Fate/Affection Doll   作:ラズリ487

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第23話 デッドエンド

 ―――時は数日後……決戦の日。

 

「サーヴァントを失い、寿々科翔は脱落」

 

 ここは五の月想海……その決戦場。

 そこは、翔が2回戦で戦った場所に似ている木が生い茂る森の中であった。

 ユリウス・ベルキスクハーウェイは、その決戦場に立っていた。

 この場所へ続くエレベーターをユリウスは使用していない。

 彼は以前、決戦場へと不正規(イレギュラー)な手段を用いて侵入したことがある。

 そのため、決戦場に侵入することは容易い。

 そして、この決戦場で彼を、翔を待っていたのだが、彼が来る気配はなし。

 つまり、それは寿々科翔は、脱落したという事を意味する。

 だがおかしい。それならば、なぜ自分は勝利という事にならないのか。

 それを考える最中、不意にユリウスの手の一部が、まるで映像が乱れたかのように、ぶれ始め、それを見て彼は顔をしかめる。

 

『どうしたユリウス』

 

「……問題ない。お前の无二打(二の打ち要らず)をくらい、生き延びたものなどいないからな」

 

 映像が乱れたかのような、ぶれはすぐに収まった。

 あと僅か、僅かなのだ……

 もう少しで、レオの手に聖杯が届く。

 この体がまだ持つまでに、あの女との約束を果たせれば……

 

「そうですか。ならば、私が最初に生き延びたことになりますね!」

 

「!?」

 

 突然の言葉に、ユリウスは声がした方向を振り返る。

 影から現れる、サーヴァント。

 それは紛れもなく、ユリウスが仕留めたと思っていたパッションリップそのものであった。

 だがありえない、どうして彼女がそこにいるのだろうか。

 

「なぜここにいるみたいな顔していますね。簡単です。私は貴方の一撃をくらってもなお生き延びた。それだけです」

 

 パッションリップは自信満々に言う。

 ユリウスが見渡すも、翔の姿は見えない。

 だが、彼女がここに立っているという事は、翔が未だ生きているという意味にもつながる。

 

「死にかけていたのに威勢の良いことだ。だが肝心のマスターはどうした」

 

「あなたに不意打ちでもされたら御免ですからね。私が代わりに相手をしてあげます!」

 

 未だに翔達はあのアサシンの姿を暴いていない。

 よって今回は白亜から貰った罠を三つ仕掛けることが必要。

 だが、アリーナで仕掛けるには分が悪すぎる。

 なので決戦場で仕掛けることにしたのだが、それではあまりにも時間が無い。

 そのため、リップがユリウス達の前へと立ち、時間稼ぎをする必要があったのだ。

 しかし、相手はユリウス。この時間稼ぎがばれるのも時間の問題であるだろう。

 自身の巨大な腕を構えるリップ。

 それと同時にユリウスではない誰かの足音が、彼の前を通る。

 姿は確かに見えない。

 だが……

 

「姿は見えません。ですが、あなたがそこにいるのはわかっています」

 

 彼は確かに、そこにいる。

 翔が出した結論により、リップを一撃で倒したあの技の正体は掴めていた。

 あれは打撃の瞬間、拳に乗せた魔力を相手の体内に巡らせ、全身の勁脈を乱す技。

 それは、天地万物と武を同一とみる中華の奥義。

 

「呵々! 上出来だ! 二の打ち要らずと謳われた我が拳を見破ったか! そうでなくては面白くない!」

 

 拳法家、クラスはアサシン。そして中国の英霊。

 一撃必殺を生む武術の達人の中の達人。

 そして二の打ち要らず。

 そのように呼ばれた拳法家など、歴史上では一人しか存在しない。

 彼の真名は『李 書文(り しょぶん)』。

 『二の打ち要らず、一つあれば事足りる』と謳われる中国拳法史史上、最強の拳法家の一人。

 さらに彼は槍の扱いにも長け『神槍』ともいわれた人物。

 同じ技をリップは二度もくらう気はない。

 

