6回裏
同点で1アウト。
3塁上にはフェンス直撃のツーベースで出塁した御柳。
代打でライト前ヒットを打った内崎が1塁にいる。
打席には前打席ホームランの6番谷海。
初球のストレートを受けたミットを見つめて思う。
(このピンチを抑えてもらわないと勝機が……)
心配そうな月の表情をマスク越しに読み取るマウンドのエース。
魁(そんな顔をいつもさせてしまっている拙者は不甲斐ないピッチャーなのだろうな)
(それでもここは一歩も引かん!!)
カキンッ
『また大きな当たりーーーー!!!!』
『谷海二打席連発かーーーーー!!』
追いかけるのはレフトの武。
高卒6年目でレギュラーを獲得した期待の若手。
規定打席には到達していないものの打率.270 14本塁打とまずまずの成績を残す。
これからのワイルズを担うだろう注目株。
武「行かせない!」
タッ
バシッ
ボールに背を向け全速力で走り、頭を超えそうな打球をジャンピングキャッチ。
3塁ランナーはタッチアップで本塁を踏む。
『勝ち越しーーーー!!!』
『谷海の特大犠牲フライで1対2と勝ち越しました!!!』
谷海「ふぅ、あれが越えないのか」
『しかし、今のはレフトが上手かったですなあ』
『クライマックスシリーズでも良いところで打っていた打者ですね』
猿野「よいしょーーー!!!」
三遊間の速いゴロにダイビングでボールをキャッチする猿野。
シュッ
年々うまくなる猿野のサード守備。
今のも捕ってから立ち上がって送球する様も美しかった。
今年はめぼしい三塁手が多くないためゴールデングラブ賞の可能性もある。
この猿野の好守備もあり6回を1点で抑える。
7回ワイルズの攻撃はその猿野から始まる。
見逃し三振、セカンドゴロで迎えた三打席目。
ずっと一軍で戦ってきた猿野と違い、犬飼が初めてオールスターに出場したのは2年前。
甲子園で優勝した犬飼はそのルックスと相まって全国的に人気選手だった。
それが2年前、先発としてチーム一の存在になるとそのままオールスターに選出。
中継ぎ登板1イニングだけだったが、その空気感に触れた。
そして、翌年のオールスター。
初日の先発投手を任された犬飼。
これが猿野とプロ初対戦になる。
7年と半シーズン一軍で揉まれてきた猿野と空白期間の多かった犬飼。
××××××××××
一年前
全セのベンチ裏
猿野「あいつとの初対戦」
「オールスターで対戦になるのか」
自然と顔が緩んでしまう猿野。
「嬉しそうだね猿野くん」
猿野「うわっ、監督!」
白雪「いつまで監督なんだいほんと」
猿野「そんな嬉しくなんかないっすよ」
鵙来「いーや、嬉しいはずや!」
猿野「クローさん…」
鵙来「わいもやっとや!リベンジさせてもらうで!」
「それは
猿野「出やがったな!」
小饂飩「師匠に向かってなんて口の聞き方だ兄弟!」
-
大都ギガンツの右投右打1番サード。
バッティングと守備が高水準の選手。
下ネタを臆面もなく言い男性ファンが多い。
猿野「何が師匠だ!あんたがいなけりゃゴールデングラブ賞はオレのものなのに」
小饂飩「ふんっうまくなればいいのに」
「ユタ坊にも先輩として良いところ見せねえとな」
「確かにゴールデングラブ賞は難しいよな」
猿野「んだよ、わらわらと」
御柳「ギカンツの三遊間が堅すぎるんだよな」
1年前は愛知ブルードラゴンの所属だったのでセ・リーグのベンチ裏にいた。
牛尾「さ!みんな!同窓会してる場合じゃないよ!」
屑桐「ふんっ、いつもうるさいやつだ」
「ナンバーワントルネードはうちなっせ!」
屑桐「お前か、それはとっくに答えが出たはずだ」
鳴滝「ほんなら今日の試合よ〜見なっせ」
-
広島ボーイズのサウスポー投手。
アンダースローからトルネードで投げる。
プライドが高く徳島の方言がきつい。
元埼玉高校球児、もといそれに関係のある選手たちで盛り上がる全セの控室。
猿野「なんでもいいけど今日はオレが4番だからお膳立てしろよ」
「点取ってやっからよ」
御柳「けっ、冥が先発だから4番なだけなのに調子乗りやがって」
「話題性重視だろ」
世間的にも全国優勝した十二支高校において、4番猿野とエース犬飼は有名。
その2人がプロで初めてぶつかるこの試合は野球に興味が無い人でも認知するほどの盛り上がりだった。
さらにセ・リーグは犬飼と関わりのある選手を多くスタメンに起用した。
阪木「勇ー!オレのぶんまで頼むわ」
阪木は大都ギガンツのスター選手。
球界の盟主、ギガンツの若きキャプテン。
麻生「御柳!いい場面で回してね」
愛知ブルードラゴンの中継ぎエース。
甘いマスクで圧倒的女性支持がある。
外谷「鵙来さん!デカい一発お願いします!」
阪神ライガースの若き大砲。
今年のブレイク枠で外野守備能力も高い。
鈴本「鳴滝さーん!お先に活躍してきますね」
広島の若き天才4番バッター。
肩力という点ではおそらくプロ野球一。
オールスター戦が間もなく開幕する。
なぜかオールスター編に突入しました。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。