究極に至った生物を魔境に送り込んでみたらチートがバグになった件について 作:小指の魔術師
原作:HUNTER×HUNTER
タグ:R-15 残酷な描写 クロスオーバー ジョジョの奇妙な冒険 究極生命体カーズ 性格改変 チート
※・ジョジョを二部まで既読推奨。
・作者は反省してます。
・アイデアが溢れるなら短編にすればいいじゃないの精神で執筆致しました。
そう思っていたら書いていましたね。
その日、
究極が大気に触れた刹那に発火し、究極を覆っている氷塊は綺麗に消えてなくなった。その時点で生命活動が活発になる。鉛色の鉱石は色を取り戻し、大きく脈動する。仮死状態からの覚醒が始まろうとしているのだ。
究極は人の形をしていた。アミノ酸がある。細胞がある。微妙ながら体温がある。脈拍がある。生きた存在である事は最早疑いようがない。
さながら究極とは
そして地面と衝突する三秒前─究極の瞳が開かれた。
巨大なクレーターと共に辺りに響く轟音。周辺に居眠りをこけていた弱者は慌てふためき逃げ出した。強者は遠くで俯瞰する者と、恐れを知らぬまま近付く者とで別れた。
クレーターの中心には人類にも似た生物が立っていた。そう、似ているだけだ。大気圏突入時に起こる摩擦による発火現象を生身で燃え尽きず、あまつさえ何事も無く綺麗に着地を決める存在が人類である筈がない。たとえ居たとしてもそれは人類とは呼ばれない。
究極には名がある。名をカーズと言う。
カーズは辺りを見回す。その瞳は無感情で掴み所が無く、何処を観察しているか傍目に分からない。ただカーズは至って自然体だった。
その時カーズの真下、つまり地面から巨大な生体反応が検知された。彼の突出した感覚器官であったからこそ分かったような微弱な反応。
だがカーズはその場を決して動こうとはしなかった。地面が大きく盛り上がり、巨木おも容易く細切れするだろう鮫の口内を彷彿とさせる剣山が自身を檻のように囲んだとしても微動だにしない。
剣山の正体は巨大なワームであった。その体内に足場ごと飲み込められたのがカーズである。だが彼は未だに動かない。
それは既にカーズが勝っているからだ。戦う前から勝負は決している。動かないのではなく、その場から動く必要が無かった。ただそれだけの
ワームは飲み込んだ獲物に満足したのか自身の住処である地底へと帰ろうとした。だが、ワームは気付いていない。既にカーズが地上より下を喰い尽くしていたことなど知る由もない。そして最期まで何があったか分からないまま細胞も残らず消えた。
そしてカーズは最後まで直立姿勢を崩さず事を終えた。そこでやっとその瞳に光が宿った。光の感情は歓喜だ。絶対的歓喜がカーズの内側を支配した。
「クッ、ハハ…」
─歓喜。
「ハハハハ」
─大歓喜。
「ハーハッハッハッハハッハッハ──ッ!!」
─絶対的大歓喜。
美しき貌を崩し、狂ったように笑う。狂気は空気に伝染するのか禍々しい色彩を放っている。
思考を放棄するような無に放り込まれたカーズは生存を絶望的と考えた。故に考える事を止めたのだ。
だがカーズは生きている。故に歓喜。
同時にカーズには疑問が発生した。
(ここは何処だ?)
