ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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審判が試合を作るようになったらおしまいです。


120発目 ユニフォーム売り上げ

牛尾「みんなのために……」

 

カキンッ

 

 

7回裏4点差

 

ツーアウト2塁で反撃したい3番牛尾の打球はピッチャーの右を抜ける。

 

 

「抜けた!!!!!」

 

 

由太郎「まだだ!!!」

 

ズシャアアアァァァァ

 

 

セカンドにコンバート以降日に日にうまくなっている守備も持ち味の1つになった由太郎が飛びつく。

 

 

チッ

 

伸ばした左腕に付いたグローブに少し触れる。

 

リーグでも平均より上の守備範囲を誇る由太郎。

 

ポジション別の貢献度はチーム内トップ。

 

 

その由太郎が触って勢いを失ったボールを同じくリーグ平均以上の守備範囲の御柳が咄嗟にカバー。

 

ポジション別の貢献度は由太郎に次いでチーム2位。

 

 

両者ともにその勝利貢献度は自分のポジションでプロ球団トップ。

 

 

勝利貢献度とは簡単に言うと控え選手に比べてどれだけ多くの勝ちを増やすことができたかという数値。

 

0.0は控え選手を使ったところでチームの勝利数には影響しないということ。

 

 

御柳「うらあぁ!!!」

 

 

打撃、走塁、守備、全てのプレーのパフォーマンスがトップクラスの域にいる牛尾は当然足も速い。

 

 

さらに普段は爽やかな印象からは想像もつかない泥臭いプレーも決して厭わない。

 

 

躊躇いもなく一塁ベースに頭から飛び込んでいく。

 

 

牛尾「繋ぐ!!!!」

 

 

「牛尾さまーーーー!!!!!」

 

 

プレーヤーとしての実力だけでなく、

 

万人受けするルックス、

 

チームを導くキャプテンシー、

 

一人一人に向き合うファンサービス、

 

トライアウトでプロ入りした経緯、

 

大企業の跡取り息子という立場、

 

そして独身。

 

 

毎日出場する野手の方がユニフォームの売り上げが高くなるのは当然である。

 

それでも牛尾はこのチーム内においてぶっちぎりの売り上げを誇っていた。

 

今日のスタンドのユニフォームをぼーっと眺めていても背番号9の選手が圧倒的に多い。

 

 

 

『セーフ!!セーフです!!!!』

 

『際どいタイミングでしたが判定はセーフ!!』

 

『球場は地割れのような大歓声!!!』

 

『完全にホーム有利の空気感が生まれましたね!』

 

 

白糠「頼りになる人だべ」

 

羊谷「ここで反撃だ」

 

 

『おっと、ここでレオンズの辻利監督が出てきてリクエストですかね』

 

 

辻利(この勢いであの三冠王に回してもいいことはない)

 

(当然アウトが好ましいがここは流れを切らせてもらおう)

 

 

リクエスト制度。

 

各チーム1試合に2度申請でき、申請されると審判団はビデオで判定を再度確認する。

 

判定が覆った時のみ残り回数が減らない。

 

 

 

 

 

猿野家

 

天梛「今のセーフだおね!セーフ!」

 

「牛尾しゃまがブブブンてなってプシャーってなったお!」

 

 

風太「バブバブ!!」

 

 

天梛「そうおね!風太もしょお思うわおね!」

 

『どうでしょうね、同時セーフに見えるような気はするんですけど』

 

 

凪「お願い…」

 

 

 

打席の近くでセーフの判定を待つ売り上げ2位の背番号10。

 

「頼む…」

 

 

『審判団が出てきました!!』

 

高らかに親指を突き上げた拳を会場全員にアピールする責任審判。

 

判定は覆ってアウト。

 

スリーアウトチェンジ。

 

 

辻利(おお、ラッキーだな)

 

 

納得がいっていない様子のワイルズベンチ、スタンド。

 

「えー、あれはセーフだろ!」

 

「完全に同時だったじゃんか!!」

 

 

グラウンドにはグラブでハイタッチしながらベンチに走ってくる御柳と由太郎がいる。

 

 

レオンズ生え抜きの首位打者由太郎はユニフォーム売り上げ1位。

 

今季から移籍も全試合4番起用に答えた御柳は5位。

 

 

反撃ののろしを上げかかっていたワイルズのしぼみ具合は目に見えるくらいだった。

 

4点ビハインドの8回に当然勝ちパターンのスアレを投入することはない。

 

そうするとレオンズに加点を許し5対0に。

 

 

レオンズは継投もうまくはまった。

 

ワイルズも2イニングスともチャンスは作るが、あと1本が出ずに5対0のまま試合が終了した。

 

 

対戦成績1勝3負。

 

次の試合で負ければ日本一を譲ることになる。

 

ホーム2連敗含む3連敗。

 

もう負けは許されないワイルズ。

 

 

普段先発ピッチャーは6人、中休みは6日で回していた。

 

次の試合、ピッチャーはエースの魁。

 

 

中4日でのスクランブル登板に出た。

 

 

魁「由太郎よ、今度こそいざ尋常に…」

 

 

 

前夜、微妙な表情の犬飼。

 

犬飼(オレだけ負けたのか)

 

(あのバカに負けたままじゃ終われねえ)

 

 

(明日くらいはあいつらが勝っても……)

 

明日の先発は犬飼ではないので、ここでレオンズが勝つともう犬飼の出番は無い。

 

 

 

(いや、チームが勝つに越したことない…か…)

 

 

昔の犬飼なら自分を真っ先に考え、自チーム負けろと思っていたかもしれない。

 

いや、今も思ってはいるだろうが押し殺す気持ちは生まれなかっただろう。

 

チームのために投げることを知った犬飼はより成長できたことを感謝している。

 

レオンズの2年連続日本一はすぐそこまで来ていた。

 

 




レオンズが日本一に王手です。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。
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