ソードアート・オンライン ~幼い心は強く~   作:紅風車

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SAO編:現実の世界
【SAO編:帰還】第三十一話


第七十五層はアインクラッドで大きな重要を持つ。

それは遡れば第二十五層、第五十層と続く。

その意味は、アインクラッドは百層にもなる階層で構成されており、SAOプレイヤーが攻略の際、階層のボス攻略。

ユキがアルゴを経由して情報を渡しており、そのうち二十五と五十のボスはユキですら手を煩わせていた。

 

「はぁ・・・」

 

息を吐きだし、脳内の活動量を変化させる。

ただの少年から殺戮だけをする暗殺者へと。

 

「ボスは・・・どこに・・・」

 

攻略プレイヤーは七十五層のボスフロアに入ったが肝心のボスが不在。

だがユキは()()()()()

当然なのだろう。

 

「しっぺ返し」

 

いきなり空から降ってきた何かをユキは霊想刀と片手剣で打ち返した。

無論、それをしたからといって何もなかったがしなければ大きな被害を出していたのも事実。

 

「なっ・・・!?」

 

「な、なんだあれ」

 

「あんなものが・・・いたのか」

 

キリトも予想していなかったそれは、ヒースクリフをも含めたユキ以外が驚愕していた。

 

「Kyasyaaaaaaaaa!!!!!」

 

手であろう両手には死神を思わせる巨大な鎌。

そして一つ一つが刃物にも思える鋭利な足と尻尾。

 

「ザ・スカル・リーパー・・・あれがここのボスかよ・・・」

 

表示されていくHPゲージは4本。

その迫力は先程の鼓舞を無意味にもさせるほどの巨大さと恐怖を与えた。

そしてその動けなかったプレイヤーはスカルリーパーの巨大な鎌によって薙ぎ払われる。

 

「あぎゃあぁぁ!?」

 

「ぐわぁぁぁあ!!」

 

曲がりなりに攻略組に数えられる歴戦のプレイヤーが。

パリン、と。

一つ鎌が振るわれただけで消し飛んで破片へと変わった。

 

「即死・・・!?マジかよ・・・!」

 

その薙ぎ払う先にはユキも入っていた。

それをユウキが見なかったわけじゃない。

 

「ユキー!!」

 

ユキは両手に持つ刀剣をただ構える。

そして迫って来る鎌を。

 

「牙穿」

 

鎌を根本から穿ち斬った。

 

「はっ・・・?」

 

その異様な光景をただ見ていたプレイヤーはその光景に目を疑った。

自分達よりも幼い子供が目の前に迫って来る鎌を穿ち斬るのはあまりにも異様過ぎた。

 

「GYA!?SYAAAA!!」

 

自分の鎌を壊されるとは考えていなかったのか、怒りながらも残った鎌でユキではなく攻略プレイヤーへと向けた。

 

「ふん!!」

 

その攻撃をヒースクリフの十字盾が防ぐ。

だがその表情は険しく、余裕がないのだろうとわかる。

 

「私が中心にタンク隊で受け止める!その間に攻撃を重ねたまえ!」

 

その声で攻撃隊が一気に動く。

恐怖よりもユキが起こした現象のが大きく、スカルリーパーへの恐怖や不安が軽減されてしまっていた。

 

「・・・はぁ、はぁ・・・」

 

ユキは平然と巨大な鎌を穿ち斬ったが、脳への行使力が尋常ではない技で、連発すればあの時のように発狂しかねない。

 

「ユキ!大丈夫!?」

 

「だい、じょぶ・・・」

 

多少ふらつくも、ユキは武器を構えると特効していく。

己の剣技が充分通用すると分かれば加減はいらなかった。

発動させるは『鏡花の閃』。

かつてユウキとペアで攻略したときにも使ったスキル。

スカルリーパーが攻撃をしようとすればヒースクリフ率いるタンク隊により防がれ、足を動かそうとすれば攻撃隊が蓄積していたダメージで動かせなくなっていた。

つまるところ、スカルリーパーは詰みに入っていた。

 

「SYAAAAAA・・・AAA・・・・・」

 

それが続けば当然、HPゲージはなくなり。

光り輝いてパリンと破片へと砕け散る。

Congratulation!!と表情されたそれを見るとプレイヤーがどっと座り込む。

ただヒースクリフとユキを残し。

 

「・・・そろそろ、良いよね」

 

「・・・やはり気づいていたのだな」

 

「分からない、と思った?」

 

「だが、君以外にももう一人気づいていたらしい」

 

そういってヒースクリフへと突っ込んでいくプレイヤー。

その剣先が当たると紫色のウィンドウが表示され、《immortal object》。

それは不死として扱われ、ユキには当然その意味も理解できる。

 

