その男の名は「ヤン・ウェンリー」   作:第2戦闘団

8 / 10
コンボイ一番、時刻よし、時刻よし、ヨーイヨーイヨーイ、投下投下投下!

と言うことで投稿いたします。何か思いついた時に書かないと絶対続かないと実感したこの頃。

今の所、どう大規模戦闘に持ち込もうか考え中です。

少し訂正。


第8話 空の骸

「どうか?」

 

「いえ、今の所は。生体反応はありますがどれも小さすぎたり大きすぎたりなので、人では無いと言うことしか…」

 

雪山で遭難に近い形だから1日でも発見が遅れればその時点で何十%も生存率が下がってしまう。できれば日の出前には見つけたいんだが…

 

「これでここも居ないと…となると南のN-3からN-5までのエリアにいるってことか」

 

「どうです?見つかる目処は立ちましたか?」

 

「正直、君達の持っていた装備でなんとかってとこだ。が、いる場所の目処は大体検討がついたし、多分だが、2日3日探し回ることは無いといっておこう」

 

正直陸戦に関しては完全に管轄外だったから、こんな便利な装備が揃ってるなんて知らなかった。リンツ少尉に感謝だな。

 

「よし、では残りのエリアを探索する。私とシェーンコップはN-4を、残りの8人は二手に別れN-5、N-3を探してくれ。保護対象を発見次第、無線にて報告せよ。以上、では行動してくれ」

 

「「「「「「「「了解!」」」」」」」」

 

相変わらず頼もしいものだ。それにやっと話し合いの席を設けられた。

 

「ふぅ、それじゃ捜索ついでに話を聞こうじゃ無いか。私が…死んだ後の出来事について」

 

「私が知っている限りですがね」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「…………そうか、やっぱり色々苦労かけたな」

 

そうか……ユリアンが、ローエングラム公と手合わせしていたとは。それに、フレデリカが折れずにいてくれてよかった……彼女はそんなヤワじゃないが、もしも後追い自殺なんてされたらたまったもんじゃない。

 

「今は悔やんでも仕方ないでしょうに」

 

「そうだが…私が死んだことで、皆に多大な迷惑を掛けてしまった。特にフレデリカには…」

 

結局言うだけ言って何1つ約束は守れなかったしな。

 

「そう思うのなら、今度はあんなくだらない事で死なないよう努力する事ですな。今の貴方の立場は身内にも殺されかねないのですから」

 

「ハハハ…努力はしてみるよ」

 

そうだな。良くも悪くも目立ってしまった訳だし。それに、私よりも立場が上の者はいくらでもいる、利用されるだけされて殺されるのは迷惑の度を超えている。

 

「それと、チェスの腕前は少しはマシになりましたかな?」

 

「それは皮肉か?残念ながら戦闘や指揮は出来ても、私にはゲームの才能はないよ」

 

私のアイデアはあくまでも、オマージュだ。既にある考えに修正や付け加えをしたシンプルなもの。そっちの方面に詳しい人間なら誰にでもできるだろう。

 

「強いて言うのなら、家事が人並みにできるようになったくらいだよ」

 

「ほう。あの「首から下は要らない」とまで言われたヤン・ウェンリーが、人並みに家事ができるほどになるとは。」

 

知らん顔で毒を吐きやがって。しかしシェーンコップが言っている言葉には嘘は入っていないんだから余計悔しい。

 

「君達のように途中参加ではない分、親からある程度の事は教えられてるよ」

 

「そうカッカしなさんな、事実だったんですから」

 

これ以上話し続けても碌な事を話してこないぞこいつ。全く、私が駄目人間だったから言いたい放題……ん?

 

ストライカーらしい残骸の余熱、その近くに2つの熱源。ふぅ〜やっと見つけたぞ。ここからそんな離れてないな。

 

「見つけたぞ。ここから北東に93m。どうやら遠回りをしていたようだ」

 

今私が借りている機器は大体60〜90m弱をカバーする熱源探知機だ。最も、この場合だと正確すぎて小動物まで写してしまうから困る。

 

多分口にしたら「誰に向かって会話してる?」って反応されそうだよ。

 

「各隊へ、目標を発見した。繰り返す、目標を発見した。これより回収する。各隊は回収地点で合流するように………」

 

おかしい、なんで返事がない。それに聞こえてくるのは水か何かが滴る……

 

「……提督、これは一戦交える事になりそうですな」

 

シェーンコップも確認したか。連隊員をこうも葬るとは、奴らの新しいタイプがここにいるのか?

