ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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秘球の投げ方、理屈は説明できません。


098発目 絶対に打てない

 

5回表ノーアウト3塁

福島2-0埼玉

 

 

福島監督「この流れでヒッティングで行くぞ」ササッ

 

監督からヒッティングのサインが出る

 

 

月(来い、ランナーは気にするな)

須咲「元より小市民に興味などない!」

 

ズドンッ「ストライクバッターアウト!」

 

 

福島監督「ぐぬぬ」

(ヒッティングは継続だ)

 

コクッ

 

ズドンッ

「ストライクバッターアウト!」

 

 

須咲「はあ、あと1人」

由太郎「いいぞ須咲ー!」

御柳「打たせてもいいんだぜ」

 

月(揺さぶられた方が嫌だったけど)

 

 

県対抗総力戦の監督はどこかの高校の監督ではなく高野連から派遣された人が務める。

自チームの選手を贔屓するなどの私情を挟まないようにするためである。

 

しかし、この福島のようなほとんど1チームの都道府県選抜にはそれが裏目に出るケースもある。

 

 

 

福島監督「行けー打てー」

 

須咲「笑止千万」

ズドンッ「ストライクバッターアウト!チェンジ!」

 

 

 

『須咲くん踏ん張りました!大ピンチでしたが三球三振!』

『最初の2点だけに抑えることができましたね』

 

『ノーアウト3塁からの福島の攻撃が単調だったのは気になりますね』

『福島は準決勝までにバントなどの小技はほとんどしていないチームカラーですからそれを実施しただけなのでしょうが…』

 

 

 

スタンドの記者スカウト勢も色めき立つ

 

「いい選手ですね彼は!メンタル面も申し分ない」

「あとはスタミナですかね」

「しっかりと仲間を背負って投げているのがわかります」

 

 

 

犬飼「とりあえず、よくやったな」

 

 

 

金剛「決め球引き出してくるから見てて!!」

 

 

ズドンッ「ストライクツー」

 

金剛「追い込まれた!!」

嗚「わざとじゃないの?」

 

 

妙高(来た、ここで試してみないと)

 

 

妙高が桜花の発言で引っかかったのは相手投手のボールを見ている感情。

 

何も考えずに見ている。

 

普通相手投手のボールは打ってやると思って見ているのが自然である。

意識せずともどうやって打とうと考えるもの。

 

妙高が試したのは打とうとせずに見るというもの。

 

 

妙高「あれ、振りかぶった…」

 

今まで3球目の片鱗さえ見えなかったのが振りかぶるのを見た。

この瞬間、妙高の考察が間違っていないと本人の中で証明される。

 

しかし、その瞬間妙高の意識が飛ぶ。

 

 

 

妙高「え?」

 

気づいたときには金剛の打席は終わっていた。

 

相手投手を打とうと思わないことの難しさを知る。

 

 

妙高「みんな!」

 

 

妙高は自分が感じた攻略法をチームに伝える。

 

武蔵「なんじゃそりゃ」

御柳「だから桜花が….」

 

桜花「ん?」

 

黒豹「どうやってわかったんやそれ」

妙高「ああ、それは…」

 

 

由太郎「でもそんなん打てるわけないんじゃ」

猿野「ああ、打席で打とうとしないなんてありえねえよ」

 

 

明鯱止水(めいこしすい)

 

打とうと思っている人に認識させないボール。

向かい合うバッターに認識させたことは未だ無い。

 

 

妙高「確かに、見てるだけでも途中で認識できなくなったんだ」

月「じゃあやっぱり決め球前に打つしか」

 

 

白雪「そうだね、あの球が来る前に叩こうか」

「はい!」

 

御柳「それしかないか」

猿野「無意識で打ってみたい気もするけど」

 

白雪「でも自分の打席以外ではその打とうと思わないで秘球の認識にだけ努めてください」

 

 

 

嗚(なにかわかったのかな)

沼崎(気づいても打席で認識できるわけない)

 

 

埼玉選抜は作戦をガラリと変えて初球からどんどん打ちにいった。

その結果、何回もチャンスは作るがここぞという場面での“明鯱止水”に手も足も出ない。

 

この作戦が悪手だったことが8回にわかることになる。

 

 

 

一方守備はリリーフした桜花が素晴らしいピッチングを見せる。

100マイルでゴリ押しするのではなく、コントロールと緩急を使った本来のピッチング。

 

福島打線の全てのタイミングを外す。

 

 

『絶対エース桜花(まる)が帰ってきました!』

『クールな表情で福島打線を寄せ付けず9者連続で凡退!』

 

 

清池「くそ、これじゃ春と夏と同じだ」

沼崎「これじゃ死にきれねえなあ」

 

 

 

8回裏

白雪「代打玄渕」

 

『ここで埼玉は代打攻勢に出るようです』

『まずはチームリーダーの玄渕、ネクストには左の強打者古家が控えています』

 

 

玄渕(この回、この回で1点でも返さないと)

主審「君、三振だよ早く戻りなさい」

玄渕「?!?!」

 

 

『おっと三球見逃し三振!どうしたのでしょうか打つ気力のようなものを感じられなかったですが』

『代打ですから3回振ってほしいですけどねえ』

 

 

白雪「これは…」

妙高「そんなことしてくるなんてありえない」

黒豹「完全にやられたわ」

 

 

 

 

『3者連続ー!やり返しました福島選抜の大神嗚!』

『2点差のまま最終イニングに突入します!』

『9回は両チームとも1番から始まる好打順!』

 

 

 

嗚「もう全部“明鯱止水”だ!」

清池「春夏の借りは返させてもらう」

 

 

 




代打があっさり凡退するとムッと来ます。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。
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