 ―――だが、それは姿が見えればの話……

 

 マスターを信じ、リップは背を向け、走り出す。

 

「挑発しておいて向かってこないとはな。追うぞアサシン」

 

 ユリウス、アサシンは、走り去るリップを追う。

 既に翔は決戦場に白亜から託された罠を、設置している。

 ならば、あとはリップ自身が誘導するだけ。

 森の中、視界が悪い状況でリップは走っていた。

 この作戦を実行する前に翔から、敏捷強化のコードキャストをかけてもらっている。

 これが効いている限りは、アサシンのサーヴァントに追いつかれる確率は限りなく少ないはず。

 

「もう少しで翔さんが仕掛けた一つ目の罠……」

 

 この罠の性質上、同じところに複数は設置できない。

 なので誘導は全て、リップにかかっているのだ。

 ユリウスが追ってきていることは、彼が発する殺気でわかっていた。

 つまり彼の居るところにアサシンもまたいるのだろう。

 彼らに追いつかれたりでもしたら……確実に死ぬ。

 罠の効果が通ることを信じ、彼女は翔の元へと走る……

 

 

 

 

「一つ、二つ……両方とも効果なしか……」

 

「翔さん!」

 

 リップが携帯端末を見ている翔の前に走ってくる。

 彼が見ているのは、この決戦場のマップ。

 ユリウスたちの位置が分かるわけではないが、翔がセットした罠の位置はこの携帯端末と同期させ、反映させていたのだ。

 そして、そのうちの二つは既に反応していない。

 この罠は、一回発動すれば、反応は消えてしまう。

 故に、この反応の消失は、罠の上をアサシンが通った証そのもの。

 反応が消えた二つの罠は『対装具トラップ(ドレスブラスト)』と『対魔術トラップ(キャストブラスト)』。

 この事からわかるのは、アサシンの透明化のスキルには、装具にも魔術にも関係していないということだ。

 

「もう逃げられない。覚悟は出来ているなリップ?」

 

「当然です。覚悟は既にできています」

 

 既にユリウスは翔の視界にとらえられるほどの距離であった。

 三つ目の罠は『対精神トラップ(マインドブラスト)』。

 これは、気の流れや経路による技に反応する。

 これに、引っ掛からなければ、透明化の秘密を暴く事が出来ない。

 

「翔さん、来ます」

 

 リップの言葉を受け、顔を前に向ける。

 もう、翔の視界でも顔は分かる位置に、彼はいた。隠れて様子も見る事も出来ない。

 そして翔の背後は、行き止まり。もう逃げ場はない。

 

「仕留めろアサシン」

 

 その一言で、勢いよく何かが迫るのを感じる。

 それと同時に、構えるリップ。

 以前に彼女自身がくらった一撃により、アサシンの気配は微妙ながらも掴めていた。

 だから仮に罠が効かないにしても、この一撃を防げる。

 アサシンのサーヴァントが拳をリップに放とうとした瞬間……

 

「ぬおおぉ!?」

 

 今まで聞かなかった激しい音が決戦場内を駆け巡る。

 その音の直後の光景にユリウスは眼を見開く。

 今まで覆っていた彼のサーヴァントの透明化。

 それがまるで霧が晴れるかの如く効果を失くし、翔が屋上で見たその姿、全てを晒していたのだ。

 

「『対精神トラップ(マインドブラスト)』。こうなることを見越して、リップの前に設置した」

 

「何事だアサシン!?」

 

「くハハハハッ! 天地を返しおったな! 大事だ! あやつらの知己は天仙までいるらしい!」

 

 どうやら、何が起きたのかアサシンのサーヴァントは理解しているらしい。

 一瞬だが、明らかに動揺したユリウスにアサシンは今起きたことを説明する。

 