 

「急ごう、危険なのは我々じゃなくて彼女らの方かもしれん。それと私は中将だ、提督ではないよ」

 

「では中将。手遅れになる前に行きましょうか」

 

いくら彼女らがウィッチだったとしてもローゼンリッターの連隊員を相手して勝つほどだ。まともに相手できるとは考えにくい。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

少し前からエイラは何かを感じ取っていた。

殺意。憎悪。後悔。今までに感じた事がない、ドス黒い何かを。

 

 

「ナ、なぁニパ、何か変じゃないカ?」

 

「?どうして?」

 

「いっいやナ?何かがこっちに…向かってきてる気がシテ…」

 

私の感覚が正しければここにい続けるのは危険な気がする……でも、それが何なのかが全くわからない。

 

 

何がここまでドス黒いものになるのかと、エイラは思う。わかる事は自分達に向けられている事。しかし、どうしてもそう思えない。

 

 

「ちょっとでいいかラ…場所を変えないカ?」

 

「でも…今は真夜中だし、あまり動かない方がいいよ?」

 

 

ニッカの言う事も最もであり、下手に動いて体力と気力をすり減らしてどちらかか双方が行動できなくなってしまう。その上、エイラが感じている、そのドス黒いものを発している物と鉢合わせなどしたら今度こそ死ぬかもしれない。と、エイラは改めて考えた。

 

 

「……分かっタ。ニパの言う事も一理あるし、少し様子を見る事にスル……でも危ないと思ったら直ぐに移動するからナ?」

 

「分かった。イッルの事、頼りにしてるからね?」

 

「そうだ…!?」

 

 

エイラは返事を言いかけた時、さっきまで近くにはなかったドス黒い何かを感じて後ろに振り向く。ニッカも突然現れた何かを感じ、エイラ同様振り向く。

そこには中世のより少し大きい甲冑のような装甲服。髑髏の様なマスクは半分が欠け、顔が見えるがそこまで見えない。両手には引きずる様に持っている真っ赤に染まったトマホーク。そして惨劇があった事を示す装甲服の至る所にこびり付いた返り血。

 

次の瞬間、エイラに向かって左手に持っていたトマホークを投げてきた。避ける動作に入ったが、エイラは自分を狙っていない事に気付いた。トマホークはエイラにあたる事なくそのまま反対側に向かっていき

 

 

「あ、いたいた。お〜(ry 《バキッ!! 》 っうお!?」

 

 

ウォルターの手前にあった木に突き刺さり、ウォルターへは届く事はなかった。その代わり落ちて来た雪がウォルターの頭部に直撃した。

 

 

「中将、ご無事で?」

 

「プッ!んあぁ、頭部に雪を受けた以外は無事だとも。運良く木が盾になってくれたよ」

 

 

次にシェーンコップは木に刺さったトマホークを引き抜き、相手が見える位置まで移動する。先ほど月が雲に隠れ、影が濃くなり何なのかが確認できない。しかし再び、遮っていた雲が晴れ段々と姿が見えてくる。

 

 

「ほう、考えることの出来ん生物だと思ったが…真似事をするくらいの知能はある様だな」

 

 

影で見えなかったマスクの欠けた部分には使用者の顔を露わにした。薄く灰色がかっており、目は黒くどこを見ているかはわからない。だがそれは「ヘルマン・フォン・リューネブルク」、元ローゼンリッターの連隊長であり、シェーンコップ達の恩師にあたる人物そのものだった。

 

 

「こんな所まで追ってくるとは、見上げた根性だなリューネブルク」

 

 

シェーンコップは一応問いかけてみた、が返事は返っては来ない。似てはいるが所詮、限りなく現物に近づけただけの入れ物にすぎない。

 

 

「知り合いかね?」

 

「ええ、因縁深い者でしたよ。中将、こいつの相手は私に任せてもらいましょう。お嬢さん方を逃がしてください」

 

「もとよりそのつもりだ、早い所終わりにしてくれよ?」

 

「善処はしましょう。確約はできません」

 

 

