問題児が召喚されたようですよ?   作:神ジーク

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入試が刻一刻と近づいている今日この頃。俺はSSを書き続けます。


第十五話 第二回戦は意外な結末になったようですよ?

瓦礫の上に立つ黒装束の男は考える。

 

やはり、この男相手に気配を消しきるのは不可能なようだ。

今回、遭遇する予定はなかったが、そうなってしまっていることがそれを物語っている。

戦うか?

得策ではない。

完全に癒えてはいないのだから。

逃げるか?

可能性がないわけではないが、困難だろう。

しかし、そうするしか生き延びる方法はない。

依頼を放棄する。

 

決定してからの男の行動は早かった。

十六夜の減らず口に取り合わず、後方に大きく跳び、森に紛れる。

当然、十六夜が追う。

見たところ、十六夜と男の速度は互角に思えるが、男の怪我の影響か十六夜の方がわずかに速かった。

やがて、追いつき、並走する。

 

「オイオイ、逃げんなよ。楽しもうぜ」

「・・・・・・・・・」

 

返事はない。

当然である。

男はもとより楽しむ気もないし、逃げることしか考えていないのだから。

このまま森の中を走り続けるつもりも、男にはない。

ならば、どうするか?

 

「っ!」

 

男は速度を殺すのも躊躇わず、地面を全力で踏み込む。

同時に、魔法を解放し、辺りに乱気流が吹き荒れる。

いや、乱気流というレベルではない。

家屋さえも吹き飛ばしてしまいそうな竜巻だった。

実際、いくらかの木々が宙を舞っている。

暴風に耐えながら十六夜は楽しそうに笑った。

 

「やるじゃねえか、黒装束!もっと楽しませろ!」

 

しかし、十六夜の声が男に届くことはなかった。

男は風に乗って上空にいたからだ。

そのまま、風を足場にしてこの場を離れていく。

いつもの十六夜なら逃がすべくもないが、嵐そのものと化した暴風が十六夜の自由を封じる。

山河を砕き、音速を凌駕する十六夜の身体能力も形無き自然にはてこずるのである。

これが魔法で生み出された風や炎なら話は違ったかもしれないが、ただ魔法で操られるだけの風は相性が悪かったともいえる。

数十秒後、十六夜は竜巻から抜け出すが、もうその場には誰もいなかった。

黒装束の男にとって、数十秒は逃げるのに十分すぎる時間だったのだ。

残された十六夜は小さく舌打ちし、

 

「・・・つまんねえ幕開けだな」

 

もと来た道を引き返した。

 

 

 * * * * * *

 

 

十六夜が黒装束の男を追って森に消えた後、何事もなかったようにゴーレムは復活した。

土くれが操られているため、破壊されても修復可能なのだ。

フーケにとって当たり前の魔法でも、それを敵に回したルイズたちからすれば、悪夢以外の何物でもない。

幸い、ルイズはタバサのウインドドラゴンに拾われて、空中にいるため、危険は及ばないだろうが、このままではフーケに逃げられてしまうのは明白だった。

 

「降ろして、タバサ!こなままじゃあのゴーレムを狙えないわ!」

 

ルイズが焦ったように言うが、タバサは首を横に振るだけだ。

 

「地上にいても当たんないでしょ」

 

キュルケがからかうというより、呆れた口調で言う。

ルイズがキュルケを睨む。

 

「それでも!貴族の誇りにかけてあの盗賊は捕まえなきゃいけないわ!」

「その言い分は立派だけど、どうやって倒すのよ?ダーリンはいないし、あなたの魔法は当たらない。あたしの炎もタバサの風も効かないんじゃ、どうしようもないでしょ」

 

ルイズは悔しそうに口を噤む。

 

「どうしようもあるかもしれないぜ!」

 

大きな声がそれぞれの耳に届いた。

声の方向を見ると同時に、大きな揺れを感じる。

十六夜である。

彼はウインドドラゴンの尻尾に捕まっていた。

揺れの正体は明白だった。

そこからよじ登ってきた十六夜にルイズは苛立ちの混じった視線を向ける。

 

「危ないじゃない!」

「ヤハハ、気にすんな。この程度の高さなら問題ねえ」

「先に乗ってる人のことも考えなさいって言ってるの!」

 

口喧嘩?に興じようとするルイズを差し置いて、キュルケは十六夜に期待の眼差しを向ける。

 

「ダーリン、あの怪物を吹っ飛ばしてくれるのね!」

 

当然、そう思うだろう。

しかし、

 

「いや、今回俺は手を出さねえよ」

 

返ってきたのは否定の言葉だった。

呆然としたキュルケが何か言う前に、十六夜は次の言葉を紡いだす。

 

「興が冷めたし、何より、俺が手を出す必要もなさそうだからな」

「どういうこと?」

 

ルイズが訝しげに質問した。

 

「とって来てんだろ?『破壊の杖』ってのを」

 

ルイズは一応、筒状のそれを取り出すが、疑問をさらに強めた。

 

「使い方知ってるの?」

 

さっき、ルイズが触ってみた時、ウンともスンともいわなかったのだ。

タバサやキュルケに関しても同様である。

十六夜は『破壊の杖』———ロケットランチャー———を受け取ると、なにやらいじくりだした。

安全ピンを引き抜き、リアカバーを出す。

インナーチューブをスライドさせ、照尺を立てる。

そして、そのままルイズに渡した。

 

「?」

「この筒になってるところをゴーレムに向けて、ここにある引き金を引いてみろ。それが使い方だぜ」

「!わたしに使えっていうの?」

「ああ。俺はゴーレムを操ってる盗賊を捕まえてくる。ゴーレムを出している間は油断してるだろうしな。一応言っとくが、それの後ろに立つなよ」

 

そう言い残すと、十六夜はウインドドラゴンの背から飛び下り、着地するや否や森に入った。

 




一つご意見を伺いたいことがあります。あの苦労人のウサギさんを出すべきでしょうか?それとも、このまま十六夜オンリーですすめていくべきでしょうか?決めかねています。
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