ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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実況がいるとやりやすい時があります。


051発目 柳の(ごと)

8回表ノーアウト満塁

1点を追いかける展開でバッター御柳

 

 

御柳「寂しかったらオレを兄ちゃんだって思ってもいいんだぜ」

 

大神月「勘違いしないでください、あなたをちゃんと許したわけではありませんから」

 

御柳「……一生許さなくてもいいぜ、弟がそうしたいなら」

 

大神月「はい、一生許しません。けど野球を楽しむのはまた別の話です」

 

少し照れたような複雑な表情を見せる大神月。

 

御柳「ふっそんな顔もできたんだな」

 

 

 

大神月(葉坏!全部″白鳳(びゃくほう)″で行く)

須咲(言われなくてもわかっている)

 

″白鳳″

バシッ「ストライーク」

 

 

 

『ノーアウト満塁のときと同様あのボールを見逃しましたね』

『確かに速いボールですけどコースは甘いように思うのですが』

『何か秘密があるのかもしれんのう』

 

 

 

御柳(″白鳳″か、打席では消えるボールのように思うがタネはわかっている)

 

 

 

 

 

子津「視線誘導っすか?」

 

辰羅川「ええ、須咲くんの″白鳳″は犬飼くんの″白竜(びゃくりゅう)″同様バッターをボール以外のところに目を向けさせてるんですよ」

 

黒豹「そんなん可能なんかいな」

 

辰羅川「非常に難しい技術ですが彼らはそれをやってのけています」

 

犬飼「誰にもできるもんじゃねえよ」

 

長戸「そういえば猿野、部内戦であれ投げられてたけどどうだったんだ」

 

猿野「……」

犬飼から三振を取られたことを思い出し少し不機嫌になる。

 

猿野「ああ、なんか気づいた時にはミットにボールがあったって感じだったな」

 

兎丸「へーぼくも打ってみたいな」

 

 

 

全く同じ反応の選手が反対側にも。

 

由太郎「へーおれも打ってみたいな」

十藤「犬飼が投げてくるんじゃねえか?」

由太郎「あ、そっか!よーし打つぞー!」

 

斎柳(せいりゅう)(ん、このボールってもしかして)

 

 

 

 

 

御柳(顔やユニフォーム、セカンドショートやスタンド。あらゆる所に視線を誘導されてるならいっそ…)

 

御柳は目を(つぶ)った。

ボールが指から離れた瞬間に目を開けボールを認識する作戦に出る。

 

 

パチッ

御柳(今か!)

 

しかしボールはまだすでにミットの直前まで来ており振ることができなかった。

 

「ストライークツー」

 

御柳(ちっ)

 

 

捕ることに集中している大神月も投げるときミットを見ている須咲も御柳が目をつぶっていたことに気がついていない。

 

大神月(よし、追い込んだ)

須咲(ふー、これは疲労が大きいな)

 

 

 

御柳(間違っていない、いま一瞬でもボールが見えた!打ってやるぞ)

 

 

『追い込まれました御柳くん』

『次の打者2人がヒットを打っているのでここで凡退してもまだまだチャンスは続きそうですが』

 

『もう華武高校は厳しいかもしれんの』

『そうならないようにチームの期待に応えられるでしょう4番の御柳くん』

 

菖蒲監督(出した答えが正しかったか見せてもらう故)

 

 

 

御柳(ドクンドクン、さっきより少し早く……まだ、まだ、まだ……)

 

シュッ

パチ

 

ほぼ完璧なタイミングで目を開けた御柳。

認識できれば真ん中寄りの150km/hのストレート。

並のバッターではそれでも打つのが難しいボールだったが、彼は並のバッターではない。

 

秋・春の2冠を取った4番打者だった。

 

 

″空蝉″

 

カキンッ

 

大神月「え?」

須咲「なぜ…」

 

 

『打ったー!大きい、大きいぞ!スタンドまで届くか…?』

『センターの宝町(ほうちょう)が懸命に追いかける』

 

宝町「やらせはしない!」

 

 

 

 

二塁審判が腕を大きく回す。

 

 

 

『入ったー入りましたホームラン!あっさり追い込まれて遊び球無しの3球目!見事スタンドに叩き込みました!』

『逆転満塁ホームラン!1対4!』

『4番の重責(じゅうせき)を果たしました御柳くん!』

 

『しなやかな振りじゃったのう』

『いやー、完璧でしたねえ』

 

『ダイヤモンドを1周し終えた御柳くんをナインが手荒く祝福します』

 

 

 

朱牡丹「ミヤー」バシバシ

久芒「やっと打ったング」バンバン

椿「おいしいとこ持っていきやがってー」ケリー

 

皆に(たた)えられるが照れ隠ししてしまう御柳。

御柳「ちょ、痛い!痛いってほんとやめろー!」

(大神さん、これでまた1歩あんたに近づいたかな)

 

 

 

犬飼「辰、用意するぞ」

辰羅川「最後まで見なくていいんですか?」

 

犬飼「とりあえずこの試合はもういい、久しぶりの2人でのスタメン、オレたちも大神さんにいいところ見せたい」

ちょっと照れたように言う犬飼。

 

辰羅川「そうですね!準備しましょう」

 

犬飼(次はオレたちだ)

 

 

 

須咲「我が負けたのか……」

大神月(これが御柳芭唐(ばから)!オレが越えるべき相手!)

「ナイスボールだった葉坏、ゆっくり休め」

須咲「ふっ仕方ないか」

 

打たれたがバッテリーの表情はあまり暗くない。

大神月はむしろワクワクした気持ちを抑えきれないでいた。

 

 

 

満塁ホームランで勢いづいた華武高校は代わった宝町からも1点を追加し1対5の4点差になる。

 

その後も2冠の立役者桜花が危なげないピッチングで9回裏ワンアウトまでこぎつける。

 

セブンブリッジのバッターはキャプテンの宝町。

 

 

宝町(まだだ、先輩たちの無念を晴らす!)

「ストライークバッターアウト!」

 

 

大神月「顔を上げてください宝町さん、宝町さんはオレたちの事を見守ってくれる最高のキャプテンでしたよ」

 

宝町「大神…」

 

大神月「だから最後まで見ていてくださいね」

 

 

御柳(弟、次はお前の本当のプレー見せてくれよ)

 

 

 

 

 

 

 




そうです、ミスディレクションです。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。
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