問題児が召喚されたようですよ?   作:神ジーク

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第二話です。がんばります。


第二話 使い魔は言う事を聞かないようですよ?

人気の少ない薄暗い場所。

2人の男女が立っていた。

こそこそと何か話している。

 

「で、どうだったの?」

 

女が言った。

真っ黒なマントを着こんでいる。

 

「貴様の計画に邪魔になりそうな者はいなかった。己の経験と直感もとるに足る者はいないといっている。ただ・・・・・・」

 

毛ほども感情を感じさせない声で男が言った。

男も女と同様な格好をしている。

ただし顔は見えない。

 

「ただ?」

「一人だけ明らかに異質なものを感じさせる者がいた」

「危険はあるの?」

 

女は怪訝な顔をして問う。

男は一瞬黙り込み、

 

「未知数としか言いようがない。警戒するに越したことはないだろう」

「そう。監視を頼めるかしら?」

 

男は静かに首を横に振った。

 

「無理だ。気づかれる。あの時、奴は己の気配に気づいていた」

 

女は驚いたように目を見開き、

 

「驚いたわね・・・・・・・・・。あなたに気づく学生がいるなんて」

「いや、学生ではない。学生の呼んだ使い魔だ」

「使い魔?誰の?」

「貴様でも見ればすぐに気づく。あれはこの世界では異常なのだからな」

 

女は少し考える素振りを見せると、踵を返す。

 

「まあ、いいわ。予定通り計画の準備を進めて頂戴」

「承知した。報酬分の仕事はしよう」

 

男は立ち去っていく女の背中を見ながら、声に出さず思考した。

 

(あの奇妙な格好の男・・・・・・、反射的に掛けたとはいえ己の金縛りを短時間で解くとは・・・・・・、何者だ?)

 

 

 * * * * * *

 

 

「で、あんた誰よ?」

 

変な使い魔を呼んでしまったあげく、同級生にバカにされたルイズは不機嫌そうに十六夜に声をかけた。

対する十六夜はルイズの機嫌などどこ吹く風というようにひょうひょうと答える。

 

「十六夜様だぜ、貴族サマ。以後よろしくな」

「その貴族サマって言うのをやめなさい!バカにしてるの!?」

 

十六夜は驚いたような顔を作り、おどけて言った。

 

「オイオイ、心外だな。俺が貴族サマに不敬を働いたって?」

「それが不敬だっていうのよ!礼儀を知らないわね!」

 

ルイズは今にも噴火しそうなほど怒りを露わにしていたが、十六夜には関係なかった。

感情の起伏が激しい奴だなと思った程度である。

十六夜はルイズに問いかける。

 

「おい、お前が俺をここに召喚したんだよな?」

「そうよ!だからあんたはわたしの使い魔!」

「そんなことはどうでもいい」

 

ルイズは十六夜が「元の場所に帰せ」などとのたまうと考え、否定と罵倒の準備をする。

ここまでバカにされては少しばかり?文句を言ってやらなければ貴族のプライドが許さない。

しかし、十六夜の口から発せられたのはルイズの予想を上回る物だった。

 

「この世界は、面白いか?」

 

会話の流れも内容も無関係な問いにルイズは呆気にとられた。

用意していた叱責や罵倒も吹き飛んでしまう。

それでも何とか答えをひねり出す。

 

「知らないわよ、バカ!」

 

十六夜は声を押し殺したように笑い、

 

「そうかよ。まあ、さっきの様子を見る限り元の世界よりは楽しめそうだ」

「楽しむ余裕なんてあげないんだから!あんたには使い魔として・・・・・・」

 

ルイズが言い終える前に十六夜は姿を消していた。

慌てて姿を探すと、十六夜は校舎の屋上に立っていた。

どうやってあの一瞬であそこまで移動したのか、ルイズには理解ができなかった。

 

(一瞬であそこまで跳んだっていうの!?)

 

しかし、ルイズはその考えを否定する。

メイジでもない人間にそんなことは不可能だからだ。

いや、普通のメイジでも難しい。

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!」

 

ルイズが叫んだ時には屋上に十六夜の姿はなかった。

残されたルイズは一人喚き散らした。

 

「いったい何なのよ、あの使い魔はーッ!」

 

 

 * * * * * *

 

 

一方、十六夜が向かったのは学院長室だった。

十六夜は中年男性と少年たちの関係を教師と生徒だとあたりをつけ、ここは学校だろうと推理した。

となると、自分がある程度ここでの自由を得るためと、この世界の事情を訊くためにこの学校の長に話をつけた方がいいと思ったのだ。

前者は拒否されても勝手にするが後者は今後の為にも必要だった。

十六夜は机で何かの作業をしている長い白髪の老人を発見し、老人がいる部屋に飛び込む。

もちろん、無断だ。

ガラスも割れた。

 

「何者じゃ!」

 

老人が不躾な侵入者に杖を向ける。

慌てないところはさすが魔法学校の学院長だといえる。

十六夜は不敵に笑う。

 

「ヤハハ、ちょっと失礼。俺は坂廻十六夜。あんたがここの責任者か?」

「確かに私はこのトリステイン魔法学校の学院長じゃ。今一度問おう。君は何者じゃ、十六夜とやら?」

「あんたのとこの生徒に異世界から召喚された使い魔だそうだぜ?この世界は俺が元いた世界よりは退屈しなさそうなんでな、少しばかり課外活動中だ」

「どこが少しばかりじゃ!学院長室をめちゃくちゃにしよって!・・・・・・ん?君、今異世界から来たと言ったな?それも使い魔として召喚されたと」

「嘘はついてないぜ。ほら、見ろよ。これが使い魔のルーンなんだろ?」

 

そう言って十六夜は左手の甲を見せつける。

そこには確かにルーンが刻まれていた。

学院長オールド・オスマンでもあまり見たことがないルーンだったが。

 

「確かに。君は使い魔で間違いないようじゃ。では誰の使い魔かね?」

「桃色の髪のチビ貴族サマだ。名前はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールって言ってたぜ」

「ふむ、ミス・ヴァリエールか。では、君は異世界と言ったが本当かね?できればその異世界の名前を教えて欲しいのじゃが?」

「それはいいが条件がある」

「何じゃね?」

 

十六夜はニヤリと笑うと指を二つ立てた。

 

「一つ、俺のこの学園での自由を保証しろ。別に機密まで知ろうとはしねえよ」

「いいじゃろう。もとより生徒の使い魔の行動を制限する法はない。破壊活動や迷惑活動は別じゃがな」

 

オールド・オスマンは快く快諾した。

十六夜は指を一つ折り、

 

「二つ、この世界の情報が欲しい。何分、来たばかりだからな」

「それならば、図書館を利用すると良い。口頭で伝えきれぬものもあるじゃろうて」

「ありがとよ。場所は自分で探す。その方が面白い」

「そうかの。では、君の話を聞こうか」

「オーケー。何から聞きたい?」

 

十六夜はゆっくりと自分の世界のことを話し始めた。

 

 




今回はちょっと時間が足りませんでした。今後の展開は考え中です。
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