「ユリウスよ。これは陰陽自在の八卦炉よ。儂の気功を儂に返したのだ。おかげで儂の『圏境』が破れおった」

 

 ユリウスに自身の腕を見せるアサシン。

 『圏境』。それは体術の究極。

 中華の拳法家でもほんの一握りしか到達できない完全な達人の証。

 それほどの力を持ち『二の打ち要らず』とまで言われた拳法家。

 彼の真名は『李 書文(り しょぶん)』で間違いないらしい。

 だが、あのダメージからするに、この決戦場では間違いなく『圏境』は使えない。

 

「これまでの相手は戦いにすらならなかったからな。命の重みに優劣はないとは言わん。だがやはり、くびり殺すならやはり子鼠より虎の首よ!」

 

 儂もまだまだ悪行から抜け出せん。

 そう言い、改めて構えるアサシン。

 ここが正念場だ。

 この決戦場に、アサシン、ユリウスから鋭さの増した殺気があてられる。

 だが翔は怯まない。改めて構えるリップを翔は見る。

 彼女もまた本気なのだ。そんな彼女に自分は応える。

 そして自分達は帰るのだ。あの校舎に……

 

「ここからが本番というわけか。ではいざ……我が拳は二の打ち要らず。初撃こそ肝要、武を交える前に(これ)を討つ―――この(あざな)、破れるか!」

 

「私達は進みます。あなた達を倒してその先に!」

 

 ―――Sword, or Death(死にたくなければ剣を取れ)

 

 開戦を告げる鐘の音が鳴る。

 両者はどちらか、ではなく同時に足を踏みだす。

 戦いの火蓋はここに切って落とされる。

 この戦いを制し、戻る事が出来るのは誰なのか。

 その答えは運命のみぞ知る……

 

 

 

 

「リップ! コードキャストを使う! 『gain_con(32);(耐久強化)』!」

 

「ありがとうございます!」

 

 まずは一撃を防ぐことが重要。

 そう直感を感じた翔は、耐久強化のコードキャストをリップに与える。

 初手の一撃がくる。

 声と共に繰り出されるアサシンの一撃。

 負けじと自らの拳を突き出すリップ。

 お互いの拳がぶつかり合い、その場所に突風が巻き起こる。

 

「やはり、この一撃ではその籠手は壊せんな。ならば!」

 

「くっ!?」

 

 即座に腕をひっこめ、防御の体制を取るリップ。

 襲い掛かるアサシンの二撃目。

 その攻撃により、リップは後方へと吹き飛ぶも、即座に体勢を立て直す。

 リップを吹き飛ばすアサシンの一撃。

 圏境こそ敗れたが、その威力は健在。

 それを見せつけられ、歯を食いしばる翔だが、同時にユリウスも目を見開いていた。

 

「……信じられん。あのアサシンに一撃をくらわせただと」

 

「ほう。肉を切らせて骨を断つ……とはよく言ったものだな。その一撃、まずは見事と言っておこう」

 

 アサシンの左腕を見ながら言葉を放つユリウス。

 良く見れば、アサシンの右腕は血で染まっていたのだ。

 アサシンがリップの防御を狙っていたように、リップもまた二撃目を狙っていた。

 リップは既にアサシンの拳を一度その身に受けている。

 なのでその技と威力は既に彼女は知っていた。

 故に、リップの腕で二撃目を逸らし、翔のコードキャストで技の威力を実質半減させる。

 加えて、リップの腕は触れるもの、全てを傷付ける刃。

 故に彼女の防御は、驚異的な防御力を誇り、加えて触れるものにダメージを与える刃の防御と化す。

 

「あのまま倒れちゃえばよかったのに……でもその右腕では思うように力は入らないはずです」

 

「ふん、確かに右は思うように動かんな。これでは拳も握れぬわ。しかし、受けることで凌ぐとは大した度胸よ。昔日の己を見る様だぞ。ハハ! 世界は広い! こうでなくてはな!」