カーズの記憶に合致する場所がない。地球で行った事の無い場所はほぼ無いと断言出来るカーズであっても覚えが無いとなれば、考えられる可能性はそう多くない。
(頭上には太陽と思しき恒星。太陽系の内に留まっているならば地球に帰ってきた事になる。だがそれも先の生物と周りの植物からして除外。条件の似た惑星群に入ったか…)
そして突拍子が無いが可能性が低くない予測に思い至った。
(違う次元の地球という線もある。生態系が何もかも違うがベースは地球に似すぎている所からしてありえないと断言出来ない。寧ろ可能性だけならば非常に高い。と言っても想像の域を出んか)
ここまでの思考をちょうど一秒で終えたカーズは辺りを俯瞰するべく羽根を生やし飛翔。一瞬にして眼下に広がる広大な密林地帯。奥には砂漠や氷雪地帯、火山地帯まで確認出来た。所々に見えるのは何故立っていられるのか不思議な程大きな生物たちだ。
「面白い、興味深い星だな此処は」
思わず感嘆の言葉を吐くカーズ。個にして究極へと至った彼をして興味深いと思わせる事柄は少ない。久々に感じる知識欲に身体を震わせた。
「思えばあの巨大なワームは吸血鬼化した人間と比べ物にならないエネルギーを持っていた。若干疲弊気味だったこのカーズを快癒させる程のエネルギー。この星の頂点に立つ生物であればどれ程か…」
あの程度は目に見える限り普通だとカーズは感じた。規格外を語るには物足りない。
そしてカーズは自身を打倒した存在について考えた。
カーズはジョセフ・ジョースターと言う人間の青年に出し抜かれ、全て計算ずくの末宇宙空間に放り出されたという経緯がある。だからこそ人間と似た存在が生き残っていると考えた。
人間がいた所でどうという訳では無い。殲滅どころかジョセフ・ジョースターの件もあって尊敬の念さえ覚えてしまいそうだ。脆弱にして貧弱でありながらも、時に徒党を組んで圧倒的強者であるカーズさえも撃退した人間。
今ならば部下であるワムウや友であるエシディシが人間に対して戦士として信頼にも似た感情を持っていたことに共感の言葉を投げ掛けられるかも知れない。そう思う程、カーズの人間に対する感情は変わっているのだ。
「だが目に見える生物を一匹でも都市に放れば崩壊は免れない。ならばそれに対応するだけの強者、又は文明が築かれていると考えることが出来る。まずは人間の足跡を探す事にしよう」
目標が定まった事で飛行を再開。空気を割きながら、道中の煩わしい生物を真っ二つに両断しながら飛び続ける。
余談になるが此処に来てカーズの人間への期待度が高まるばかりだ。カーズの知る地球と比べて此処は人間にとって住み難い事実は再三言う必要もない。だがもしこの後人間の生存を確認出来たならば、人間の持つ生命力と叡智に焦がれると確信しているのだ。カーズは人間賛歌を求めている。
閑話休題
見えたのは木だ。今まで見た事の無い大きさを誇る巨木。上を見れば最早先が見えず、何処までも続いているように思える。此処では自身の知る常識が通用しないとカーズは認識した。
巨木に手を置き、同調を計った。そしてカーズは目を見開かされたのだ。
「上は宇宙、下はマントルまで…これはマントルを養分として吸っているのか!?」
これぞ規格外だと認識。この木を体表面に再現出来れば宇宙空間に叩き出されても、溶岩に投げ込まれても意味を成さない。そしてカーズはそれが出来る。此処に来てから究極としての自分は更新が止まらず、常に強靭となっている。やはり頂点は常に一人だけでいるのだろう。
カーズの影を覆い隠す者が現れる。確認すれば急降下してくる怪鳥であった。目が四対あり、それぞれが違う動きを見せる。口からは気化した酸が煙を立ててカーズを口に収めようと大口を開けた所だ。
「フン、輝彩滑刀!」
自身の皮膚を変化させ、鋭く、絶えず動き回る刃へと変える。乱反射する光に怪鳥は目を眩ませる。身体に亀裂が入る。既に切られていた。音もなく惨殺したカーズの技量は切られた怪鳥も挑んだ事を後悔するほどだ。
物言わぬ肉塊へと変えた本人は当然の帰結だと腕を組んで頷いた。
「丁度いい、この鳥をベースに作ってみる事としよう」
カーズの背から羽根が突き出る。身体の一部を細胞を変え、違う生物としているのだ。合計で四体ものカーズ製八目怪鳥が囲むように作られた。
「行け」
短い指示で一斉に飛び上がる八目怪鳥。それぞれが四方向に別れて航行を始める。斥候を任されたのだ。
そしてカーズ自身も歩みを止めず、臆することなく進んでいく。脚に飛び付いてくる親指ほどの虫は取り込まれ、音速で動き回る獣は近付くことも叶わないまま何故か居るピラニア軍団に喰われる。唯一噛み付くことが出来た毒蜘蛛も毒が効かず、噛み付いた状態で波紋を流し込まれ融解した。
