呑気な悪魔の日常   作:ケツアゴ

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バイサーって兵士だったのかな? あの体格差で小猫にパワー負けしてたし、獣の肉体なのに木場にも速度負け  逃げた時点で強化解除って設定有りましたっけ?



CMで流れる例の歌……ちょっと苦手 オバロとか録画した番組のCmをワンタッチスキップしてると丁度途中流れるんだが……うん、なんかなぁ


第十四話

「自宅デートというのも悪くない物ですわね。……映画館が駄目になったのは残念ですけど」

 

 リビングのテレビでは一昔前にヒットしたラブロマンス映画が映し出され、正面に置かれたソファーに座ったレイヴェルは隣に座るザナクにしなだれかかりながら甘える様に囁く。先程まで画面に向けられていた視線は既にザナクの横顔にのみ注がれていた。

 

「堕天使の幹部が潜入してるからねー。人混みで襲われたら厄介だし、こうやってのんびりするのも良いものでしょ? リュミネルとも普段はこうやってるよ」

 

「あら、何時もこんな事を? 少しばかり妬けますわね」

 

 レイヴェルの視線は自分の臀部へと向けられる。ザナクの手が先程からスカートの中に滑り込み下着の上から撫で回していた。拗ねたように脇腹を抓り、笑いながら体を擦り寄せる。

 

「……並んで映画観てるだけ。主様、ワザと言ってる?」

 

 ザナクを挟んで座るリュミネルも拗ねたようにズボンの上から腿を抓る。時折擽ったそうに身動ぎする彼女の服の中にもザナクの手が入り込んで胸を触っている。画面を見ているのは既にザナクだけであり、二人の視線は彼にのみ注がれていた。

 

「痛い痛い。もう、二人とも大げさなんだから。ゆっくり楽しもうよ。大侵攻は第二次調査隊の報告待ちだし、今は時間があるんだからさ」

 

 アーシアは講習を受けに冥界に行っており、アレイシアは頑張っている彼女へのプレゼントを買いに出掛け、花月は世界の名酒展に行っている。桃十郎は筋トレとして岩山を担いで一日立ち続けるそうで、クリスティはお昼寝中だ。つまり三人だけしか居ないのと変わらない。

 

「あら、何をゆっくり楽しむ時間があるのかしら? 下着の中にまで手を入れてみます? ……どうなっても知りませんけど」

 

「……この前の続きする? ボク、途中で気絶…寝ちゃったし……」

 

 ザナクを押しつぶすように左右から体を押し付ける二人。彼自身も二人の体に回した腕に力を込めて引き寄せている。

 

「そうだね。……寝室に行くのも焦れったいし、此処で楽しもうか……」

 

 二人は一瞬びっくりした様子だが無言で頷く。そしてザナクの手が下着の中に滑り込もうとした時、床に魔法陣が出現し、一人の男性が現れた。

 

「やあ。ちょっと時間が出来たから会いに……来ない方が良かったみたいだね」

 

 誰がどう見ても今からお楽しみですという光景に気まずい様子の男性。レイヴェルは恥ずかしがってバッと離れ、リュミネルは俯きながら拳を握りしめる。

 

 

 

「……何で毎回毎回邪魔が入るの?」

 

 何故かは神様にも分からない。本当に何でだろうか……。

 

 

 

 

 

「来るなら来るで事前に連絡を入れるべきだったか。悪かったよ、ザナク」

 

「……別に良いよ。それより映画の撮影や試合の方は大丈夫なの? 叔父上」

 

 テーブルを挟んで座り、先程の気まずさを誤魔化そうとする彼の名はディハウザー・ベリアル。レーティング・ゲームのチャンピオンであり、皇帝と称される魔王クラスの実力者だ。メディアやゲーム関連に加えて最上級悪魔として多忙な日々を送る彼ではあるが、どうも久々のオフらしい。

 

「撮影はまだ始まっていないし、さっき打ち合わせが終わってね。それにしても久し振りに会ったら大きくなって。まるで私の子の様だよ」

 

「いや、それだったら叔父上は双子の姉に手を出したって事になるけど?」

 

 多忙な中、暇を見つけて甥に会いに来た彼に気を使ってかレイヴェル達は席を外しており、二人はこの場だけは身内でも隙を伺い合うのが普通の貴族としての顔を捨て去り、身内として話をしている。そんな中、話はレーティング・ゲームへと移った。

 

「……流行してるのは分かるけど、戦うのが当然って場所の出身からすれば興味は無いかな? 叔父上が凄いってのは知っているけど、結果だけじゃなくて経過まで考えたりしなくちゃならないのはね。戦いに必要なのって被害を最小限にして敵に最大限の被害を与える事でしょ?」

 

「まあ、確かに政治的理由が勝敗に関わったりするし、一種のショーであるからね。君の立場からすれば堕天使に手の内が知られたり、思わぬ怪我を負うのは避けたいか。でも、君がどれだけ強くなったか気になってるし、甥っ子とのゲームってのも盛り上がりそうなんだよな。……ああ、そうだ。夏休みに何日か鍛えてあげよう。あの力、まだ苦手なんだろう?」

