『一巡目で唯一安打を放っている飛鳥がバッターボックスへ向かいます!!』
『先制を許したレオンズは先頭を出したいところ』
ほぼ1打席目で魁のボールを見切っていた飛鳥は粘ってフォアボールを選ぶ。
飛鳥(疲れさせるのもありかな♪)
ランナーで出た飛鳥は塁上からも揺さぶりをかける。
先ほど盗塁を許したバッテリーは必要以上に警戒してしまう。
ストレート主体になった配球に対して2番夏川がレフト前へ運ぶ。
ノーアウト1.2塁で弟の由太郎に回ってくる。
由太郎「さっきみたいにはいかないぞ」
前打席、チャンスで三振してしまった由太郎は手に力が入る。
その弟の様子を感じ取り、ランナーを気にせずしっかりと投げ込む。
弟の由太郎は兄に良いところを見せようと力み、
兄の魁は弟の前だとより冷静に自分の投球ができる。
キインッ
バットの真芯に衝突したが、ボールはショート正面に飛ぶ。
元太「うぉう」
バシッ
難しい打球ではあるが、ショート元太がボールを押さえる。
すぐさまセカンドファーストとボールが流れていき一気にツーアウトになる。
由太郎「なんでだー!」
猿野「よっしゃああ!」
『コースを突いたいいボールでした!!』
『パ・リーグの首位打者のバットから快音が聞かれませんね』
『悪くない当たりではあったんですけど、それがダブルプレーに繋がってしまいました』
ツーアウト3塁
このチャンスで4番に回ってきたレオンズ。
ここは同点にはしたいところ。
もちろん逆も然り。
『おっと歩かせてしまいました!』
『次の打者が全くタイミングが合っていなかったので5番勝負ですかね!』
5番指名打者のヒメラ。
ここ数年レオンズを支えるスラッガー。
衰えは見えるものの今季26本塁打87打点と好成績をマーク。
ズバッ
『三振ーーーー!!!!』
『ヒメラ2打席連続三振!!』
特にナックルにタイミングを狂わされ、二打席連続の三振に喫する。
これでレオンズはこの回1番からの攻撃、ツーアウト1.3塁のチャンスを作るも無得点で終える。
飛鳥「あらら♪」
御柳「ふぅ」
由太郎「むむ」
パ・リーグの絶対王者に微妙なムードが流れ始める。
その空気感にあてられたのか犬飼は先頭打者に四球を出してしまう。
犬飼「ちっ」
辰羅川「犬飼くん、集中してください」
犬飼「ああ、わりぃ」
高校時代の辰羅川は犬飼に寄り添い温かい言葉をかけるだけだったが、
プロになってからは時折きつい言葉も使うようになっていた。
由太郎(冥のやつ怒られてんじゃんかよ)
御柳(さっきは打ち損じてファールにしちまったから反省しないとな)
飛鳥(犬飼くん、次も出塁するよ♪)
ただこのバッテリーが話し合ったのは犬飼の集中を促すためではない。
傍から見ている野手の危機感を高める。
あいつが言われているのは点を取らない不甲斐ない自分たちのせいだ。
フォアボールを1つ犠牲にして野手の気持ちを一段階も二段階も引き上げた。
これはナンバーワン投手犬飼にしかできない作戦だった。
シーズン中にこの作戦を3度行ったが、3度とも2イニングス以内に逆転に成功していた。
大神月「辰羅川さん、言っちゃわるいけどナメてんの?」
辰羅川「何言ってるんですか、いったい何のことだか」
大神月(ふんっ、後悔させてやる)
辰羅川(月くん…まさか気づいているのですか)
犬飼には昔、師匠がいた。
月はその師匠の弟。
犬飼(大神さんの弟…)
(フォアボールを出したんだからここで打たれるわけにはいかない!)
キンッ
月「ふぅー」
(やっぱりここは気合い入れてくるか)
辰羅川(あれに着いてくるんですね)
追い込まれてから食らいつく月だったが、結局ライトフライに倒れる。
犬飼(よしっ)
『落ち着きを取り戻したでしょうか犬飼!!!』
『ランナーを釘付けのままワンアウトを取りました!!』
この後、犬飼は作戦通りにランナーを動かすことなく後続を打ち取る。
5回裏
レオンズは6番からの攻撃。
年齢制限のある国際大会にオーバーエイジ枠で4番に座ったファーストの谷海から始まる。
魁(この回は気をつけないといけないのであろう)
月(その通りです、いつもの下位打線とは思わない方が)
カキンッ
月が初球に選んだのはカウントを取れるナックル。
谷海はそれを一振りで持っていった。
『来たーーー!!!』
『最強打線がとうとう目を覚ましたか!!!!』
『まず口火を切ったのは6番の谷海!!!!』
『気持ちのいいフルスイングがボールをしっかりと捉えた!!!!』
『同点ーーーー!!!』
ホームランを打たれた後もピンチを招いてしまう魁だったが、何とかその1点でこの回を終える。
魁「一筋縄ではいかないのだな」
同点で前半を折り返します。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。