道化師†無双   作:黒猫γ

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続けて投稿です。

少しづつ増えていくお気に入り登録ににんまりする日々ですw。


誤字脱字、感想等待ってまーす!


第三話

荀家視点

 

 

 

 

 

「はぁ………。」

 

荀家現当主荀緄は何度目かわからないため息をついていた。今起こっている問題は早いうちに解決しなければならない。だが後に必ず禍根を残すことを理解していてもどうすればいいのか荀緄にはわからなかった。

 

「はぁ…………。」

 

「荀緄様、少しお時間よろしいでしょうか?」

 

「ああ、かまわんぞ。」

 

扉を開けて入ってきたのは一人のきれいな女性だった。女性にしては高い身長に線は細いが決して貧相ではなく、それが一種の魅力だと言わんばかりである。髪は肩ほどの長さでまとめられており、その雰囲気から理知的な様が伝わってくる。

 

「荀攸、どうした?」

 

「いえ、少しご相談があってきたのですが、よろしいでしょうか?」

 

「どうした?変にかしこまって。悩みか何かか?」

 

「いえ、その…。悩みといえば悩みなのですが、」

 

「歯切れが悪いな。言いにくいことなのか。」

 

「いえ、実は桂花(ケイファ)ちゃんのことについてなのですが……。」

 

「…………また、何かやらかしたのか……?」

 

「ええ……、そうです…。」

 

これには二人ともため息をつくしかない。桂花とは荀緄の娘である荀彧の真名である。荀彧はその年8歳で既に荀家にある書物の半分を丸暗記し、残りの半分もあと数年もあれば読み解いてしまうだろうと言われる天才である。荀攸も間違いなく天才の部類だが、荀彧の成長を間近で見てきたものは皆がそろって荀家が始まって以来の天才だと評した。そんな荀彧だが性格面で決定的な短所を持っていた。

 

「街で酔っ払っている男に罵詈雑言をあびせたようです。『昼間から飲んだくれているダメな男に私は正論を言ったのよ!しかも顔を見てもろくに学のないまるで猿のようだったわ!』と反省の色は見えませんでした。」

 

「その男性は?」

 

「一瞬カっとなって手が出そうになってはいましたが、偶然通りかかった私が仲介することで穏便に事をおさめられました。」

 

「そうか…。迷惑をかけたな。」

 

「いえ、そこはいいのですが…。このままだと完全に孤立してしまいます。」

 

「やはりそうか。桂花の()()()にも困ったものだ。」

 

そう、荀彧は大の男嫌いだった。

元をたどると2年前、そのころの桂花はまだ才の片鱗は見えていたが、いたって普通の女の子だった。話は変わるが名門荀家には連日様々な来客が来る。昔からなじみの商人や同じく名門や名族などさまざまである。そんななか来客してきた名門の方から懇親会のお誘いを受けたのだ。これを荀緄は承諾し、これに荀家として現当主の荀緄と荀攸、それに荀彧の3人で出席したのだった。だがこれが大きな問題を起こす。

懇親会とは親睦会とは異なり、少し政治的な動きが含まれるもののことを指す。その場で初めてあった人と親交を深めるのもあるが、情報交換を行ったり、新しいつてを作る場であったりする。荀緄は荀彧の将来を考え、早いうちに場の空気を体験させようと思っていた。だがこれに出席していたある男から齢6歳の荀彧に求婚があったのだ。当然名門荀家にも跡取りの問題はあるが、少なくともまだそこまで急を要するものではないため荀緄は丁重にお断りを入れた。だがその男はしつこく食い下がった。荀緄が断るたびに頭に熱がこもったのか冷静さを失っていく男の様子にさすがの荀緄も引いてしまったのだ。それに追い打ちをかけるかの如く裏の欲望が見て取れるような他の男もうちの息子がいいだの、今のうちに婚約だけでもだの勧めてきたのだ。荀緄の陰に隠れてこれを見ていた荀彧は恐怖した。男はどこまで欲望に忠実なのだ、どれほど恐ろしいものなのか、と。その場は荀攸の協力もあり事は終わったが、家に帰るころには荀彧の男嫌いはすでに出来上がっていた。

 

「私があの時連れて行こうと考えていなければ、桂花は男嫌いにならなかったのではないか?」

 

「それこそ何度も話してきましたが、後の祭りですよ。どちらにしてもあのような予想などたてられませんから。」

 

「それもそうだが、さてどうしたものか。」

 

ふたりそろって大きなため息をつき黙り込んでしまう。荀緄からしたらかわいい娘、荀攸から見ても年は離れているが妹のように感じている分、この悩みは深刻だった。少しの間思案にふけっていた二人だが、荀攸がふとこんな案を出した。

 

「同じような年ごろのお友達を作れないでしょうか。」

 

「ほう、それはなぜ?」

 

「まず男嫌いになった理由としては自分と年の大きく離れた男性のあんな姿を見たからです。でしたら似たような年頃の男の子なら問題がないのでは?と考えたからです。またもしダメだったとしても同じくらいの女の子とお友達になれば少なくとも孤立することはないですし、そこから感化されて改善されるかもしれません。」

 

「なるほど、一理あるかもしれん。だがどうやって友達を作るというのだ?」

 

「私が私塾を開いて同じような年頃の子供を集めてみるというのはどうでしょう?才はあれども埋もれてしまうような子を掘り起こすきっかけになるかもしれませんし、何より同じことを一緒に行う学友としてなら身分など子供同士ではあってないようなものだと考えます。」

 

「なるほど。確かに荀彧は才を持っているが、そこには圧倒的に経験が足りない。そこを同じような年の子供と切磋琢磨させることで補うこともできそうだ。それで対象はどこまで絞る?」

 

「私は名門に限らず、学ぶ意思のある子供すべてを対象にしたいのですが。」

 

「もとは荀攸の意見だからな。そこは尊重しよう。場所としては少し前から使われていない倉庫があったはずだ。そこを軽く改修して使うことにしよう。」

 

「ありがとうございます。ではそのような形で話を進めましょう。」

 

二人の話は無事まとまった。これは朱治が引っ越す約ひと月前の話である。

 

 

 

 

 

 

 




第三話でした。

この話を書く際に「この後もオリキャラが増えそうだな」と感じタグを追加しました。





では次回で。
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