ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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連載再開します。


131発目 地鳴り

初回、中4日の登板になったワイルズのエース村中魁。

 

調整に苦しんだのか苦手の飛鳥に先頭打者ホームランなどで2点の先制を許してしまう。

 

 

しかしワイルズはその裏、すぐに猿野の2ランホームランで追いつくと

 

2回にキャッチャー大神のホームランで勝ち越し。

 

6回裏にはセンター神鷹のタイムリーで2対5と突き放す。

 

 

 

楽勝ムードで進んでいたが、7回2アウト1.3塁でこの日ベンチスタートの村中由太郎が打席へ。

 

ほとんど打てていない兄の魁から起死回生の同点ホームランを放つと、

 

救援で出てきた白糠から御柳が勝ち越しホームランでワイルズを追い詰める。

 

 

最終回、1勝3負で負ければ優勝を譲る崖っぷちだったが、兎丸の好走塁などでなんとか同点にする。

 

このシリーズ初の延長戦は行ったり来たりのシーソーゲーム。

 

 

 

10回表

 

2番由太郎からの好打順。

 

回跨ぎのワイルズ守護神羊谷を攻め立て2アウト満塁。

 

 

 

打席には途中出場の辰羅川。

 

 

辰羅川(ここで決めますよ)

 

 

レオンズ、ワイルズともにスタートと選手が随分変わっている。

 

 

レオンズ

飛鳥

夏川→村中由

御柳

谷海

内崎

森本

深町→辰羅川

剛村→源武

俵→()→兼古→ピース→ティリーヨ→ヒメラ→減田

 

ワイルズ

元太

平間→金市→司馬

牛尾

猿野

ロス

神鷹

武→白糠→太川→羊谷

月→兎丸→飯野

村中魁→隙野

 

 

 

ノーアウト満塁からツーアウト満塁。

 

この回から出場のキャッチャー飯野のミスもあったが、ツーアウト目は彼のファインプレー。

 

 

1度は失せたやる気を再加熱させ、羊谷は投げた。

 

 

ズドンッ

 

 

 

 

辰羅川(んぐぐ…)

 

 

結果は空振り三振。

 

 

ウオオオオオォォォォォォ

 

 

今季のおそらくホーム最終試合。

 

負ければ終わりの大舞台。

 

普段ほとんど回跨ぎしない守護神羊谷の2イニング目。

 

ノーアウト満塁から三凡。

 

 

球場全体が湧いた、揺れた、地鳴りを起こした。

 

 

 

『とてつもない歓声が鳴り止みません!!!!』

 

『羊谷のノーアウト満塁から圧巻のピッチング!!!!』

 

『かく言う私も鳥肌が立ってしまっています!!』

 

 

羊谷(さすがにもう投げられないかな)

 

猿野「よくやった!!お前は親父とは違う!!!」

 

 

羊谷「ふっ、当たり前のこと言わないでくださいよ」

 

「それにわかってるんでしょうね」

 

 

猿野「ああ、あとは全部オレに任せろ!!!!」

 

 

プルルル

プルルル

 

 

レオンズのブルペンに電話がかかる。

 

ベンチからブルペンへの連絡。

 

 

「はい」

 

辻利監督「野口の準備できてますよね、行ってもらいます」

 

 

10回に勝ち越していたならクローザーの減田を行かせただろうが、同点のこの場面では継投を選択。

 

万が一守護神の減田が追いつかれ、そしてサヨナラを許してしまうと明日以降大きな影響が出ると考えたためである。

 

 

レオンズはすでに5人の投手をつぎ込んでいるのでこれで6人目。

 

しかも勝ちパターン以外の中継ぎは層が薄い。

 

 

もはや負けることを覚悟でホームに帰ってどのようにすれば有利に働くか考えてしまっていた。

 

 

「オレを出してください」

 

辻利(ん?)

 

 

監督は普通にブルペンへ連絡したのでブルペンコーチが受話器を取ったのだと思っていた。

 

しかし、聞こえてきたのは若い男の声。

 

どこかクール味を帯びたしかし裏には熱いハートを持った男の声だった。

 

 

辻利「犬飼か……?」

 

犬飼「…はい」

 

 

辻利(なぜこいつがブルペンに、いや今はそれは重要ではない)

 

「何を言ってるんだ」

 

 

犬飼「この試合に勝つために出してください」

 

 

監督は一瞬で理解した。

 

これ以上この男と話し合いをしても無駄だと。

 

犬飼が電話口にいるということはブルペンコーチは容認している。

 

あとは私の一声で決まる。

 

 

犬飼は2日後の先発予定投手。

 

ここで投げさせればその先発はほぼ確実になくなる。

 

ただ他の投手に任せてもワイルズのクリーンナップにサヨナラ負けすることも想定できる。

 

 

これが勝ち越しなら減田よりも犬飼で良かったかもしれない。

 

例え無失点で犬飼が凌いでも勝てる保証は無い。

 

 

『ほぼ全員がワイルズのサヨナラを期待しているかのような異様な雰囲気ですが、』

 

『まだレオンズの投手が出てきません』

 

『辻利監督が電話を、いやいま切りましたね』

 

『審判に交代を告げました』

 

 

主審がウグイス嬢に次の投手を告げる。

 

『誰でしょう、普通に考えれば右の開井か左の野口か』

 

 

「選手の交代をお知らせします」

 

 

猿野「誰が来ようとこの回でサヨナラだ」

 

 

「減田に代わりましてピッチャー……」

 

 

ブルペンのドアが開き、背の高い男がゆっくりと歩いてくる。

 

この男が歩いている姿を彼は何度も見てきた。

 

 

猿野「どうなってんだ?」

 

 

少し黒焦げた肌、色素の抜けた髪色、

 

190cmを越える身長とクールな面持ち。

 

 

 

「ピッチャー……犬飼」

 

 

ウオオオオオォォォォォォ

 

 

 

今度はレオンズファンが揺れる。

 

大ピンチを凌いだワイルズファンの大歓声も少し和らぐ。

 

 

犬飼「バカ猿……」

 

 

猿野「あんのコゲ犬……」

 

 

再び火蓋が切られる。

 

 

 




犬飼を登板させてしまいました。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。
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