問題児が召喚されたようですよ?   作:神ジーク

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もはや懐かしいくらい久しぶりの更新です。がんばります。


第十四話 問題児が問題教師を捕まえに行くようですよ?

「それで、言い訳や申し開きはあるかね?」

 

学院中が盗賊の噂で花を咲かせていた時、ある少年少女たちが学院長室に呼び出されていた。

当然ながら十六夜とルイズ、なぜかキュルケとタバサまでいる。

 

実際、『破壊の杖』が盗み出されたのは十六夜が壁を盛大に破壊したせいであるため、オールド・オスマンに目くじらを立てられているのは彼である。普段、温厚であるはずの彼にしては珍しい事であった。

しかし、十六夜はそんなプレッシャーなどものともせずに傲然と言い放った。

 

「ないね。売られた喧嘩を買ったらこうなった。それだけだ」

 

十六夜の言い分にオスマンは一層表情を険しくする。

 

「では、責任をとる気はないと?」

「いや、そんなのは俺の主義じゃねえ。てめえのケツくらいてめえで拭くさ」

 

オスマンは瞑目し、しばらくすると、

 

「ならば、フーケを捕まえてくるのじゃ」

 

十六夜の怪物じみた力はオスマンも聞いていたのである。

十六夜は迷うそぶりも見せず頷いた。

 

「オーケー。今日中にあんたの前に連れて来てやるよ」

 

オスマンも頷き、十六夜が部屋を出て行こうとしたところで、一人の生徒が声を上げた。ルイズである。

 

「あの・・・・・・、わたしも同行していいでしょうか?」

 

それを聞いた教師たちが目を丸くして何かを言おうとするが、その前に十六夜が口を開いた。

 

「オイ、御チビ様。これは俺が片付けることだぜ」

「わたしもあの場にいたわ。無関係じゃないはずよ」

「マジで付いて来る気か?」

「ええ。使い魔の責任は主の責任よ。それを放棄する気はないわ」

 

ルイズの瞳には確固たる意志が込められていた。

十六夜は肩をすくめて、オスマンを見る。

 

「だ、そうだが?」

 

オスマンはルイズを見て、

 

「ミス・ヴァリエール。本気かね?」

「はい」

 

間髪入れずにルイズは頷いた。

 

「では、頼むとしよう」

 

承諾したオスマンに教師たちは何か言いたげな顔をするが、この空気では言い出せ様もなかった。

それに加えて、十六夜の実力が知れ渡っていたのも一因だろう。

 

 

 * * * * * *

 

 

あの後、十六夜が行くということでキュルケが立候補し、加えてタバサも同行することになった。

オスマンと十六夜を除く全員が去った後、十六夜はオスマンに『破壊の杖』の形状や特徴を尋ね、その情報からある推測を立てた。

十六夜の懸念はそれが少々荒唐無稽な想像であるということだ。

 

思考の海に沈んでいる十六夜には周囲の音(ルイズとキュルケの口喧嘩、馬車の音等)が聞こえておらず、結局、着いてからルイズにはたかれるまで気づかなかった。

当然、避けたので当たったのは馬車の壁であり、痛い思いをしたのはルイズである。

 

「もう着いたのか。意外に早かったな」

 

正直、十六夜1人が走った方が何倍も速いのだが、十六夜の推論が正しいと仮定すると、行動に余裕ができたのである。

金糸雀と過ごし、現代社会に適応した十六夜の精神は一応、集団行動もできるようだった。

キーキー喚くルイズをいなしながら、簡素なボロ小屋に歩いていく。

小屋の奥には布で包まれた円柱状のものがあり、布を取り払ってみると真っ黒な筒が現れた。

 

「はっ、M72かよ。ずいぶん古いじゃねえか」

 

出てきたのは十六夜の世界の武器―ロケットランチャーだった。

予想通りの事実に退屈を覚えるが、同時に一つの疑問が浮かぶ。

 

(何でこんなものがここにある?)

 

普通に考えれば、自分と同じように召喚されたのだろう。

だが、これだけがピンポイントで召喚されるのはおかしい。

つまり、これ以外にも召喚されたもの、もしくは持ち込んだ人間がいるはずだ。

 

(後であの爺さんを問い詰めてみるか)

 

ここまで考えて十六夜の思考は中断された。

近くで巨大なものが動く気配がしたのだ。

振り向いてみると、小屋の外にいたのはいつかの土人形―ゴーレムだった。

フーケで間違いないだろう。

タバサが反応し、呪文を唱えた。

巨大な竜巻がゴーレムを襲うが、ビクともしない。

キュルケが炎の呪文を加えるが、それすらも意に介さないようだった。

 

「無理よこんなの!」

 

キュルケが叫んだ。

 

「退却」

 

タバサが呟く。

2人は一目散に逃げ出した。

小屋の外にいたルイズは成功すらしない呪文を唱え、杖を振りかざす。

が、珍しく成功し、ゴーレムの一部が爆発して欠けた。

ルイズは表情に希望を浮かばせるが、すぐに引き締める。

欠けただけで、倒れてはいなかったのだ。

それも、すぐに再生してしまう。

ゴーレムがルイズの方を振り向いて、近づいてきた。

ゴーレムの拳がうなりを上げようとした時、ルイズの横を疾風が駆け抜ける。

十六夜はまっすぐ向かって来るゴーレムの拳に自分の拳を叩きつけた。

吹っ飛んだのはゴーレムの腕で、十六夜はその勢いのままゴーレムの腹を蹴り上げた。

爆音を立てて木端微塵になるゴーレム。

だが、十六夜の狙いはそれだけではなかった。

方々に飛来するゴーレムの破片の一つが小屋を貫通して、地面に大穴をうがった。

衝撃で小屋が崩れ落ち、廃材の山と化す。

すると、瓦礫の中から音を立てて立ち上がる影が一つ。

 

「よお。久しぶりだな、黒装束」

 

全身から殺気を放つ黒い男だった。




まだ、一巻終わらない。終わる気がしない。
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