シェーンコップが言うくらいだ。奴の実力は、それ以上かもしれないと言うことか。とウォルターは一瞬考えた。事実、ウォルターが現職だった頃、同盟側では地上戦兼白兵戦の達人はシェーンコップやローゼンリッター以外に存在しない。その上、ヤンは帝国側との艦隊戦は担当していたが、白兵戦までも担当していない。面倒とかそう言うのではなく、あくまでもシェーンコップに一任していたのでそう言う事自体、あずかり知らぬ事なのだ。

 

そして短いやり取りが終わったと同時にシェーンコップは駆け出し、リューネブルクだったリューネブルクらしき物も同時に駆け出し、トマホークでかち合った。耳に響く様な重金属の衝撃音とともに飛び散る火花。両者は今の所互角の戦いをしている。シェーンコップが死角からナイフつきたてようとすれば、逆にリューネブルクらしき物はシェーンコップの頭めがけてトマホークを振り下ろす。シェーンコップはそれをトマホークで受け流し、引き際に追撃させない為にナイフを顔面めがけ投げ、それを弾かせてら内に距離を取る。

 

 

「ハッ!動きや振りは同じでも、考える脳を持ち合わせていないか。所詮は木偶人形だな」

 

 

シェーンコップはやり易いよう、ウォルター達とは段々と距離を離しながら森の中へと入っていった。

 

 

「ふ〜やっぱり白兵戦ってのはやる方も見る方もヒヤヒヤ物だよ」

 

 

遠目から見ていたヤンも初めてみる白兵戦闘に肝を冷やされていた。ニッカとエイラは突然始まった知らない者同士の殴り合いに困惑したがウォルターが現れた事で、自分達の救助に来た、と言う事はわかった。

 

 

「中将さん!?」

 

おや、随分と元気そうじゃないか。

 

「やぁ、元気かい?話す元気があるなら今すぐにでもここを離れたいのだが、大丈夫かね?」

 

「それと中将、何です?さっきのは…」

 

話すべきか?いや、今はそんな事を議論している場合ではない。シェーンコップが稼いだ時間を有効活用しなければ。

 

「聞きたいのなら今はその時ではない。私の友人が稼いだ時間を無駄に消費するのは、得策ではない」

 

「……わかりました。「後で」と言う事で」

 

よし、さっさと安全圏まで下がらねば。

 

「で、でもいいのカ?あの…もう1人方ハ…」

 

「あぁ、多分シェーンコップなら上手くあしらってくれるさ。さぁ、時間は有限だ、行った行った」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

シェーンコップがウォルターと離れてからかれこれ約30分間。最初こそ警戒して戦闘していたシェーンコップだが、リューネブルクらしきに物に動きのキレがなくなって来たことを確認してからは余裕を見せている。しかしシェーンコップ本人も内心かなり焦っていた。前世の様な相手であったら自分は確実に死んでいたであろうと考えていた。

 

 

「貴様も俺も形は違えど、死に損ないの1つかもしれんな」

 

「…………………」

 

「薄気味悪い覇気ばっかり出してないで、少しは口を聞いたらどうだ?」

 

 

シェーンコップは語りかけるが等の相手側は聞く耳を持ってはいない。

 

 

「人も捨てて、国も捨てて、最後は神に見捨てられたか?哀れな物になったなリューネブルク!」

 

 

少し助走をつけて走り、力の限りトマホークを振り下ろす。リューネブルクらしき物も反応したが最初よりかはかなり反応が鈍っており、この時点でもはやシェーンコップの行動についていけなくなっていた。そしてトマホークでかろうじて受け止めようとしたが。が、リューネブルクらしき物は雪に足を奪われ体勢を崩す。

 

バギィン!!

 

鋼鉄が折れ、弾き飛ばぶ音が響いたと同時にリューネブルクらしき物はトマホークと共にヘルメット事頭をかち割られ、シェーンコップがトマホークを抜き取ったと同時に仰向けに倒れ、装甲服の隙間やかち割られた部分から黒い霧が放出された。そして残ったのは空の装甲服だけになった。

 

「今度こそ眠れリューネブルク。俺が死んで、そっち側に逝った時、幾らでも相手をしてやる。今はそっちに逝った俺の部下で我慢するんだな」

 

空の装甲服の真横に、黒い霧の影響で錆びて使い物にならなくなったトマホークを突き刺し、その場を後にした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「しっかし、防寒装備がなかったら即死だった」

 

 

季節と雪と時間帯のせいもあり、気温はマイナスの二桁はゆうに超えている。シェーンコップ達の装甲服は宇宙空間での使用が考えられている為、密封性がとてつもなく高く、体温を外に逃さない為ヘルメットを被っていれば寒く感じることはない。