「やっぱりか。ヒースクリフ、いや茅場晶彦」

 

「やれやれ。ユキ君はともかくキリト君達にはまだ手札を見せていないはずだがね」

 

「一番怪しかったのはプレイヤー戦だ。あまりもあんたは早すぎたんだよ」

 

「ふむ・・・やはりか。あれは私にも痛くやらかしてしまった瞬間だと感じている。その光景をユキ君にも見ていてほしかったがね」

 

ユキとユウキは療養の為、その時の事を知らない。

だが、キリトはユキと違い考え抜いてたどり着いたのだろうとユキは考える。

 

「ユキ・・・お前も、なのか」

 

「・・・」

 

キリトの問いは悲痛だった。

弟分のようにも感じれたユキが開発に関わっていた事が信じれなかったのかもしれない。

 

「・・・キリト。任せたよ」

 

ユキは一瞬にしてヒースクリフのシステムに介入。

ユキ自身が持ちうるGM権限はヒースクリフ同等で、その設定は簡単に変えれた。

 

「茅場。一思いで、良いだろ」

 

「・・・ああ。その方が良さそうだ」

 

「・・・秘剣」

 

目を閉じ、断罪を待つヒースクリフは何も構えずユキへ立っていた。

刀剣を究極にて極限の剣技を放つ構えを取る。

 

「燕返し」

 

二刀流から繰り出された不可視の一撃。

燕を斬るためだけに生み出された剣撃が二つ重なり合い、ヒースクリフへと襲い。

ヒースクリフのHPゲージが一番左端へと動き、アバターが光る。

ポリゴンへと変わり、データの破片へと変わると無機質なアナウンスが流れていく。

 

『ゲームはクリアされました』

 

突如として現れた茅場晶彦というゲームマスターは、第七十五層でその仮想体を散らしていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ユキが立っていたのは黄昏時の空。

落ちる事もなく、地面があるように立っていた。

 

「・・・終わった」

 

姿を隠すため身につけていたローブはなくなっており、真っ黒で綺麗な髪が風に吹かれていた。

 

「帰ったら、どうなる、かな」

 

ユキが最後に寝た部屋は茅場によって用意された部屋だが、そこは本社と近く関わりを探られるだろう。

最悪ユキは獄中で生を閉じる事にもなり得ない。

 

「・・・ま、いいや」

 

だがそれでも構わないと思った。

いまさらユキには罪悪感はなく、やりたかったからやったのだ。

それを悔いる必要はなく、それにより獄へ入ってもいいやと考えていた。

 

「・・・ん、でも会いたい、な」

 

それでも一度感じた温もりは忘れることは出来ない。

ユウキが一緒にいた時の暖かみはユキにとってとても心地好く、一番幸せとも言えるだろう。

 

「ゆう」

 

「・・・ん」

 

その願いは願う前に叶ってしまっていた。

ゆっくり、優しく手を回しユキを抱きしめていた温もりはユキがいつも感じるもので大好きなものだった。

 

「終わっちゃったね」

 

「ん・・・だね」

 

「ユキは、このゲームを知ってたの?」

 

「ん・・・うん」

 

ユキはずっと誰にも言わなかった秘密をユウキへ教えた。

知っていた、という問いを頷くとユウキはそれ以上何も問おうとはしなかった。

 

「ありがとう、教えてくれて」

 

「ん・・・べつ、に」

 

「いっぱい色んな事知ってると思ってて、不思議だっだんだ。でも知ってたなら当然だね」

 

「・・・ごめん、なさぃ」

 

「どうして謝るの?ボクが死なないように色々してたユキを怒る理由はないのに」

 

「・・・怖かった」

 

「・・・そっか」

 

年相応に怖いと告げたユキをしっかり抱きしめて、赤子をあやすように背中を叩いた。

 

「ユキ。ありがとう」

 

「ん・・・どう致しまして」

 

二人はこの世界が崩壊し終えるその時まで、ずっと抱きしめあっていた。

 

 

 

 

 

 

優紀が目を開けると病院特有の光と匂いを感じた。

 

「ん・・・ぁ・・・」

 

どことなく、表情筋が動かない。

自分の身体の異常を感じながら今の状況を目で分かる限り把握しようとした。

 

「・・・寝たきり」

 

優紀からすれば早く愛しい少女の元へ行きたかったものの、それは今は叶わないと考えた。

身体の異常に表情筋だけでなく全身の筋肉がとても衰えていたのが動かす際に分かっていた。

それは帰還する前からずっと。

 

「待っててね」

 

早く動けるように。

帰還後の目標はすぐに決まっていた。

 

 




この後は皆さん知っての通りALOですが、優紀が大暴走します。
優紀のチートっぷりが本領発揮です。
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