 

「愉しむなアサシン。いい加減本気を出せ。あのサーヴァントは耐えたとはいえダメージは健在。このまま仕留めろ。しかし……」

 

 ユリウスはリップに指示を出す翔を見つめる。

 あの翔という存在がいる限り、自分が想像していなかった展開が起こるのもまた事実。

 ならば……

 

 ―――先にあの男を始末する。

 

 難解のコードキャストを詠唱し、その手に持つのは一本の短刀。

 それを片手に持ち、アサシンが走り出したと同時にユリウスもまた走り出す。

 彼の狙いは寿々科翔の始末。

 あの男が倒れれば、彼のサーヴァントを倒すのも容易だろう。

 

「なっ!? あの野郎!」

 

 リップがアサシンと打ち合ったと同時に、翔もまた自ら作り出した短刀で、ユリウス一撃を回避する。

 サーヴァント同士の戦いの傍らで、マスター同士の戦いが始まる。

 あの短刀は今まで見た短刀でも、翔は見たことが無い。

 

「『shock(32)(弾丸)』!」

 

 翔が弾丸のコードキャストを放つも、ユリウスの短刀に斬り裂かれ消滅する。

 あれもまた不正規(イレギュラー)な手段を持って生み出されたコードキャストの一つなのだろう。

 ともすれば、あれに対抗できるコードキャストは今は存在しない。

 今、この場で一からコードキャストを作り出すことも可能だが、それはユリウスが許さないだろう。

 ならばどうする……横目でリップとアサシンの戦いを見つめながら考える。

 

「随分と余裕に見える。この場で考え事とは」

 

「この表情見て余裕に見えるかよ……!」

 

 ユリウスの一撃を躱し、弾丸を放つ翔。

 同じ手が二度も通用しないことは翔もわかりきっている。

 再び、先ほどと同じようにユリウスが翔の弾丸を軽々と斬り裂き、消滅させる。

 だが今度は、その先がある……

 

「かかったなユリウス……! 『bomb(32);(爆発)』!」

 

「!?」

 

 爆発の衝撃で吹き飛ぶユリウス。

 だがこれでは短い隙になるだけだろう。

 しかし、時間稼ぎとしては充分だった。

 翔は弾丸のコードキャストの中に、爆発のコードキャストを仕込んでおいたのだ。

 一からコードキャストを生み出せる隙を与えてくれなければ、この場で複数のコードキャストを組み合わせて使用するしかない。

 咄嗟の考えはユリウスに多少の隙を与えたようだ。

 今のうちにリップとアサシンの戦況を確認する。

 

「ほう。いくら打ち込んでも壊せぬ籠手とは、どこで作られたか余計気になるぞ」

 

「あなたに教える筋合いなどありません!」

 

 共に破壊力の高い一撃を繰り出し、それを躱し、それを放つ。

 正に一進一退の攻防だ。見る限りでは互角だろう。

 支援のコードキャストを放ちたいが、それをさせてくれないのがユリウスだ。

 視線を戻せば、彼が立っているのが既に分かる。

 

「細工を施したか……だがそれで俺に勝てると思うな」

 

 ユリウスをまっすぐ見つめる翔。

 先程から彼は、ユリウスを見つめる度、違和感が走っていた。

 今もそうだ。

 彼を見つめれば見つめるほど、何とも言えない感覚が翔を包み込む。

 これは、今まで感じていた殺気とは違う。

 彼はもっと遠い。何かを見つめているような……

 

「ユリウス。一つ聞きたいことがある」

 

「今さらなんだ」

 

「お前は、誰のために戦っているんだ」

 

 その言葉に彼は眼を見開き、翔に襲い掛かる。

 彼の投擲する短刀を翔は盾のコードキャストで防ぎながら言葉を続ける。

 

「ふざけたことを問うな! 俺はレオの為に戦っている!」

 

