ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

137 / 160
捕手は座ってるので楽やと思っていた派です。


129発目 切れました

 

 

『振り逃げーーーーー!!!!』

 

『ワンアウトランナー無しが一転ノーアウトランナー1塁!!!』

 

 

キャッチャーの飯野は由太郎が空振ったボールを逸らしてしまった。

 

普段絶対にしないようなミスをしてしまう。

 

 

(ライト)に代走兎丸を出したおかげで同点に追いついたワイルズ。

 

その交代で入った控え捕手がピンチを招いてしまう。

 

 

飯野(やっぱり俺じゃ…)

 

羊谷「飯野さん!!」

 

はっとした顔を見せてしまう飯野。

 

 

羊谷(大丈夫です、いけますよ)

 

飯野(羊谷………)

 

 

飯野は完全に気後れしてしまっている。

 

昨年までワイルズは打撃がそれなりに良い捕手と守備がそれなりに良い捕手で併用していた。

 

 

打撃型の捕手は不調と2人体制により2軍へ。

 

守備型の捕手はケガで今季は厳しい。

 

 

昨年の第3捕手であった飯野が今季も一軍に帯同している状態だった。

 

 

御柳(振り逃げかよ)プクー

 

いつものようにフーセンガムを噛みリラックスして打席へ歩く御柳。

 

 

由太郎(まま、塁にでたしゆるしてくれよ)

 

 

 

紀洋「これは楽しみだの」

 

子津(踏ん張ってくださいっすよ!)

 

 

羊谷の武器はオーバースローから角度のあるストレート。

 

特に右打者への内角球。

 

 

ブヲオンッ

 

「ットライー!!」

 

 

御柳(見づらいな)

 

 

御柳は高校2年生の夏の甲子園。

 

春夏連覇を懸けた試合で対戦したことがある。

 

それからも何度もプロで対戦し、戦績は2割程度。

 

 

由太郎(気をつけろよなんかへんだぞ)

 

 

紀洋の観察眼通り大舞台に強い羊谷。

 

 

御柳「キレッキレだな」

 

(それでもオレは4番、打つ)

 

 

この試合は4番では無いが、そんなことは問題ではない。

 

負けても次の試合がある、これも知ったことではない。

 

チームを背負う選手の1人として負けられない戦いがある。

 

 

バシッ「ボール」

 

 

カウントは2ボール2ストライクの平行カウント。

 

 

4球ともアウトコースへの攻めでカウントを作ってきた。

 

飯野の弱気が配球に出ただけだが、いいカウントになった。

 

 

アウトコースへのラストボールに首を振ってインに構えさせる羊谷。

 

 

羊谷(ここは勝負です)

 

御柳(来る)

 

 

決め球は糸を引くような内角低めの直球。

 

 

キィン

 

 

読み切った御柳でさえ芯に当てることができないボール。

 

 

御柳「あ?」

 

 

サード後方にゆっくり飛ぶ。

 

 

紀洋「決まったの」

 

(日本のクローザーはやつだ)

 

 

ポツン

 

 

羊谷「え?」

 

紀洋「お?」

 

猿野「くそっ!!!」

 

 

『落ちたああああーー!!!!』

 

『完全に打ち取ったあたりはサード後方にポトリと落ちるヒット!!!』

 

『ノーアウト1.2塁でこの試合の4番に繋ぎました!!!』

 

 

御柳「なんだそれ」プクー

 

(勝負はオレの負けでも試合には勝たせてもらう)

 

 

バシッ「ボール」

 

大きく外れたボール。

 

 

『おっと羊谷めずらしい!はっきりわかるボール球』

 

 

羊谷(あーやべ)

 

 

「ボールフォア!!!」

 

 

4番の谷海をストレートのフォアボールで歩かせてしまう。

 

ノーアウト満塁。

 

 

『満塁!!!最高のチャンスにバッターは内崎!!!』

 

『ここでマウンドに集まるワイルズ内野陣』

 

 

 

猿野「捕れそうだったのに」

 

 

 

羊谷「いやー切れました」

 

猿野「そんな切れることねえじゃねえか、な!」

 

 

羊谷「違うんです、集中力がぷっつりと」

 

「もうビシッとしたボール行く気がしません」

 

 

飯野(やっぱり俺のせいで…)

 

 

羊谷は今日いつもよりいい球を放っていたことからもわかるようにムラっけのある投手だった。

 

大舞台に強いというのも当てはまるのだが、それだけではない。

 

 

今で言うと打ち取ったと思ったあたりがセーフになってしまうなどのひょんなことからたちまち調子を崩してしまう。

 

 

1イニング限定のクローザーという起用ではそれがほとんど無かったのだが、

 

回跨ぎとなるとその可能性は一気に膨れ上がる。

 

 

猿野「お前ヒゲに似てんなあ」

 

羊谷「ヒゲ?」

 

 

猿野「オレらの高校の時の監督だ」

 

羊谷「!!」

 

「あの人に似てるなんて心外ですね」

 

 

いつもしっかりものの羊谷賢人は十二支前監督の羊谷遊人とは確かに内面は似ても似つかなかった。

 

 

猿野「事実そうなんだからしゃあねえだろ」

 

「ちょっと真面目なところ見せたかと思うとすぐ女子マネにセクハラする」

 

「それに似てるなあって」

 

「なあ音符くん!」

 

 

司馬「!」

 

話をふられて返答に困る司馬。

 

 

羊谷「違う、私はあの人とはまるで違う」

 

 

猿野「一緒だって二面性がある感じがよ」

 

まくし立てる猿野。

 

 

元太(猿野さん?)

 

ロス(cannot understand)

 

 

羊谷「私はあの人とは違う!!!」

 

猿野「なら証明してみろ」

 

羊谷「……」

 

猿野「ここを無失点で切り抜けてそれを証明してみろって言ってんだ!!」

 

 

何拍かの無言ののち口を開く。

 

羊谷「やってやります!やってやりますよ!!!!」

 

 

猿野「できないと思うけどな」

 

羊谷「ならできたら謝ってくださいね」

 

猿野「ふんっ」

 

 

 

守備位置に戻りながら答える。

 

「いくらでも謝ってやる」

 

 




猿野の小芝居が炸裂しました。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。