サソリゴキブリ達が居なくなったのを確認をすると宙斗ははやてを背負ったままそこから飛び降りた
「驚かせちゃったね、もう大丈夫だよ」
浩将は緩めていた布をもう一度締めると肌は先程の紫色からいつも通りの肌色に戻った
「今のは・・・」
「美食屋は毒を持った生物や食材に対抗する為に人工的に体内に抗体を作るんだよ」
「抗体って毒やウィルスの効果を無くすやつやんな?」
「僕で大体七十種類の抗体を持ってるんだけど、浩将は約五百種類、多分美食屋の中で一番持ってると思う」
「五百!?」
「偶々毒に耐えられ易い体質だったから、ここまで作れたんだ、けどね・・・本来抗体は、微量の毒を長時間に亘って体に注入して作る物なんだけど、僕は多量の毒を短時間で注入した事で、毒が混ざり合って僕の体に新たな毒を生み出した、猛獣が逃げ出してしまうほどのね」
はやては初めてグルメフォーチュンに来たときの事を思い出した
「今じゃ僕は毒人間、この世で最も恐れられる存在なんだよ・・・さっ早く行こう、フグ鯨が居なくなっちゃうよ」
そう言うと浩将は歩き出した
「なんか浩将君、寂しそうやな・・・」
「なのはちゃんから聞いたんだけど、浩将の血液から新しい血清を作ろうとする科学者に追われたり、第一級の危険生物として隔離されそうになったんだって、多分占い師をしているのはそんな柵から解放されたかったからなんだと思う」
「そうなんや・・・」
すると浩将はいきなり立ち止まった
「宙斗!」
「なに?」
「百メートル程真下に向かって巨大な穴が広がってる、もしかしたら砂浜まで続いてるかも」
宙斗もその場所に向かうと、確かに百メートルはあるであろう巨大な穴があった
「目が利くから僕が先に降りるね」
「じゃあはやてを連れて行ってよ」
「え?」
「僕は目が悪いからはやてにもしもの事が遭ったら大変だから先に連れて行ってよ、はやてはそれでいい?」
「(ホンマは宙斗君におぶってもらったままがええねんけど・・・そういう事やね)私はええよ?」
「よし、それじゃあ浩将」
「いや、ちょっと待って僕には毒が・・・」
「浩将君はよ行こ!フグ鯨が居なくなってまう!」
はやてがそう言うと宙斗ははやてを浩将に背負わせた
「・・・」
浩将ははやてを背負って穴を降りていくと、無数の小さな光が現れた
「これ・・・」
「『ウミホタル』だね、海から紛れ込んだんだろうね」
「綺麗やね・・・」
(毒人間である僕にあえて触れさせる事で僕を気遣ってくれてるんだね、宙斗は本当に優しいな・・・そしてはやてちゃんも全く僕を拒絶しない、出来る事なら君を必ず・・・)
「ウミホタルが居るってことは、砂浜までもそう遠くはないね」
上を見上げると宙斗が縄を掴み、滑りながら降りてくると突如として下から悲鳴が響いた
「何だ!」
「何か居る・・・宙斗、一気に降りるよ!」
「おう!」
そういって二人は一気に飛び降り、地面へと着地した
「随分と静かやね・・・」
「そうだね、でも警戒はしないと・・・」
すると洞窟の置くから複数の羽音が響いてきた、目を凝らして見ると蝶の様な羽を持った蝙蝠の大群が向かってきた
「あれは『アゲハコウモリ』だな」
「はやてちゃん、僕から離れて」
「うっうん!」
浩将ははやてを背中から降ろし、アゲハコウモリと向き合った
「何をするんだ?」
「殺すつもりは無いからね、ちょっと大人しくしてもらうんだよ」
浩将は手を毒化状態にさせると、指先から雫のように毒が垂れ落ちた
「『ポイズンドレッシング』」
そしてそれをアゲハコウモリ達に振りかけると、アゲハコウモリ達は力が抜けていくかのように地面へと落下していった
「ごめんね、毒は抑えたから暫くしたらまた飛べるよ」
「でもこいつ等は臆病で滅多に人を襲わない筈なのに如何して・・・」
それからも大量のアゲハコウモリが宙斗達の上を通り過ぎていった
「襲ってくるというより・・・」
「何かから逃げているような・・・っ!はやてちゃんは!?」
二人は後ろを振り向くがそこにはやての姿は無かった
「「はやて(ちゃん)!」」
するとまた洞窟の奥から大きな呻き声が響いた
「「!?」」
また奥の方を見やると、三つの目を持った巨大な蛇『デビルオロチ』が姿を現した