ミスフル 続編!   作:トータス検二郎

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甲子園中継はテレ朝でじゃんけんする人です。


083発目 真価

 

カキンッ

 

『入ったー入りました反撃ののろしをあげるグランドスラム!』

『6球に分身したボールを見事スタンドへ叩き込みました主砲の御柳くん』

『マウンドへ集まります栄都学園ナイン』

 

 

羊谷「ここまでか、5回と0/3を4失点か」

将猿「こんなもんでしょ、絶対王者華武高校さんだし」

吉辰「お疲れ様です」

犬彦「チョベリグのピッチングだったよ」

 

羊谷「あとは頼む」

 

 

 

小学生のときもチームメイトだった栄都学園はこの展開をわかっていた。

ベンチから羊谷の指示無く交代が告げられる。

 

 

『ここでピッチャーの交代のようですね』

『この夏よく見られた継投に入ります』

 

『羊谷くんがライトに入ってピッチャーに犬彦くん』

『サードにはベンチから猪丸(いのまる)くんが出てきます』

 

 

羊谷監督「ここまでか…」

 

 

犬彦ははっきり言って凡ピッチャーだった。

左腕からアバウトなコントロールと中途半端に速いボール。

細かいムービングで打てるものなら打ってみろ仕様。

 

二流高校にはある程度通用してきたが華武高校にはそうはいかない。

 

両チーム二番手投手が出てきたことで打撃戦になってきた。

 

 

 

スコアボード

華 000 006 13

栄 000 320 41

 

 

 

『とうとうここまで来ましたラストイニング』

『継投の後乱打戦になって10対10の同点で最終回表の攻撃は華武高校』

 

『桜花くんがマウンドを降りた後の御柳くんの活躍が凄まじいですよ』

『満塁ホームランを含む3本塁打8打点の大暴れ』

『1人出ればこの回も御柳くんに回りますね』

 

『先頭は本日3安打のトップバッター朱牡丹くん』

『おっとここでピッチャーを代えてくるようですね』

 

『ライトで休息をとっていたエースの羊谷がマウンドへ向かいます』

 

 

御柳「来たな」

朱牡丹「分身は通用しない気(^^)/」

椿「次はヒットで出る」

 

 

羊谷「よくやった犬彦」

犬彦「おセンチになってるんじゃないか」

羊谷「バカ言えよ、全開で行くぞ」

 

 

羊谷監督(お前はこんなこと望んでいないだろうが、俺はお前を応援している)

 

犬飼(御柳、ここで打てよ)

 

 

羊谷賢人は体力に自信があまりない。

いつも犬彦との継投で勝ち上がってきた。

 

最終回、体力消費の心配のないこの回に投げるボールがある。

 

6球に分身し、それぞれが変化する“鵯椋(ひよむく)

 

 

 

バシッ「ストライクバッターアウト!」

バシッ「ストライクバッターアウト!」

 

 

『ここにきて羊谷くん完全復活、新球で2者連続三振です』

『不屈の精神を見せる彼に父親である当時の羊谷遊人選手を思い出します』

『いやあやはり親子なんですねえ』

『となると故障には気を付けてもらいたいところ』

 

 

 

「3番セカンド椿くん」

 

椿「やれやれ、延長はちょっと厳しいよ」

 

 

将猿(3人で切って…)

羊谷(サヨナラで勝利する!)

 

 

御柳「椿」

椿「ん?どした」

御柳「絶対回せよ」プクー

 

御柳の瞳はまっすぐ椿を見つめている。

ここまで真剣にチームメイトに何かを託したことがあるか。

 

予選のセブンブリッジ戦以来、チームメイトとのコミュニケーションが増えた御柳だが基本自分が背負うタイプである。

しかし、今回は他者に出塁しろと言っている。

 

同級生の椿がその言葉に燃えないわけがなかった。

 

 

 

椿「ふんっうるせ」

(お前がそんなこと言うなんてな、絶対に出てやる)

 

 

 

椿は埼玉の2年生で五指に入る実力を持つバッターである。

普段からスラッガー御柳の前を打つことで凡退しても後ろが打つと思っていた傾向がある。

 

久芒がケガで離脱し、桜花がマウンドを降りた。

華武高校がここまでの窮地に追いやられたことはない。

 

最終回同点、ここで点が入らなければ裏でサヨナラの可能性がとても高い。

マウンドには復活したエース羊谷。

椿奴鬼(やつき)の真価が問われる打席になる。

 

 

 

椿(“鵯椋”を朱牡丹さんのおかげもあって8球見られた)

(さらに打席で2球みて3球目を打ってやる)

 

 

バシッ

『早くも追い込まれました椿くんカウント2ストライク0ボール』

 

 

椿(ふわっとどれが実体かわかるぞ圧が違う感じだ)

(変化球も大したことはない、いける)

 

 

朱牡丹「椿…」

向井「椿さん」

柘榴「打ってください椿さん!」

御柳「……」

 

羊谷(お前たちは通過点に過ぎない!)

 

“鵯椋”

シュッ

 

 

椿「ミヤにあんなこと言われて…意気に感じちゃうだろ!」

 

 

カキンッ

 

二遊間を真っ二つに破る当たり…。

 

 

皇子「拙者が行かせはしない!」

椿「抜けろー!」

 

 

飛びつくショートの皇子、グラブにボールが当たるが弾かれる。

 

 

「来たー!椿さん最高」

「よくやったぞ椿ー!」

「ナイバッティン行け行けー!」

 

 

『とうとう最終回にランナーが出ました!三塁側スタンドが大いに盛り上がります』

『ここでバッターは不動の4番御柳芭唐!!』

 

 

猿野「……」

由太郎「心臓ばっくばくだぞ」

白雪(セカンドは再考かもしれませんか)

 

 

静かにバッターボックスへ向かう御柳。

それをベンチからぼーっと見ている桜花。

 

桜花(なんだろう御柳が打っても打たなくてもどうでもいいのに…)

(なんで皆こんなに必死に声出しているんだろう)

 

 

両ベンチ、スタンドから必死に声を出す両チームの選手生徒たち。

 

最終回表同点2アウトランナー1塁

 

 




犬彦くんの投球描写はありませんでした。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。
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