この場の生物が自身の性能を測る物差し程度の認識しかないカーズは憮然とした表情でありながらギラギラとした光を絶やさずにいる。この場にいる殆どの生物が初撃を決めれば勝てるという確信を持っているからだ。
「フン、向かってくるのか。逃げずにこのカーズに近付いてくるのか」
各々の突き出た特徴、偏りを感じる特性を持って究極を打倒しようと励む弱者にカーズは愉しみを感じている。次は何だと急かす子供のように内心はしゃいでいる。図鑑を開く幼子の気持ちが理解出来てしまう。
「未知への探求、忘れて久しい感覚だ」
その時、四体の内一体の反応があった。場所は進んでいた方向そのまま、カーズは自身の好奇心に抗うこと無くその場目掛けて疾走する。
密林を抜ければ見えたのは文明の名残りだ。古い遺跡がそこにあった。近くに首を捻り切られ、反応があった八目怪鳥も居た。カーズの細胞故に死ぬ事は無いがこっぴどくしてやられたようだ。
では誰が八目怪鳥を倒したのか、カーズは遺跡に視線を戻した。そして人型を確認する。裸に顔は謎の球体と言う未知なる遭遇真っ只中。間違いなく犯人はこの生物だろう。
(人間ではない。在り方としては植物にも近い。この遺跡を守護しているのか? だとしたら人間が作り出した生物兵器、プログラムされた行動のみでしか動けないのであれば確定だが…)
カーズは両手を挙げて戦闘の意思が無いことを伝える。そして腹部に穴が空いた。
侵入者の排除以外のプログラムはされていないらしい事がカーズには分かった。彼の中では生物兵器という線がほぼ確定になる。
謎の生物兵器は腹に風穴空いても生きているカーズを確認した後、首を捻じちぎろうする。だがその手は叩き落とされ─カーズの首、中ほどまで切断される。
「なに?」
気付けば周囲に目の前にいる生物兵器と同じ個体が囲んでいた。気付けば腕に、脚に、腹に、頭にあらゆる所に風穴を開けられた。即座に治るも、絶えず繰り返される連撃をカーズは全て受けた。
「生温い…」
生温い。カーズが生物兵器に抱いた感想だ。生物兵器は敵が死ぬことが前提の戦いをしているとカーズは分析した。身体中に穴が開けばショック死や出血死、死ななくとも動けないのであればいずれ殺せる。首を捻り切れば脳に血液が送られず死ぬ。頭部だけで生きていられる生命力があれば砕けば死ぬ。だがカーズはその程度では死なない。身体を焼き尽くされ灰になったとしても生き残れる自信がカーズにはある。
圧倒的に工夫が足りなかった。学習能力が無いわけではないだろう。普通であれば死ぬのだ。だがカーズは死なない。普通では無いから。それでもカーズは思った。
(人間ならばジョジョの様に殺す以外の方法を考えられたのだろうな…)
カーズは生物兵器から興味を失くした。遺跡の調査の一つでもしたいがこれ以上増えたりされでもしたらそれどころではない。無視を決め込むのも限度がある。よって早々に立ち去ることにした。
波紋の呼吸をする。
波紋は過去のカーズであれば毒であった、だが今となっては治癒能力を上げる役割を十二分に果たしてくれている。元より早かった治癒速度は次元を超越した。腕を指し込まれ風穴を開けられても抜いた時には既に傷跡などないのだ。
寧ろ攻撃を繰り返した生物兵器の方がダメージを受ける始末。麻痺で動きも阻害されている者もいる。
「光の
手足から輝彩滑刀を出すカーズ。一息の波紋の呼吸─
─そしてその場の生物兵器全ては崩れ落ちた。
恐るべきはカーズ。それぞれの個体が自身に行ってきた攻撃部位を把握し、全てを一瞬にして返したのである。
「赤子を殺すより楽な作業よ…」
未だに死に切っていない生物兵器に追い掛けられても面倒だと思い、自身の八目怪鳥を自壊させた後遺跡を去った。
(あの生物兵器、サンタナであれば細切れにされて死んでいた。人間が作ったのであればその科学力は侮れん。ナチスドイツ軍でもバイオテクノロジーを集中的に推し進めれば実現出来ると判断する。ならば文明の水準は前より高いか同じか。一番気にかかったのは遺跡に人気を感じなかった事、既に廃棄された場所だとしてあの生物兵器を置く意味は何だ?)
カーズは人間への期待度が最高潮に向かう。
「特別必要としていない。又はあれらは型落ちであり、既に代用が利く。─いやあれより人間が強くなった!?」
その場に居ないこの世界の強者から盛大なツッコミを貰いそうな結末を迎えた。これについてはジョジョが全て悪い。カーズに『全て計算ずくで究極生命体を倒した』と言う印象を付けたから。
ますますこの世界の人間に会いたがるカーズ。遺跡がある所から人間の様な知性体が居ることを判断。その生活圏を把握し知識欲を満たすと言う目標に舵を向けることにした。
反省はしているけれど後悔はしてません。
あと続きません。その為の短編です。
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