「違う!」

 

 彼の言葉を翔は否定する。

 翔だって最初はレオへの忠義心で戦っていると思っていた。

 だが翔から見たユリウスは違う。

 本当はレオの事などどうでもいい。そう思って戦っているようにも見えたのだ。

 彼の虚ろな瞳にはレオの姿など写っていない。

 レオでは無くどこか遠い誰かが写っている様にも感じられたのだ。

 

「だったら、なぜ今もそんなに辛そうな顔をしているんだユリウス!」

 

 ユリウスにとって考えたくもなかった。

 認めたくもなかった。

 自分にはまだこんな感情が残っていたなんて考えたくもなかった。

 それが、なにより、なぜよりによって、こんな奴に見透かされるなんて……

 それがユリウスにとって一番気に喰わない事だった。

 初めて翔を狩り取った時から、ユリウスは気に喰わないことだらけだった。

 翔のような小物が、なぜあのような霊格のサーヴァントを引ける。

 なぜ、自分の不正規(イレギュラー)な手段をことごとく躱す。

 お前の強さはどこからくる……

 そして、なぜ自分の心を当然のように見透かす……

 

「くそ!」

 

 ユリウスは手当たり次第に翔へと攻撃を放つ。

 今のユリウスの攻撃は先程までとは違って出鱈目そのもの。

 短刀の投擲を交わし、放たれた魔力弾を躱す翔。

 彼は今、なにに突き動かされている。

 その違和感の正体まであと少しな気がする。

 翔が言葉を放とうとした時……

 

「きゃああ!?」

 

 不意に聞こえたリップの悲鳴に、翔の視線はユリウスから離れる。

 見れば、リップはアサシンの攻撃をくらい、吹き飛ばされている様だった。

 リップを回復させなくては……その一瞬の判断が翔の命取りであった。

 彼の一瞬の判断、それは『ユリウスを急接近させる』ことそのもの、即ち翔の死を意味していた。

 

「隙を見せたな……!」

 

「しまっ……!」

 

 彼がユリウスを見つめた時にはもう遅い。

 何かがぶつかったような音がしたとおもえば、翔は眼を見開き、自分の身体を見つめる。

 良く見れば、ユリウスの短刀が翔の身体に深々と突き刺さっているのが分かった。

 一瞬遅れて現れる激しい痛み。

 翔は自分の身体にユリウスの短刀が突き刺さっていることを知った。

 激痛に叫び、壁にもたれかかる翔。

 そしてその隙を逃さず、止めと言わんばかりに、新たな短刀を作りだし、翔へと突き刺そうとする。

 

「無様に死ね……!」

 

 翔はユリウスの腕を押さえ、止めようとするが、力が入らない翔を嘲笑うかのように、短刀の先が彼の身体へと入り込んだ。

 ユリウスは力を込めた。思うように刃先が前に進まない。なので強引に突き進める。

 ここで断念するわけにはいかない。彼の始末は目の前だ。

 不意に翔の抵抗が緩んだのを感じた。短刀が翔の体内に、まるで肉に突き立てた包丁の様に奥深くめり込んでいった。

 

「ぐ……」

 

 鮮血が口から漏れる。

 呼吸が乱れる。

 もう自分は立つことすらできない。

 どうやらBBの言っていた5回戦で死ぬという予言は当たっていたようだ。

 薄れゆく意識の中で、彼はリップを見つめる。

 どうやら自分はここまでのようだ。

 回復のコードキャストすらもうつことはできない。

 

「くそ……俺は……まだ」

 

 翔が言葉を発した後、体全身の力が抜け、彼の意識は闇に包まれようになる。

 意識にノイズが走る。自分はここで終わるのか……?

 手や足の先の感覚が、徐々になくなっていく。形もなくしているのだろうか。

 だが、それを調べる余裕は既になく、彼の意識は途絶えた。

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