお・・・!それに首をコテンと傾げる仕草の一つ一つが可愛すぎるんだよおおお・・・!!)

とまあ己と戦っていることを知らない優紀は顔を真っ赤にした木綿季を前にどうすれば良いのか分からない感じで返事を待っていた。

 

「・・・と、とりあえず・・・帰ろ・・・っか。うん、普通に・・・普通に・・・」

 

「うん・・・?」

 

「・・・それにもうあまり長く・・・ないからね」

 

木綿季が言った長くないという言葉はよく分からなかった。

でも、HIVを抑える限界が来ているのだろうと思った。

 

「・・・木綿季」

 

「えへへ・・・ごめんね、湿っぽくなっちゃって」

 

「ん・・・大丈夫」

 

帰っていると木綿季の道が途中で分かれたのでそのまま真っすぐ俺は帰ろうとした。

だけどその時、木綿季の目が凄く寂しそうな目をしてた。

 

「・・・木綿季!」

 

「へ?ど、どうしたの?」

 

「・・・置いて・・・逝かないで・・・」

 

「っ・・・!」

 

木綿季に抱き着いた俺はぎゅーっと彼女の暖かみをしっかりと記憶する。

すると木綿季もお返しと言わんばかりに抱き返してきた。

 

「もうっ・・・遅いよ・・・」

 

「・・・ごめん」

 

「・・・待ってるよ」

 

「・・・うん」

 

待ってるというのが死後なのか今なのか分からなかったけど、それで別れた。

あのまま一緒にいたらもっと一緒に居たくなるから。

暖かくて・・・お日様みたいな感じの木綿季は姉さんや夜々とは違った匂いで安心できた。

一緒にいるだけで身体がポカポカとして来る感じ。

 

「・・・早く・・・帰ろう」

 

温かかった身体は外の空気で冷えていく。

しかしそこにはある目標をかがげる幼い姿が立っていた。

 

 

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