4回裏1アウトランナーなし
バッター犬彦
犬彦「マブいのは俺っち」
『左バッターボックスに入ります犬彦くん』
『先ほどは大ファールがありましたが、三振しています』
桜花(君じゃない…)
シュッ
『渾身の100マイルがキャッチャーミットへ…』
キンッ「ファール」
桜花「?」
柘榴(あれを当てられるんですか)
犬彦「俺っちをモブだと勘違いしてない?」
『食らいつきます犬彦くん』
『飛鳥くんに負けずいいバッターですね』
かろうじて当てた後、笑顔を見せる犬彦。
心底楽しんでいる様子。
栄都学園の選手は野球が好きで集まったメンバーだということがわかる。
加虎「打つべ犬彦ー」
将猿「飛鳥の前にランナー出そうぜ」
桜花「ふーん」
(ならインハイでびびらせてやる)
柘榴(もうリードさせてくれないのですね)
予選までは柘榴のリードで球速差を利用したピッチングが主だったが、
甲子園では150km/h、160km/hのボールを好きに投げていた。
並のバッターなら実力てきに当てられない。
柘榴のリードは相手の裏をかいてタイミングを外すもの。
球数を抑えることには繋がるが、スタミナに不安の無い桜花には関係が無かった。
柘榴がそういった配球をするのは桜花の身体を気遣っていたから。
高校時代肩肘を酷使しすぎた選手が大成することは難しい。
桜花は強打者に会うたびに破滅への道を進んでいった。
ガキン
『インハイの速球を振りぬいた打球はふらふらと上がる』
吉辰「落ちてください」
羊谷「よし」
ポテン
『落ちた落ちたテキサスリーガーズ、ファーストセカンドライトのちょうど真ん中』
『1アウトから4番飛鳥くんの前にランナーが出ました』
桜花「なんだこのチーム」
(わんちゃんか、覚えとこ)
4回で強打者の登場により桜花のギアがさらに上がる。
ズドドンッ「ストライクツー」
飛鳥「んーー♪インハイアウトローのコンビネーション♪」
(ボールの下を振っちゃうな♪)
『一打席目ヒットを打たれた飛鳥くん相手に早くも追い込みました』
『球速はもう161km/hが出ても驚きません』
『先ほど犬彦くんが打ったのは155km/hのストレートでしたね』
『それでも速いですがやはり本気度が違うのでしょうか』
犬彦「俺っちもあれ打ちたいな」
ストレートが伸びるという表現がある。
それは縦の回転数が上がることで普通より落ちないという現象である。
回転が多いと当たった時によく飛ぶとも言われるが実際はわからない。
そもそも桜花のボールはほとんど当たらない。
カキンッ
『打ったー!サードの頭を越えるヒット!長打コースになるか』
御柳「ちぃっ」
源武「サードで刺せるってばよ」
犬彦「チョベリグ~」
ゴロでラインを切っていく打球を源武が追いかける。
追いついたころには1塁ランナーの犬彦は2塁と3塁の中間程度。
バッターランナー飛鳥は当然2塁へ。
『クッション拾って源武くんサードへ送球』
ズシャアア
「セーフセーフ」
源武「くそう」
『1アウトランナー2.3塁、華武高校が夏甲子園に来て初めて3塁へと進まれました』
『3番4番の連打でバッターは先ほど三振している5番ピッチャーの羊谷くん』
『彼はバッティング能力も高いですよ』
剣菱「渚くんびみょ~にうまくなったね」
凪「ええ」
(あんなに小さかったのに…)
猿野「オレ以外にあんな打たれるとはな」
白雪「県対抗でも強敵になりそうだね」
朱牡丹「打たしてこーい(^^」
久芒「全部さばいてやるング」ズビ
『このチームはクリンナップが3人とも左打ちですね』
『スクイズもあり得ますかね』
『どうでしょう、3塁ランナー丸見えですから可能性は低いでしょう』
羊谷「打つ、何度も言うが通過点だ」
(狙いは高めのストレートだけ)
高めのボールは目線に近いため打ちやすい。
ピッチャーにしても力が伝わりやすいのでスピードが出やすい。
3.4番より少し実力の劣る羊谷だが高めのストレートなら打てると考えた。
来たる1球目真ん中高めに来た直球。
羊谷(来た!高め!)
なぜ高めにボールが来たのか。
キャッチャーの柘榴には相手バッターの待ちがなんとなくわかる。
しかし、リードをしていないので狙い球が桜花に伝わっていない。
長年柘榴とバッテリーを組んでいる桜花も実は高めを狙っていることに気づいていた。
相手が待っていても打ち取りたい、そう考えての高めの直球。
ブンッ ズドドンッ「ストライーク」
羊谷(狙い球がきても当たらないのか)
柘榴(やはりすごいですね)
『初球空振り!甘めのボールでしたが当たりませんでしたね』
『タイミングが少し遅くバットもボールの下を振っていましたか』
『先制のチャンス、エースのバットでランナーを還せるか』
『それとも桜花くんがいつも通り0点で抑えるのか』
先制のチャンス、主人公が空気になってきました。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。