個性:物欲センサー   作:基本的に戦う集団

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物欲センサーはそろそろ有給使っていいよ



0 高校初日 朝

数分前まで、そこはありふれた日常が広がっていた。晴れた空、穏やかな風、道行く通学・通勤途中の人々。

 

その日常的な喧騒が、1人の(ヴィラン)によって非日常的な騒動に塗り替えられる。

 

 

「うわあああああああああん!!!!お母さああああん!!」

 

「みのりッ…!」

 

「うるせえ!!!!近づくんじゃねえ!!このガキ殺すぞ!!!」

 

 

そこでは昂奮状態の大男が幼い子どもを盾にとっていた。幼女の首に添えられている男の手は鋭利な刃物のような形状をしており、子どもの柔らかな喉元など簡単に切り裂けるだろう。

男は血走った目をぎょろぎょろとさせながら辺りを睨みつけている。周りは駆けつけたヒーロー達が取り囲んでいるが、下手に刺激すると人質の命が危険であるため行動しあぐねているようだ。どうやら、この状況で有効な個性を持ったヒーローはまだ到着していないらしい。

 

そのうち、男はぶつぶつと呟きを洩らしだす。その目は暗く、黒く、底が見えない穴のように虚ろでありながら爛々とした光を放っていた。どう見ても正気を保っているようには思えない異常な様相だ。

 

 

「道づれにしてやる…みちづれに…お前ら皆…」

 

「なるほど、君が欲しいのは道連れか」

 

 

バッとその場の視線がある一点に集まる。敵以外誰も口を挟めず固唾を呑んでいた中、相槌を打つように、極めて自然に会話に入り込んだ人物の元へ。そして殆どの人が目を見開く。何故なら、彼が身につけている真新しい制服は、あまりにも有名であったから。

周りの人と同じく驚きの表情を浮かべた敵は、その顔をたちまち憎々しげなものに変えると威嚇するように大声で吼えた。

 

 

「てめぇ少しでも個性使ってみろ!!!!!コイツぶっ殺して周りの奴らも全員ぶっ殺すぞ!!!!」

 

「ごめんもう個性使った」

 

「………ッッ!!!!!!!!!!!!」

 

 

その瞬間、周りにいた誰もが幼い女の子の無惨な死に体を想像した。

 

__スルッ_

 

 

「……あ"?」

 

「…え ?」

 

 

しかし彼らが想像した惨たらしい死体はそこに無く。居たのは無傷の幼子だった。

誰もが助からないと思った幼い子どもは確実な殺しの手を回避した…いや、回避というよりも寧ろ……敵が()()()()()()()()()()()()()()()()…?

敵も周囲も混乱している中、その状況を作り出した張本人だけが、ただ一人何でもないような顔でその場にしゃがみこむと、今はもう拘束から逃れた女の子に向かって両手を広げた。

 

 

「ほら、もう大丈夫だから、こちらへおいで?」

 

「……!」

 

 

こちらを安心させるような優しい声に、女の子は大きな目に涙の膜を張って懸命に青年の元へ駆け寄って来た。

 

 

「ッ逃がすか!!!」

 

 

逃げ出す人質を捕まえようとした腕は、女の子に触れる前に()()()()()()()()

 

 

「な…」

 

「う、ぅぇ、う"わああああああああああああん」

 

「あーよしよし、怖かったな、もう大丈夫だぞ、…ほらお母さん…」

 

 

連続で起きた不可解な出来事に敵が狼狽える間に、どん、とこちらへ突進して来た女の子をしっかりと受け止め、母親に返す。

 

さて、これで無事に人質が戻って来た。となるとこの後は…

 

 

「確保ーーー!!!!!!」

 

 

まぁこうなるわな。

 

 

 

 

……というのが今から数十分前の話。

やあどうも皆さんおはようございます。今日から雄英高校ヒーロー科1年生になりました物部 諦(もののべ てい)です。タクシーの中から失礼しますねー。高校生の癖に優雅にタクシー登校かいいご身分だなという指摘が聴こえるようだハハハ…しょうがないだろ事情聴取に30分近く取られちゃったんだからさ…!!初っ端から遅刻なんてしてみろたぶん退学だぞ!なんといっても最難関だものそりゃ厳しいでしょうよ、今年度の倍率何百倍だったと思ってんのさ…

 

ん?最高峰の学校に入れる個性があるならそれ使えばいいじゃない?確かにヒーロー科は身体能力的に優れた、パワー系な個性?多いよねうんうん、確かにそういう個性なら遅刻するかもしれない状況で助かるだろうね、でもさ、一応言っとくとさ。

 

皆が皆そういう“如何にも”な個性持ってる訳じゃないんだわ。

 

あぁ、そうだ、事情聴取の時もこの個性の説明が非常に面倒臭かったんだった。別に大したことしてないんだけどなぁ…。

俺の個性は簡単に言うと相手が欲しい物を手に入れさせない、というもので。これだけ聞くとすんごい意地悪な個性っぽく思えるかもだけどどんな力も要は使いようだ。俺はこの個性を使って敵が()()()()()“道連れ”を絶対に()()()()()()()()ようにしていた、ただそれだけのことだったんだが…なんか説明すればする程どんどん警察の方やヒーロー達が微妙な顔していくんだよな。

 

その時の事を思い出してつい溜め息が零れた。なんだかなぁ…

 

再び漏れそうになる溜め息をなんとか耐え、時間を確認しようとスマホを取り出す。まだ学校に着くまで時間はかかるものの、この分だと遅刻せずには済みそうだ。

 

暇潰しにゲームのアプリを開く。ログボを貰い、貯めた石で10連ガチャを引き、いつも通り爆死する。

 

そう、これが俺の個性「物欲センサー」だ。

 





人物紹介

名前:物部 諦 (もののべ てい)
個性:物欲センサー

詳細:欲しい物が手に入らなくなる個性!!ソシャゲのガチャで何十連回しても目当てのキャラが全く出ないことあるだろ?端的に言うとそれだ!!個性の発動については、対象の欲している物事を認識あるいは指定する、それだけでオッケー!個性が効いてる間そいつは欲しい物が絶対に手に入らない!!
相手が欲しているのならば実物でも概念的なものでも指定可能!実はけっこう応用が効く個性だ!!

個性の持続時間:コントロール次第だ!!強力な個性で、全力で使うと対象の一生涯ずっと個性を持続させることも可能だし、1時間単位での調整も可能。一度個性が発動したらその後の物欲の有る無しは個性の持続時間とはあまり関係がないぞ!!抽象的な期間指定も可能で割と自由度が高い!!(例:無心になって落ち着いたら、反省したら、など)

個性の対象:“欲”があるものが対象となるため人や動物などの生物に限定されるぞ!!無機物など物欲の無いものは個性の対象には入らないから要注意だ!!…が、個性の“影響”は受けるらしい!!どういうことだ!?(この辺りは入学試験編にて)
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