ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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猪里を喋らすのが苦手です。
ルビの振り方を覚えました。



04発目 強気と弱気

4対7 最終回

 

右打席に向かう子津。

3番虎鉄、4番猿野ここに回さんと気合いを入れるラストバッターの子津。

 

一方ダウナーオーラの沖もそこに回すつもりは無い。

夏から3番を打ち二番手投手として活躍していた彼だが周りの評価はあまり良いものではなかった。

 

「次のバッターの由太郎を意識しすぎて球が甘くなっている」

「変化球は種類があるだけで一つ一つは大したものではない」

 

こういって評価が多い。

エースとして出場したこの秋大会も似たようなもの。

一番周りの評価で多かったのは村中由太郎のワンマンチーム。

 

これを気にする沖ではなかったが気にならない沖でもなかった。

 

 

沖(どうせ周りは由太郎のワンマンチームって思うんだろうし僕もそう思う。

だけど由太郎以外の皆も頑張ってるんだって見せてあげたい…!)

 

 

 

シュッ

「ストライーク」

 

子津(くっ、アウトコースいっぱい。

絶対に塁に出るっす)

 

 

彼ら2人の歩んできた道のりは似ている。

子津も夏大会で控え投手として活躍し秋大会ではエースナンバーを背負って戦った。

その結果2回戦敗退。

 

犬飼冥の二番煎じ。

 

この評価が子津につきまとった。

本当のエースはお前じゃない。

そう言われているものと同じ。

彼はストレートにその評価に傷ついてしまう。

もちろん犬飼より優れていると自惚(うぬぼ)れているわけではないが、それでもこの評価は(くつがえ)したかった。

 

「ストライクツー」

 

子津(僕が出て勝利に導くっす!全部のストライクに反応してミートする!)

 

羊谷(子津は元々バッティングセンスが光っていた。子津と沖は初対決だが、やつなら対応できないことはないはず!)

 

 

″ダウナーシンカー″

 

子津はこのダウナーシンカーを打席では見たことがなかった。

普通ならはっきり言って打てるはずがない。

それでも反応できた。

完璧なタイミングでバットを差し出した。

 

ブンッ

「ストライークバッターアウト!」

 

 

ただひとつ子津の誤算はシンカーの変化量。

ダウナーモードで無ければレフトのフェンスをはるか越えていただろう。

それくらい完璧なスイングだったが、沖の気合いが勝った。

 

 

子津「すいませんっす」

 

虎鉄「気にするNa子津!俺が打ってやるZe!」

 

 

兎丸(ぼくが絶対出なきゃ…!)

 

子津がアウトになったことにより兎丸へのプレッシャーがさらに上がる。

ガチガチになった兎丸のスイングは(にぶ)く、全く当たる気配もない。

 

「ストライクツー」

 

 

兎丸(なんでだ、当たらない)

 

 

猿野「おーい、マセガキー!」

 

(うつむ)いていた兎丸の顔がベンチに向かう。

 

 

猿野「気楽に行けー!固くなってんぞ!好きに打てー!」

 

兎丸「あ、(あん)ちゃん…」

 

猿野「あと音符くん(*司馬はよくヘッドホンで音楽を聴いているため)が打たねえとぶっ殺すだってよ」

 

司馬「!!?」

 

兎丸「はははっわかったよー!」

(絶対言ってないでしょ、よーしやってやるぞー!)

 

 

ベンチで勝手に名前を使われた司馬が猿野に向かっていく。

辰羅川も猿野を(いさ)めようとしている。

 

羊谷(いいムードだ、兎丸出ろよ)

 

 

 

シュッ

″ダウナーシンカー″

 

兎丸(さっき見た軌道と一緒のシンカーだ!当たる…!)

 

 

ブンッ

「ストライークバッターアウト!」

 

 

読みはシンカーで間違ってなかった。

さっき子津に投げたシンカーより変化幅が少なかったことが沖の勝因である。

決して力を(ゆる)めたわけではなく単純に沖のスタミナがきれかけている、それだけだった。

 

十二支のメンバーはほとんどそのことに気がついていない。

羊谷監督も同様に。

 

羊谷(どうする、沖を打てない…)

 

 

沖(はあ、あと1人もって)

 

 

虎鉄「猪里…」

 

猪里「行ってくるったい」

(新チームの部長として絶対出塁しないとな)

 

 

ストライクゾーンに来た直球はスタミナの限界で猪里の想定よりも来ない。

 

「ファールボール」

 

 

 

猪里(タイミング間違えたけどあっちも限界が近いはずったい)

 

″デビアスシュート″

 

カキンッ

 

 

猪里が(とら)えた打球はショートのほぼ正面。

 

沖(よしっ終わった)

 

 

黒撰高校は夏の予選、あと1人で試合終了というところでこの猪里に逆転ツーランを浴びている。

その過去の記憶もこの勝利で薄れようかと思われた。

 

そのゴロがショートの手前で思いもよらぬ方向に跳ねた。

 

 

「えっ」

 

 

黒撰のメンバーが口を揃えて驚く。

ボールはレフトのところまで転がっていった。

 

 

 

「よっしゃー!!!」

 

一斉に喜ぶ十二支ベンチ。

猪里は打席に入る数瞬前、グラウンドの様子を見ていた。

夏大会までは(かが)んでしっかりと地を見て窪みを探していたが、軽く見てイレギュラーするポイントがわかるようになっていた。

 

 

 

虎鉄(3点差、ちっ一発で同点なら狙ったものの)

「猿野!お前の一撃で同点にしろYo」

 

猿野「…キザトラ先輩…」

 

 

2アウトランナー1塁

 

 




猪里が頑張って繋ぎました。
次回は明日の夜投稿したいと思います。
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