 

 ディハウザーの提案に嬉しく思いながらも、苦手な力の特訓と聞いて辟易するザナク。誤魔化すように目を逸らすもディハウザーはニコニコ笑いながらプレッシャーを掛けてくる。逃がす気はないようだ。

 

「僕はアルシエル家の黒い太陽の魔力に適正を振ってるからなあ。あっちは威力もコントロールも苦手でさ。……っと、ごめん。眷属からメールだ。しかも厄介事専用のアドレスにね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴金属は……遠慮するか。かといってスイーツはクリスの手作りやオッサンの黍団子が絶品だし……リュミネルにでも意見を聞くべきだったか。僕、こういうの詳しくないしな」

 

 ザナクのマンションをディハウザーが訪れる少し前、頑張っているアーシアに贈り物がしたいと思ったアレイシアは買い物に出掛けたのだが、何を贈るべきかで悩んでいた。もう直ぐ昼飯時と言うこともあり、お腹も減ってきた。

 

「ゲーセンでヌイグルミでもゲットするか。その程度なら遠慮しないだろうし、飯食いながらアーシア位の子が好きそうなのをネットで調べてっと……」

 

 何考えているか分からない上に幼女にしか見えないクリスティだが料理は上手だ。元々食べることが大好きだったので、より美味しい物を何時でも食べられるように上達したらしい。そんな料理を、クリスティが拗ねるなどしない限り毎日食べているので少し物足りなく感じると思いながらもアレイシアは一番近くにあったフェミレスに入っていった。

 

 

 

「これは美味い! これも美味い!」

 

「やっぱり故郷の味が一番よねっ!」

 

 まさに暴食ここに極まれり。テーブルに並べられた大量の料理をゼノヴィアとイリナが食べている。その程度なら無視しただろう。悪魔祓いが腹を壊そうが金が足りずに困ろうが関与しない。元より管理者であるリアスが不干渉を約束した以上は何も出来ないし、する気もない。

 

 ただ、彼女達の向かいの席に一誠・小猫・匙の三人が座っているのは見過ごせなかった。ゼノヴィア達は料理に夢中で背後のアレイシアに気付かないが、三人とは正面なので目が合う。明らかに都合が悪いときに出会したという顔の三人に対し、アレイシアは親指を使って離れた場所に来るように指示した。

 

 

 

 

 

「……相席じゃねぇよな、店内見る限りよ。何で二人と飯食ってんだ、お前らはよ」

 

 二人から見えない場所に移動した三名に対し、アレイシアは凄みをきかせた声で問い質す。最初に口を開いたのは一誠に呼び出されて此処にいるらしい匙であった。

 

「いや、実は木場の為に聖剣をぶっ壊す手伝いの許可を取りに……」

 

「あぁん? お前ら、今の情勢分かってんのか?冷戦状態、戦争一歩手前。ってか、堕天使と戦う場合、ウチの領地が最前線だ。木場の為? なら、ウチの領地の民衆大勢の為に我慢して貰え」

 

 これ以上言うことはないと去ろうとするアレイシアだったが、その袖を小猫が掴んで止める。戦車の特性で怪力を手にした彼女の腕を振り払うのは容易ではないと判断したアレイシアが動きを止めて振り向くと涙目になっていた。

 

「……お願いします。このままじゃ居なくなってしまいそうで」

 

「なあ、頼むよ! 木場の復讐を手伝ってやりたいんだ! そうだ、お前も彼奴の過去を知れば……」

 

 アレイシアに口止めし、あわよくば協力を取り付けようとする一誠が聖剣計画の事を話そうとするが、アレイシアはそれを手で制した。

 

「……ウチの領地の孤児院じゃ出身者も今いる餓鬼も訳ありだらけだ。影を操る神器の力を理由に迫害された奴。敵対する種族に里を滅ぼされた妖怪の生き残り。俺だって少年兵として訓練を受け、祖国に隊ごと見捨てられて俺だけが生き残った。重かろうと辛かろうと背負って生きていかなけりゃならないもんは有るんだ。……お前達の主には喋らないで居てやる」

 

 だから諦めろと言い残しアレイシアは去っていく。その後、遠くから双眼鏡で観察し、木場と合流してゼノヴィア達と行動する様子を見たアレイシアは携帯を取り出した。

 

 

 

「……僕の主に知らせないとは言っていない。仲間のために行動するのは正しいが、今回は限定的な範囲での正しさだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「へえ、大変そうだね、ザナク。……所で日本には土曜の丑の日ってのがあるそうだけど」

 

「……もしもし。鰻重の特上を五人前お願いします」

 

「お金は私が出すから安心しなさい。……さて、面倒な事になったな。私が下手に関わると問題がこじれそうだ……」




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