問題児が召喚されたようですよ?   作:神ジーク

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最近、ガンランスに変えました。狩りのタイムは縮まったけど他のハンターを吹っ飛ばす確率が急増し、申し訳ない気分になりました。


第二十話 主人と使い魔が大喧嘩するそうですよ?

「よろしくお願いします」

 

そう言って頭を下げるアンリエッタを前に十六夜はただ沈黙していた。

人に、それも名も知らない初対面の他人に頭を下げるというのはなかなかできることではない。

加えて、アンリエッタは滅亡に片足突っ込んでいる国のとはいえ、曲がりなりにも王女だ。

頭を下げた回数など片手で数えられるほどもないだろう。

もしかしたらこれが初めてかもしれない。

つまり、彼女の頭は決して軽いわけではなく、非常に重いのだ。

だからこそ、彼女の覚悟の多寡が伺える。

ややあって十六夜は口を開いた。

 

「いいぜ」

「え?」

「え?じゃねえよ。協力するって言ったんだ。もっと喜べお姫様」

 

不機嫌そうな声音だったが嘘には聞こえなかった。

 

「ほ、本当に?」

「この状況で嘘をつくかよ。第一言い出したのは俺だぜ」

「本当の本当ですか?」

「しつけーな。撤回するぞ?」

 

どうやら本気で頼みを引き受けてくれるらしい。

その事実にアンリエッタは諸手を挙げて喜んだ。

今までの沈痛さが嘘のような笑顔だ。

つられてルイズまでも笑顔になっている。

 

「よかったですね!姫様!」

「ええ!ルイズ・フランソワーズ!これでこの国は救われるわ!」

 

実際そんなに簡単ではないのだろうが、政治に直接関与していないアンリエッタやルイズは知る由もない。

そして、この喜び方から、ほぼ初対面の老人と結婚させられることも忘れているのだろう。

十六夜はそのことに気づいていたが、空気を呼んで口に出さない。

いくら問題児でも度を越したKYではないのだ。

 

「使い魔さん!このお礼は必ずします!」

「まず、その使い魔って呼び方が気に食わねえ。俺は逆廻十六夜だ」

「す、すみません。では、イザヨイさん。本当にありがとうございます!」

「気にすんな。それよりどうする?明日にでもここを出た方がいいか?」

「あ、はい。できればそうしていただけた方がいいです」

「オーケー。明朝に出発する。それまでに何か起きたらそこの御チビ様にでも伝えてくれ」

「わかりました」

 

トントン拍子に話が進んでいく。

自分が蚊帳の外にいるような気がしたルイズは慌てて声を上げた。

 

「わたしはどうするのよ、わたしは?」

「留守番」

 

気のせいではなく本当に蚊帳の外だった。

 

「冗談じゃないわよ!」

「安心しろよ御チビ様。俺がいない間は――――」

 

言いながら十六夜は後ろ手に部屋の扉を開け放った。

 

「わっ!」

 

すると隠れていた何者かが倒れ伏す。

それは少女漫画から抜け出してきたような顔立ちの男で、

 

「―――こいつが守ってくれるさ」

 

要するにギーシュだった。

それを見たルイズは目を丸くして言った。

 

「ギーシュ!あんた!まさか立ち聞きしてたの?今の話を!」

 

しかしギーシュはルイズの問いには答えず大声でしゃべりだした。

 

「その話で行くと僕も留守番じゃないか!いいかい?僕はグラモン家の息子なんだ。だから姫殿下の為に付いていくのは当然―――――」

「知るかよ。お前、俺に付いて来て役に立てるようなことがあるか?」

「うっ」

 

以前完膚なきまでに圧倒された十六夜に動かぬ事実を提示されてギーシュは黙り込んだ。

それを見て十六夜は視線をルイズに移し、

 

「御チビ様もだ。大使としての証明ならお姫様から王家の捺印がされた親書を貰えばいいし、地理も俺は把握している。危険を冒して御チビ様が来る必要はない」

「そ、それでも、何か役に立てるかもしれないし・・・・・・」

 

食い下がるルイズに十六夜は無慈悲ともいえる一言を口にした。

 

「正直に言わせてもらうぜ。足手まといだ」

 

一瞬で場の空気が凍結したように冷たくなった。

これがちょっと治安の悪い場所に行く程度なら十六夜もこうは言わなかった。

ちょっかいをかけてくる馬鹿はいるだろうが、十六夜が蹴散らせばいいのだから。

しかし、今回ばかりはそうは言えない。

目的地は戦場である。

それも敗北寸前の将の元という何が起きてもおかしくない場所。

危険だということももちろんあるが、それ以上に十六夜はルイズに人間がゴミのように死んでいく世界を見せたくはなかった。

精神的に幼いし世間知らずな、しかしどこか一本筋の通った誇りを持つこの少女を十六夜はそれほどまでには気に入っていたのだ。

しかし、その意が必ずしも相手に伝わるとは限らない。

むしろ伝わらないことがほとんどだろう。

十六夜も伝える気はなかった。

だから、今から起きることもある意味では自然なことだった。

 

「・・・・・・・・・・・・うるさい」

 

ルイズが消え入るような声でぼそりと呟いた。

何度も同じ言葉を呟く。

 

「・・・・・・うるさいうるさいうるさい」

 

そして

 

「うるさいッ!!!!」

 

感情を爆発させるように叫んだ。

それを境にせき止められていた感情が雪崩のように放たれる。

 

「あんたに何がわかるのよ!あんたは強いわ!理屈なんかどうでもよくなるくらいに!でも、その主人であるわたしは弱い!魔法もろくに使えないし!かといって他に胸を張れるようなことはないし!確かにあんたなら一人で行って無傷で帰ってくるんでしょうけど!あたしが付いて行っても足手まといになるだけでしょうけど!そうやってあんたも馬鹿にするのね!いつもそう!みんなみんな、ゼロだの、落ちこぼれだの、馬鹿にして!もう知らない!あんたなんてどっかに行ってしまえばいい!」

 

理路戦前とはかけ離れた、しかし決して勘違いなどできない正真正銘のルイズの心の叫びだった。

言い終えると同時にルイズは部屋を出て行った。

今日何度目かの静寂が、しかし格段に重い静寂が辺りを完全に支配した。




ガンランスの何が悪いんでしょうか?竜撃砲でしょうか?でも当たっちゃうんですよねーアレ。
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