「あれ、兄貴の試合もう終わってるじゃん」
「だから言ったろ早くしろって」
「てかスコア見てよ」
「敬語使いなよ全く……0対0だな」
「そこじゃなくて安打数のとこ!」
「おお、あのピッチャーノーヒットかい」
「凄すぎるわ犬飼きゅ〜ん」
「こんなの目の当たりにできるなんて死んでもいい」
犬飼の追っかけは既に号泣している。
『7回もツーアウトまで来ましたマウンド上の犬飼くん』
『対する21人目の打者はレーザービームで何度もチームに貢献している大型ルーキー|斎柳武観『せいりゅうたけあき』くん』
「あ、斎柳」
「やっと喋ったと思ったら昔のチームメイトみて嬉しくなったか?」
「いつもは感情無さそうなのにいいことじゃん」
「こら敬語…」
3人のおそらく高校球児が観戦に来ていた。
1人は他の2人の先輩なのだろう。
その2人のうち1人は華武高校かセブンブリッジ学院に兄がいるらしい。
言われてみるとどことなくあの選手に似ている。
もう1人は斎柳と元チームメイト。
福島県は1強時代を迎えていた。
夏の甲子園13回連続出場中の高校がある。
そのチームに大型ルーキーが3人、1桁の背番号をもらった。
自分たちの県予選が終わった彼らは昨年県対抗で優勝した埼玉県予選を観に来ていた。
シュッ
キンッ「ファール」
『これで6球連続ファール、粘ります斎柳くん』
『ランナーを置いて4番の由太郎くんに回したいでしょうからね』
辰羅川(これで決めましょう)
犬飼「コクッ」
″
キンッ「ファール」
犬飼「!?」
辰羅川「な!」
四大秘球には負荷の大なり小なりがある。
鋭く変化する″
止まって見える″
上から落ちる″
認識出来ない″
の順に負荷が大きい。
そのためこの試合もまだ3球しか″神・白竜″を投げていなかった。
ましてや斎柳に投げるのは初めてだった。
でも斎柳はカットすることが出来た。
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中学時代
斎柳「なんだいきなり相変わらず偉そうだな、お前なんかより可愛い女の子が…」
須咲「あ、あそこにかわゆき
斎柳「何!」
すぐにその指さされた方向を見るが誰もいない。
斎柳「んだよ、いねーじゃねーか」
振り向くとニンマリ顔の須咲が。
須咲「ふっはっはっ、ミスディレクションだ」
斎柳「あ?黒バスの読みすぎだろそれ」
須咲「なんだ黒バスとは?」
斎柳「黒子のバスケ知らねーのか?じゃあなんでミスディレクションなんか」
須咲「ちょっと必要でな」
斎柳「てかあれって声とかじゃなくて仕草とかで誘導するんじゃねーの?」
須咲「…そうなのか」
それ以降シニアの練習中でも
源武「何それミーわくわくすっぞ!」
「あ、バカだ」
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斎柳(やっぱな、あれはこれの練習だったんだ!そうとわかればオレには通用しない)
須咲のミスディレクション練習に付き合った彼はばっちり耐性が付いていた。
だが、辰羅川は動揺しない。
辰羅川(犬飼くん、次は…)
犬飼「コクッ」
″
キンッ「ファール」
斎柳(前には飛ばしてやんない、体痛むんでしょ?)
斎柳は前の二打席もできるだけ球数を稼ぐようなバッティングをしていた。
昨日、早めに球場に行こうとしたところ、救急車で運ばれていく犬飼の姿を見ていた。
斎柳(どこが悪いかはわかんないすけどそろそろ影響が…)
犬飼(チッ、こいつのせいで足がもうキツいか。9回まで投げるつもりだったんだがな)
「辰!」
辰羅川「っ!」
(やるのですね、犬飼くん)
犬飼(村中に投げるはずだったボール!ルーキーのお前に投げてやる)
羊谷「子津!肩作っておけ!」
子津「!、はいっす!」
大きく振りかぶる犬飼。
斎柳(次は何が来る……?)
昨年の県対抗総力戦の決勝戦
現在プロ野球で大活躍の
鵙来選手曰く、プロでもあんな球投げるやつにまだ
犬飼(″
ズドンッ
ザザザザー
「ストライークバッターアウト!」
誰かの弟は誰の弟なのでしょう。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。