 

が、ウォルターはそう行かなかった。装甲服自体着たことの無い代物で着方すらわかない。その上時間もあまり無いので寒冷地装備に薄着を何枚も重ね着して来ている。

 

 

「その…何ですか…よく見つけられましたね」

 

「ん、あぁ、偶然だよ偶然。本当だったら2日ほどかかると思っていたんだがね」

 

「本当に?」

 

「嘘を言って、何になるんだ?話しながら歩いてるとずっこけるぞ」

 

「大丈夫で(ry ブホォ!?」

 

そうこう言ってるうちに、ニッカは盛大にこけて、頭から積雪に突っ込んだ。

 

 

「ほら、言わんこっちゃ無い」

 

「ニパァ、立てるウ?」

 

「大丈夫だよ……ハァ」

 

 

とか何とかしてるうちに、回収部隊との待ち合わせ地点まで来たが、先客があった事に気がついた。

 

 

「あぁ……あんまり周りを見る事はお勧めできないね」

 

「ウップ……」

 

「ウェェェェ……」

 

 

やはりと言う感じであったウォルターはあまりどうも思わなかった。ここに来る前に何度か、血痕があり、エイラとニッカを見つけた場所まで続いていた。その為回収部隊はシェーンコップが相手した奴にやられたか?など考えていた。が、そこまで考えていない後の2人はリバース手前まできていた。

 

「まぁ、そうだよな」とウォルターは思った。飛び道具で戦闘をするこのご時世。明らかに斧や何かで頭をかち割られた死体や、頭が胴体と、胴体が下半身とおさらばしている死体がそこら中に転がってれば、そうなる方が正常だとヤンの中では考えている。

 

 

ガタッ

 

 

「……何か聞こえなかったカ?」

 

「そう?私には聞こえなかったけど…」

 

「動物じゃないか?最も、こうなると肉食ぐらい………曹長伏せろ!!」

 

 

パァンッ!!

 

 

短く乾いた銃声がしたと同時に、ウォルターは反射的にニッカを押しのけ射線に入り、弾丸を左上腕を貫通した後、そのまま脇腹に突き刺さる形で受けた。

 

狙われたニッカ本人は何が起こったかが分からず、放心状態に陥った。

後にわかった事だが、これは回収部隊の生き残りが極限状態の上、敵と見間違えた誤射によるものだった。

 

 

「あガァ!?」

 

「へ?」

 

「!?何処から?!」

 

 

銃声がした後にジープの陰からよろよろと1人の兵士が出てきた。そしてそのまま地面に倒れ伏した。

 

 

「ハッハハハハっ!やった…や…たぞ!!やって…や……た………」

 

「あぁ…なんてこった……腕が……」

 

「だ、大丈夫カ!?今止血するから待ってロ!」

 

「へ?え?」

 

 

打たれた箇所から尋常じゃないくらい出血しており、急ぎ止血しようとするエイラと、未だ状況が飲み込めず、自分の首に付いていた他人の血を見て、震えだすニッカ。

何とか止血しようとするエイラだが段々と血だまりを作りながら出血の量を増やしていく。

 

 

「クソッ止まれヨ!?なんで止まんないんだヨォ!!!」

 

 

弾丸は骨と動脈を粉砕しており、早々止まるものではなかった。「ヤン」はここでも同じ死に方なのかと嘆いているが、ふとある事を思い出した。自分は他人と違い、回復速度が早い事を。

こうしている間にも、腕と脇腹の痛みは少しずつ無くなっており、出血も段々どころか急速に減っている。しかしそこに至るまでに相当の量を出血しており、体に力が入らず、意識も薄れてきた。

そしてそのまま意識を手放し、気付いた時には、場所は違えど同じ天井、病室にて目覚めることになった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ブリタニアにて

 

《バリィン》

 

「?!どうしたクリス!」

 

「何か…ウォルターさんが……酷いことになってる気がして……」

 

 




毎度見て頂き、お気に入り登録者の方々も同様ありがとございます。

白兵戦の描写とか私の表現力では致命的に表現しにくいので申し訳ない。

次に誰を敵側で出したいか、いい案があったら誰でもコメントできるからクレメンス。あとちょっと間を空けるので申し訳ない。

では来週。

 ▲ページの一番上に飛ぶ
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。