ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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146発目 タイムスリップ

猿野天国vs桜花円

 

コアな高校野球ファンがいれば、ヨダレを垂らして喜ぶ対戦カード。

 

そして、そういうファンがグラウンド周りには多くいた。

 

 

「またこの対決が見られるなんて草野球冥利につきますねえ」

 

「ほぼ10年前になるか」

 

「やばいよやばいよー!!!」

 

 

 

 

椿「こっちに打たせろよマル!!」

 

久芒「全部止めてやるング」

 

柘榴「この感じ、久しぶりですね」

 

 

セカンド、ショート、キャッチャーにはお馴染みの華武ナインが。

 

 

泥片「なんでも捕ってみせようか」

 

霧咲「……」

 

武蔵「ガハハハハハハハハハハ」

 

 

外野にはワイルズの月、村中魁、神鷹、と同じ出身校の3人。

 

 

獅子川「オッレのとこに打たせろ!!!」

 

虎鉄「HaHa〜全部捌いてやるZe」

 

 

そして、サードとファーストには猿野の兄貴分の2人。

 

 

猿野「何で敵サイドなんだこら!!」

 

(まったく……)

 

 

桜花(おさるさんおさるさんおさるさんおさるさん)

 

 

試合中と雰囲気がまるで変わる。

 

猿野「来いやくそメンヘラ!!!!」

 

桜花「言われなくても行くよおさるさん♡」

 

 

桜花は何年も会えなかった恋人に再会したような表情。

 

猿野も犬飼の時とはまた違った高揚した様子。

 

 

握っているボールは軟球。

 

 

 

カキンッ「ファールボール」

 

 

子津(さっきのあれっすね)

 

猿野(これが軟球か…)

 

 

猿野が野球を始めたのは高校一年生。

 

軟式野球の経験が無いが、次の球で何となくコツを掴む。

 

 

カキンッ「ファールボール」

 

ボールは綺麗に飛んでいくもレフト左へ切れるファール。

 

 

子津「さすが猿野くんっすね」

 

猪里「よう見えてるったい」

 

蛇神「野球への対応力が増しておる」

 

 

桜花「ははっ楽しいね」

 

猿野「けっうるせえよ」

 

 

勝負の3球目。

 

兎丸「桜花くんすごいね」

 

牛尾「でもうちの4番は当然打つよ」

 

 

少し遠目から牛尾を見ていた紅印。

 

紅印(へーそんな顔するようになったの…)

 

 

大きく振りかぶる桜花。

 

桜花(これで………おし…まい!!!!)

 

 

猿野(フル……………スイング!!!!!!!)

 

 

カキンッ

 

 

打球はレフト後方遥か彼方へ。

 

 

獅子川「やッべえな」

 

虎鉄「これが今のあいつKa…」

 

 

打球方向をずっと眺めながら呟く桜花。

 

桜花「おさるさん……バイバイ…」

 

 

当時からホームランを打たれることもあったが、三振も少なからず奪っていた。

 

しかし、たった今空振りをひとつも取れずにホームランを浴びた。

 

これは自分がもう猿野には全く手が届かないところにいることを自覚するのに十分な結果だった。

 

 

グラウンド外も内も大騒ぎしている。

 

「やっぱりすげーよ猿野」

 

「これがプロの4番か」

 

「やべー!!!やべーもん見たー!!!」

 

 

打った猿野の方に歩み寄る桜花。

 

桜花「おさるさん……ナイスバッティング」

 

 

猿野「なにを言ってんだよ、また勝負……」

 

珍しく素直に褒められた猿野が茶化そうとしたが、桜花の表情を見て言葉を止める。

 

少し悲しそうな覚悟を決めたような表情。

 

猿野にとっては初めて見る顔。

 

 

桜花「世界一のバッターになってよ」

 

 

高校時代、世代の中で第一線を走っていた桜花。

 

強いバッターと勝負することに楽しみを見出すスタイルだった彼はその性格からチームに迷惑をかけることもあった。

 

 

それでもエースとして華武高校の全国制覇に貢献するなど信頼は厚かった。

 

そんな選手がケガをきっかけに野球界から退いてしまう。

 

 

よくあることだが、本人は簡単に諦めがつかない。

 

ようやく草野球で少しずつ楽しみ始めた頃に人生で1番楽しかった時代の打者との再会。

 

そして、その打者と自分はもう別世界であると察する。

 

 

そういう感情全てをこめて放った言葉、その対戦相手へのエール。

 

猿野はバカだが、それを()み取られないほどのバカではない。

 

 

猿野「いーや、宇宙一のバッターになってやるぜ!!!」

 

 

++++++++++

 

カキンッ

 

『大きい大きい行ったか行ったかーーーー!!!!』

 

『入ったああああぁぁぁぁ!!!!!』

 

『このシリーズ4本目のホームランは先制のグランドスラム!!!!!』

 

『7回にして試合が動きました!負ければ終わりの第7戦!!!』

 

 

天梛(てんな)「パパ!しゅごしゅぎ!」

 

「風太もそう思うわおね!」

 

 

風太「バブバブ!!!」

 

 

清熊「あいつほんと大活躍だな」

 

猫湖「ちょっとできすぎかも」

 

凪「いつも頑張ってますから」

 

 

高校時代に野球部のマネージャーとして仲良くなり、未だに家族ぐるみでの付き合いがある彼女たち。

 

 

清熊「まあ、これも来年から見られないと思うと寂しいけどな」

 

猫湖「行かないでほしいかも…」

 

 

卒業後もずっと定期的に会っていた彼女たちにアメリカ行きを告げた凪。

 

よく旦那の試合をこうして誰かの家に集まっていたのもこれで終わる。

 

 

さっきまで少し暗い雰囲気だったが、それを吹き飛ばす猿野のホームラン。

 

天梛「ひーくんもそう思うわおね!」

 

「あいあい」

 

 

天梛「あおくんは?」

 

「………」

 

 

天梛「もうっ!またむしして!しゃんぐらすとりなしゃい!」

 

 

 

清熊「元気でやれよ、凪!」

 

猫湖「すぐに帰ってくるのもいいかも」

 

凪「ええ!また会いましょうね!」

 

 

 

ひーくんと呼ばれていたのは猫湖檜の子ども。

 

実際、猫湖は旧姓で今の苗字は兎丸。

 

 

あおくんは清熊の息子、これも旧姓で現在は司馬もみじ。

 

 

猿野風太(さるのふうた)

 

兎丸陽乃(とまるひの)

 

司馬蒼志(しばあおし)

 

 

後に十二支高校を全国制覇に導く3人だった。

 

 

試合は4対0でワイルズリードのまま7回裏へ。

 

 




第8戦が近づいてきました。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。

子供たち
天梛←天(天国)&梛(凪)
風太←風←凪
陽乃←ヒノ←ピノ&ヒノキ←比乃&檜
蒼志←あおし←あおじ←葵&もみじ
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