ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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試合終了は近いのでしょうか。





128発目 ヒートアップ

 

 

セカンドランナーだった兎丸は3塁ベースに到達するところでスピードを緩めなかった。

 

 

「回ったぞ!!!!」

 

この内崎の声もボール処理に必死の由太郎や、カバーに走っている減田には届かない。

 

 

本拠地ワイルズ応援団の歓声がかき消したのかもしれない。

 

 

由太郎の超絶ファインプレー。

 

 

打球に完璧なアプローチをし、グラブのギリギリで確保し最速で送球を終える。

 

 

由太郎によぎっていたのは抜かれれば1点取られるということだけ。

 

送球した瞬間に兎丸の姿を確認したがもう遅い。

 

 

いや、由太郎は最高のプレーをした。

 

 

前進守備でもしていない限りあの打球が飛んだ時点で同点になることは決まっていたのだ。

 

 

「ホームイン!!!」

 

 

『同点ーーーー!!!!!』

 

『この土壇場でワイルズが同点にしました!!』

 

『なんという巻き返し!!!』

 

『何度もあと一歩のところで跳ね返されてきましたが、この場面で遂に同点!!!!!』

 

 

夜のスポーツニュースで紅月がワイルズ側で取り上げた選手はもちろん兎丸。

 

 

兎丸「うぉおおおおぉぉぉ!!」

 

 

猿野「うぉおおおおぉぉぉ!!」

 

 

パチンッ

 

司馬、牛尾、猿野と順番にハイタッチをして喜びを分かち合うワイルズベンチ。

 

 

スタンドはスタンディング・オベーションの嵐。

 

ワイルズの球団歌の大合唱。

 

 

「われらーーーのーーーーーー」

 

 

猿野「お前もよくやったな!」

 

 

労いの言葉をかけられた元太は照れくさそうに答える。

 

 

 

元太「タイムリーヒットの予定だったんですけどね」

 

 

状況が再度一転したレオンズの内野陣。

 

御柳「ま、これくらいやってくれなきゃな」

 

由太郎「倒しがいあるよな!」

 

辰羅川「まあ取られてしまったものは仕方ありませんし」

 

 

あと1アウトを取るべくとりあえず引き締めるくらいの話でポジションに散る。

 

 

辰羅川(しかし、勝ちパターンで逃げ切れなかったことの影響はこの試合だけに留まりませんよ)

 

(なんとしてもこの試合で決着をつけなければ)

 

 

ワイルズは一気にサヨナラで決めたいのは山々だったが、ツーアウトランナーなしだったのでそのまま司馬を打席に送った。

 

 

代打の準備もしていたが、次の守備で司馬がいないリスクを嫌った。

 

消極的采配に映るが、代打で打ち取られて水を指すのも微妙だったし、イケイケなら司馬の安打までも考慮したものだった。

 

 

「アウト」

 

 

『ここで試合はこのシリーズ初めての延長に入ります!!』

 

 

結果アウトになったが、次の攻撃を牛尾から始められるのはアドバンテージだと思ってよいだろう。

 

唯一の懸念はレオンズの打順の巡り。

 

 

羊谷「回跨ぎは普段やらないんだけど」

 

 

複雑な表情の紀洋。

 

紀洋(羊谷の倅がここをすんなり無失点でいくなら日本クローザーは決まりだが)

 

(こいつらにすんなり凡退されるのも困るな)

 

 

由太郎「よし!うつぞ!!」

 

言わずと知れた球界NO.1兄弟の弟にしてパ・リーグの首位打者。

 

 

御柳「けっ普通のこと言ってんな」

 

今季新規FA加入の本塁打、打点の二冠王。

 

 

谷海「よーし、3点取ろか」

 

その2人と同い年でもある、オーバーエイジ枠での国際大会4番。

 

 

 

今オフに開かれるベースボール最大の国際大会ワールドカップ。

 

この3人はいずれもそこの日本代表候補に入ってくるだろうバッターたち。

 

 

 

犬飼「ユタ、ミヤ、決めろよ」

 

由太郎「おう!まかせて!」

 

御柳「そこでゆっくり見とけ」

 

(まじで決めてこいって思ってんのか?)

 

 

犬飼はシリーズ初戦で猿野にホームランを打たれて敗北している。

 

そのリベンジに次の試合の先発登板が決まっているなかでの声かけ。

 

 

真意はわからないが、声をかけたあとベンチ裏へ向かう犬飼。

 

 

兎丸は控え捕手の飯野と交代する。

 

この飯野はワイルズで3球団目だが、未だにレギュラーとして起用されたことは無い。

 

しかし、安定した守備能力が武器。

 

 

飯野(ここは安全にこなしてみせる)

 

 

シーズン途中までは捕手3人体制だったが、

 

ルーキーの大神が余りにもしっかりレギュラー定着したので終盤からはこの守備前振りの飯野との2人体制になっていた。

 

 

2人体制と言えど、ほとんど出番をもらっていない。

 

久しぶりの出場がこの大舞台。

 

 

今年31歳になる彼は身体の準備は常にしてきたが、精神はどうだろう。

 

プロの年数も13年を数える飯野。

 

 

 

飯野「えっ?」

 

久しぶりの舞台、世界レベルの投手と打者。

 

その中心に座る自分。

 

これは夢か現か。

 

 

2ストライク2ボールからの5球目。

 

 

由太郎が空振りしたボールは飯野の横を抜けていった。

 

 

 




追いつきましたが、試合は続きます。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。
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