シリーズ開幕戦
仙台の林檎監督は一軍監督が3チーム目の超ベテラン。
その前の2チームではいずれもリーグ優勝を果たしている。
仙台クローズは1度大エースのマサヒロを有して日本一になっている。
しかし、それ以降4年間で上位3位に入ったのがわずか1度。
前年度3位、優勝を託された林檎監督、勝負の年の開幕戦を迎えた。
則津田「怒ってへんわ!」
仙台クローズはマサヒロが渡米した後でも日本代表レベルの投手が多くいる。
特に球団柄エース級の投手が途切れない。
その中でも大卒6年目の則津田、高卒5年目の今津、大卒4年目の須咲は他と一線を画していた。
林檎(うん、こいつらを軸に今年は優勝する)
前年度素晴らしい成績を残した彼ら、実際この年も良い成績を残す。
林檎監督はこの時は全く思っていなかった。
まさか自分がシーズン終了を待たずに退任することになるとは。
対戦相手は昨年度最下位の千葉オリオールズ。
そのオリオールズの本拠地で試合が行われる。
『さあ皆さんお待たせいたしました!!!』
『待ちに待ったプロ野球がいよいよ開幕します!!!!!』
『今日はここZOZOTOWNで千葉オリオールズと仙台クローズの第1回戦をお送りいたします!!』
『まずまっさらなマウンドへ上がるのはレオンズから移籍してはや5年!エースの
『対するはルーキーイヤーからレギュラーで活躍するショートの
『いざプレイボールです!!!!!』
実況が言うように皆が待ち望むプロ野球の開幕。
両投手はもちろんこの試合に照準を合わせており抜群の投球を見せた。
仙台側のチャンスは5回の表。
抜群の安定感を見せていた桶井が先頭にフォアボールを出してしまう。
その後も1本ヒットを許しツーアウト1塁3塁でバッター阿羽。
北村「桶井さん、いい球です!どんどん行きましょ!」
桶井「ああ!」
捕手の北村は若いが、オリオールズの正捕手。
バッティングも守備も高水準で日本代表候補でもある。
二遊間の2人は共に若く、上位打線を打つ実力派。
平河は高校野球で大活躍したことでファンが多く、中村は年齢別日本代表に選ばれたこともある。
そして、桶井。
プロ14年目のベテランで、モデルと結婚した。
林檎監督(この回先制できれば今日の須咲ならいけそうか)
ズバンッ「ットライー」
アウトローへの速球がミットに刺さる。
みすみす1つストライクを与えてしまう。
阿羽(いいコースすぎて反応できなかった)
則津田(いいコースやったな)
須咲(我なら振っていただろう)
アウトコースへ意識が寄ったところへ左バッターのインにシュート。
桶井「ふんぬっ」
阿羽(うっ)
一瞬体に当たってもおかしくない軌道に見えるが実際はストライクの投球。
当たるかもと思わせた時点で阿羽は少し仰け反りながら見逃した。
「ットライー!!」
阿羽(まじか)
2ストライクノーボール。
圧倒的投手有利。
北村はさらにインコースへボールを要求していく。
カウントは2ストライク2ボールに。
北村(ここは落ちる球を)
桶井(そうだな)
則津田(落としてくるか)
今津(ここ見逃せたらトントンかな)
打席で深呼吸する阿羽、勝負勘のある彼にはここで決めに来ることがなんとなくわかる。
それがボールゾーンでの勝負なのかストライクゾーンなのか。
同点で5回、ツーアウト1.3塁でバッターは1番。
フォアボールを許容するのならあと2球ともボールでもいい場面。
次打者は一発のある助っ人ペオート。
となるとフォアボールは無い。
このカウントで決め球がほぼ確実に来る。
三振を狙う時の球種は落ちる球のスプリット。
わかっていても途中までストレートかと思うようなスピードなので振ってしまってもおかしくない。
ならいっそ最初から見逃す前提か…。
頭の中に色々な思考が浮かぶ。
考えているのは振るか見逃すか。
5回という中盤イニングだが、阿羽は勝負回だと見た。
桶井の右腕からボールが放たれる。
低めだが甘めに見えるボール、
阿羽のバットはもう始動していた。
スゥゥ
阿羽(!!)
当然ボールは落ちていく。
北村(もらった)
キンッ
バットを伸ばしてギリギリボールに当てた打球はショートへの平凡な当たり。
北村(ふぅ当てられたんは焦ったけどよしとするわ)
桶井「!!!」
則津田「へぇ」
須咲「これがあるのも野球か…」
主人公は当分出てきません。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。