9回裏
白4-赤3
ワンナウトランナーなし
3番の猪里がミートした打球はショートの頭上を抜くかと思われたが……
バシッ
白チームのショート司馬がジャンプ一番、このボールをダイレクトでキャッチする。
「アウト」
猪里「くーやられたやね」
辰羅川「ナイスプレーです司馬くん」
猿野「やるじゃねーか音符くん」
兎丸「ツーアウトランナーなし」
子津「1点差で負けててバッターは猿野くんですか」
黒豹「やるやろ、あいつは頼れる男や」
「打てよ猿野ー」
「お前が頼りだ!」
「打たすな犬飼ー」
「パーフェクトピッチングで終わらせてやれ!」
鳥居(猿野さん…)
昨年、監督が羊谷遊人に代わった。
その事で年功序列だった十二支が実力主義に変わった。
だが去年は雄軍(1軍)、賊軍(2軍)を決める際、雄軍に1年生は誰も選ばれなかった。
それに疑問を感じた辰羅川が直訴し2.3年生対1年生で試合が行われたのがこの部内戦の起源である。
1年生が勝てば雄軍の選出を再考されるというものだった。
また、賊軍の2.3年生の返り咲きの可能性もある試合でもあった。
今年はどうだろうか。
雄軍の発表もないまま試合は行われ、勝者に特に有益になるようなことは言われていない。
実力を見られるだけならば猿野も犬飼も当確だろうしこの最後の勝負にほぼ意味など無かった。
ただの男の意地。
それ以外におそらく動機は無いだろう。
周りもわかっていた、監督でさえこの勝負を楽しみにしていた。
1年振り、新入生の入部テストでこの2人は対峙している。
戦績は猿野が3打数2安打3打点1三振1本塁打である。
ただ最後の打席でキャッチャーフライをわざとファールにさせたり、最初の2打席で犬飼は本来左利きだが右腕からのソフトボール投げだったりと成績だけ見ればいいというものでもないが…。
猿野「こらコゲ犬ー!1年振りだな、今回もオレがフルボッコにしてやる」
犬飼「ふん、言ってろ」
(あの時から野球素人に打たれた屈辱を一瞬たりとも忘れたことはない)
辰羅川(さあ犬飼くんあの時の借りを返しますよ)
犬飼「第3の秘球、″激・天竜″」
犬飼はボールを斜め60°上方向に投げ上げた。
そのボールが急に角度を変え流星のようにストライクゾーンめがけて落ちてくる。
猿野「これが
ブンッ
ズドンッ「ストライーク」
猿野「くそっ」
(なんだ今の横から見てるのとぜんぜん違うな)
犬飼(
「とりあえず認めるしかねえか」ボソッ
(オレのライバルだと……!)
″絶・蛟竜″
猿野「うぉぉぉ」
カキンッ
食いこんできたカットボールをバットの根っこで強引に持っていく。
辰羅川「ああっ」
「ファール」
打球はホームランギリギリのところで左へ切れていく。
猿野「ふー」
子津「なんか良いっすねこの対決」
兎丸「うん、ずっと見ていたいよ」
司馬「♪」
猿野(次はなんだ、全部打ってやる)
犬飼(遊び球は無しだ、仕留める)
犬飼「行くぞバカ猿!!」
猿野「来いやコゲ犬!!」
犬飼が選んだ秘球は
辰羅川(ダメです、犬飼くん!一気に解禁しすぎです)
″神・
これは消える魔球。
昨年、大阪の4番鵙来にジャストミートされたがまだその仕組みは解き明かされていない。
猿野(あれ?ボールが無い、これって消えるやつか……!)
バシッ
少しの静寂の後、審判がコールする。
「ストライークバッターアウト!」
「ゲームセット!」
猿野「くっそー負けた」
(あいつ、やっぱりすげーやつだな)
兎丸「あーあ、負けちゃった」
(ま、いっか。レギュラーは大丈夫そうだしね)
子津「いい勝負でしたね」
(今回のエースナンバーは無理そうっすね)
黒豹「まあしゃあないな、右アッパー一発で許したるわ」
(キャッチャー…わいはまたしたいんやろか)
猪里「気にすんな猿野、ナイススイングやったばい」
(俺が出塁してればまだわからんかったとやね)
洛谷「キャー犬飼さんかっこいい!」
鶴屋「変わり身早すぎでしょ」
虎鉄「猪里ちゃん、オレのチームの勝ちだZe」
(ただ丑光におんぶにだっこってのは気になるが)
犬飼(あいつ、タイミング合ってやがった。当たってれば…)
辰羅川「犬飼くん、大丈夫ですか?」
犬飼「あ、ああ。ちょっとだけ…」
辰羅川「だから言ったじゃないですか、じっくり行きましょうって」
犬飼「わるいな辰、またリハビリ付き合ってくれ」
辰羅川「しょうがないですね、今度はちゃんと言うこと聞いてもらいますよ」
この会話を遠目から見ている羊谷。
羊谷(やはり本調子では無いようだな、先発は子津で行くか?)
初めての実戦を終えた新入生は疲れもあるがそれぞれ思うことがあるようだ。
巳上(もっとできたのに、次こそは)もぐもぐ
試合が終わりミカンを食べる巳上。
丑光(ナイスぅー)
狸間(打たれたの猿野さんだけだしまあ大丈夫だろ)ポンポン
お腹を少し叩く狸間。
河馬地(うっす)
公星「Nice game」
合宿6日目部内戦
白4-赤3
白チームの勝利
公星に最後のセリフ言わせるのハマってます。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。