2回表
ノーアウトランナーなし
福島のバッターは4番大神嗚
須咲「とくと食らうがいい」
「“
シュッ
天の秘球と同じように上に投げられたボール。
しかし、普通の“天鳳”よりも角度なく、ただのスローボールのようにミットへ向かっていく。
嗚「絶好球じゃん!」
猿野「おい!」
御柳「やられるぞ!」
ガギギン
「???」
膝から崩れ落ちるバッターの嗚
ボールは先程の沼崎と同じくキャッチャーの前に転がる。
タッチ「アウト!」
月「こんなもんか」
『アウト、アウトです!』
『絶好球のスローボールに見えたボールですが、打ちにいった嗚くんの方がしゃがみこんでしまいました』
『なんという重さを含んだボールだったのでしょう』
『見た目からはわからない想像を超えた秘球です』
犬飼「これがあいつの第五の秘球…」
剣菱「頼もしい後輩だね」
御柳(犬飼のとはぜんぜん違ぇな)
由太郎(バッターに膝つかせたぞ)
猿野(秋以降あれを打たないといけねえのか)
須咲の秘球で埼玉ナインは猿野の凡退を忘れ、ゲームに集中し始める。
百湖「須咲!」
須咲「百湖…」
『さあ次もおもしろい対戦ですよ!』
沼崎「やられてるじゃねえか嗚」
嗚「うるさい」
沼崎「うるさいってお前なあ…」
『中学時代、全国優勝したチームメイト同士の激突です』
『四神と呼ばれた主力の3年生4人がルーキーながらこの県対抗決勝の舞台に集結しています!』
『当時のエース対4番、決して観ることができなかった対戦が始まります』
源武「純粋に楽しみだってばよ」
斎柳「はーあ、マスク被りたかったなー」
須咲「こいつには初球から行く」
“鳳凰来儀”
百湖の1番の武器はパワー
今までどんな重いボールでもスタンドへ叩き込んできていた
ガギン
パシッ「アウト!」
『百湖くんのパワーでもピッチャーまで届かせるのがやっと!』
『これを打てない限り福島の優勝は無いかも無いかもしれません』
百湖「須咲…!」
6番もすんなり打ち取り、早くも2回の裏に突入
『今度は伝説の大神照の愛弟子、御柳芭唐くん対実弟大神嗚くん!』
『楽しい対戦カードばかりですね』
御柳「2人目の弟くん、来な」
嗚「照兄の役目を引き継ぐのはオレ、大神嗚だ!」
バシッ「ストライーク!」
椿「打てよ御柳ー!」
御柳(今のは相当質の高い“白”の秘球)
キンッ「ファール」
御柳「“天”の秘球もなかなかじゃねえか」
嗚「次行くよ」
主審「君、御柳くん、アウトだよ」
御柳「え、は?まだツーストライクっすよ」
主審「何言っているんだい三振だよ」
白雪「また…」
猿野「あれだ、さっきのあれ」
由太郎「なんなんだよう、まだ3球投げてないじゃんか」
椿「おかしい、スタンドは別に騒いでる感じはない」
ざわざわ
チェント「むしろ打たない御柳にゲキ飛ばしてるって感じか?」
赤城「うーん、心がざわつく」
妙高「なにかありえない事が起こっている…?」
白雪(彼らの反応もさっきとほぼ同じ…)
(選手たちにはあの3球目が見えていないのか?)
凪「また…」
剣菱「あんな甘いボール見逃すバッターじゃないのにね」
犬飼「どうしたんだいったい」
辰羅川「手を抜いてるって感じではない…ですよね」
『またしても見逃し三振!嗚くんの投球術が冴えているのでしょうか!』
『続きまして正真正銘兄弟対決!』
『あの照くんの実弟同士、期待しましょう!』
月「嗚、お前がなにかしているのか」
嗚「さあ月兄にはわからないかもね」
カキンッ
『打ったー初球を狙った打球はセンターの前へ落ちるクリーンヒット!』
『今のは“蛟”の秘球、“
月(決め球にしてくるのならその前にしとめる)
嗚(さすが月兄、やるね)
『この試合初のランナーが出ました!続くバッターはまた1年生、武軍の4番金剛くんです』
『ここにきて埼玉初の左バッターですね』
月「追い込まれるまでに打て!」
金剛「おっけー!!」
(何か掴んだのか?)
“
金剛、斎柳、丑光の3人が教わったこの技。
これは相手の球種、スピード、コースを先読みするもの。
柘榴のなんとなくわかるとかいう次元ではなくピンポイントで読み取ることができる。
金剛「よし!!」
カキンッ
『また初球を打ってヒット!』
『2回で早くもチャンスを作りました埼玉』
月「よし、いけるぞ」
月の追い込まれる前に打てという指示は間違ってはなかった。
逆に言うと決め球の全容がわからないためそれしか無かったのだ。
嗚の決め球以外のボールを打てるレベルの選手が何人もいるわけではない。
宝町「適当料理術が通用しない…」
源武「捉えきれないってばよ」
結局後続は倒れて無得点でこの回を終える。
月(上位打線でやるしか…)
御柳「弟!さっきの決め球までに決めるって案だが…」
月「はい、次は上位打線なのでこのまま」
御柳「無しだ」
月「え?」
御柳「いいっすよね監督」
白雪「ああ、君たちの思うようにしてほしい」
月「ちょっどうして、決め球が来たら打てないんですよ!」
猿野「うるせえ打つんだよ」
月「!?」
猿野「野球に不可能なんかない!」
由太郎「そうそう、攻略しがいあんぞー」
御柳「ああ、むしろ逆だ」
「どんな球かわかるまであれを投げさせよう」
「おう!」
月(この人たちは自分から厳しい道を…)
御柳「それでいいよな弟!」プクー
月「ええ、やるしかないみたいですね」
白雪「……」
(僕が指示しようとしたのにね)
たとえ決め球が来る前にチャンスを作っても決め球の攻略法が無い状態だといずれ抑えられてしまう。
まず優先すべきは決め球を把握すること。
“空蝉”や“般若”が通用するボールなのか違うのか。
3回は須咲が福島を3人で抑えると、その裏嗚がツーアウトまで簡単に奪う。
由太郎「打ってやんぞー!」
嗚「ふっ、そう思ってる間は打てないって」
勝負どころが多そうな試合です。
次回は明日の夜に投稿したいと思います。