ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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ケガ人が増えてきました。


082発目 何のために生まれて

『なんとキャプテンの代わりにショートを守るのは不動の4番サード御柳くんです』

 

『いやあ驚きましたまさかのポジションチェンジ』

『御柳くんのサードは横の動きもとても良くうまいですからね』

『ショートもできるとは思いますが、練習していたのでしょうか』

 

 

 

御柳(練習してねえ…遊びでやった程度だ)プクー

椿「御柳!連携してゲッツーとるぞ!」

(まさか二遊間組むことになるなんて)

 

桜花(なんだろう…)

柘榴(大丈夫でしょうか)

 

 

バシッ「ボールフォアボール」

 

 

『2ストライクから4球続けてボールで満塁です』

『コントロールを乱すことはありませんでしたが珍しいですね』

 

『このピンチを切り抜けられるのか』

 

 

菖蒲(ダメなのか…)

柘榴(……)

 

 

桜花(わからない、なんで自分を犠牲にできるんだろう…)

 

 

桜花にこびりついているのはチームのために離脱した久芒の姿。

悔しそうにしていたのはボールを捕れなかったから。

 

自分のためだけにボールを投げ続ける男に他者への献身は理解できない。

考えすぎた結果、無気力になり投球にも集中できなくなっていた。

 

楽しくて投げていたのに今は苦痛の方が大きい。

 

 

 

『フォアボール!なんと押し出しです3点目』

 

 

全国二冠中の華武高校は良くも悪くも桜花(まる)のチームだった。

全国最高レベルの御柳を擁しているが、バッター1人では勝てない。

 

 

「選手の交代をお知らせします」

「ピッチャー桜花くんに代わりまして紫田(しだ)くん」

 

 

 

御柳(桜花…)

 

 

飛鳥「え、変わっちゃったの♪」

犬彦「チョベリバじゃね?」

 

 

皇子「知ったことではない拙者が華武高校の息の根を止める」

 

 

 

華武高校監督の菖蒲は桜花を諦めた。

ずっと甲子園に来てから危惧していたことが起こってしまった。

 

菖蒲(自分で気づかないともう桜花はだめだろう)

 

 

桜花(代えられた、けどなんかどうでもいいや)

 

 

 

カキンッ

皇子「抜けろ!」

 

御柳「させない!」

 

 

中間守備を敷いていた内野陣、ショートの右を抜けそうな打球。

御柳が飛びついて捕る、そのままセカンドへトス。

 

 

椿「最高かよ」

「アウト!」

 

セカンドの椿が1塁へ送球。

 

バシッ「アウト!」

 

 

『急造二遊間がチームを救いました』

『特に御柳くんはショートへ変わった直後の大ファインプレー』

 

チームメイトの手厚い歓迎を受けてベンチへ戻る御柳。

 

御柳(3点差か…)

「桜花」

 

桜花「ん?」

御柳「大丈夫だ、何の心配もいらない」

「あとはオレに任せろ」

 

桜花「…」

(なにそれ、別にチームの勝ち負けなんかどうでもいいのになんでそんなこと言うんだろう)

(僕は勝ちたいわけじゃないのに)

(ただ投げたいだけ、もっといいバッターに投げたいだけ)

 

(なんで投げたいんだろう……)

(楽しいからかな、本当にそうなのかな)

 

(なんで野球してるんだろう)

(昔はどうだったのかな、こんなこと考えたことなかったのにな)

 

 

 

エースが下りた華武高校はその後も点を取られていく。

桜花以外の投手が公式戦を投げたことが無かったので当然といえば当然。

 

 

6回表

0対5で先頭バッターは1番の朱牡丹。

 

 

朱牡丹(白春の代わりに俺ががんばる気(@_@))

 

シュッ

“椋”6個に分身するボールだが、実体を持つのは1球のみ。

 

 

朱牡丹は6個中3個が一直線になるところを見出した。

 

朱牡丹「ここだー!」

 

キンッ

ファーストの頭上を越えてヒット。

 

 

羊谷(むう)

 

朱牡丹「こんなんじゃまだまだ終わらせない気~」

 

 

『反撃開始です、先頭の朱牡丹くんがヒットで出塁』

『2番は先ほどサードへ入った1年生の浦部くんです』

『5点差ありますがバントも考えられます』

 

 

将猿(一段下がる打者には温存のため2球分身で)

 

 

シュッ

 

華武高校の代打1年生コンビの浦部と向井の打撃能力はとても高い。

相手の気迫、オーラだったりを感じ取ることができる。

そう、ボールの質量も…。

 

 

カキンッ

 

浦部(どっちかわかれば普通のストレートと同じだから僕でも打てる)

 

 

右中間を深々と抜けるヒット。

朱牡丹は快足を飛ばして一気にホームを狙う。

 

朱牡丹「まず一点(^^」

 

 

飛鳥「行かせない♪」

 

飛鳥からホームへ矢のような送球。

 

 

「ストップストップ」

三塁ランナーコーチが精いっぱい止める。

 

朱牡丹「やっぱりいい選手気」

 

 

白雪「彼はすごい選手だね」

玄渕「ええ、常に念頭に置かなくちゃいけませんね」

 

猿野「リーゼントでメガネでキャプテンで真面目って」

沖「キャラ立ち過ぎて意味わからないよ」

 

 

椿「さーあビッグチャンスだ」

 

 

「ボールフォアボール!」

 

椿「なんてね」

 

 

椿のカット能力は高校球児随一。

カットだけを目的にしたことでフォアボールを勝ち取った。

 

 

 

羊谷「こんな選手だったか」

椿「今日はあいつに託したほうが良さそうだ」

 

御柳「ビッグチャンス」プクー

(こういうところで打つためにオレは4番に座ってんだ)

 

 

『さあノーアウト満塁で4番の御柳くんです』

『この回で同点まで持っていける可能性も見えてきましたよ』

 

 

6回裏0-5

ノーアウト満塁

 

 




この回が華武高校にとって正念場です。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。
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