ありふれていて欲しかった異世界転移   作:水原 日助

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設定・経緯・裏話

「ありふれていて欲しかった異世界転移」執筆経緯・設定構築過程発表会

 

作品コンセプト:真っ当でない異世界転生モノ

 

 元より「私の考えた異世界転生モノ発表会」として書き始めたこの作品。折角だから、話から読み取ってもらうだけでなく、こうして製作秘話的な形でも明かしてみようと思い立った。私自身そういう裏話が好きだからというのも大いにある。そしていまいち表現しきれなかったという不満も。

それに、これを投稿したのは、「物語として完成させる事を諦めたから」に他ならない。でなければ誰が発表会などと言うものか。そうならざるを得なかった理由についても、多分書くんじゃないんですかね?

 

 

 

・事の始まり

 

 それは、twitterで見かけたひとつの呟きだった。

 

『そろそろ異世界が転生者で溢れ返ってそう』

 

という感じのものだった気がする。

 

 私は異世界転生モノを読んだ事がなく、アニメ化されたそれらもすべてスルーしてきた。見ればそれなりに面白いんだろうが、一歩目が進まない。なら別に見なくていいや。そんな感じ。だからよく話題に上がる、こってこてのテンプレ要素だけで凝り固まった、以下の偏見しか持ち合わせていなかった。

 

 冴えない人物が神様だかにクッソ強い力を渡されて、転生先で何の苦労もなく無双してハーレム作るふざけた話。

 

 当然そんなのばかりではない筈だが、先の通り中身の確認もせずに外見だけで判断していた手前、それ以外の認識を抱くに至らなかった訳だ。

 そんな偏った認識と、先の呟きとが重なり、こんな設定が浮かぶ。

 

『複数の転生者が揃いも揃ってチート能力を持った状態で異世界に流れ込み、そいつらが好き放題に暴れまわって迷惑している』

 

 これが本作品の前身、「転生者によるチート合戦」だった。

 

 

 そんな前身から本作品に繋がるまで紆余曲折あるのだが、それを時系列順に纏めると複雑かつ見辛いものになるので、各項目毎で無理矢理に纏めました。

 書いてるこっちも混乱してくんだよ。長々と書きたかないし、切れだって悪いし。

 

 

・世界観

 

 ベースは中世ヨーロッパ調。異世界転生モノの王道を征く。他の要素がテンプレから外れるので、そこを際立たせる為にも、ある程度は外さないでおく必要があった。

 

初期案

 現れた転生者によって荒らされ、環境から文明まで滅茶苦茶になっている。各地に転生者の支配区域が点在し、それらが絶えず衝突し合い、混迷の中にある。

 

変更点

 転生者同士の衝突によって世界の在り方が破壊されている。

 

決定案

 転生者たちが行使した力によって法則性が破壊され、各地で歪曲が発生。文化的生活など望みようもなく、奪い奪われの世紀末と化している。

 

 異能力設定の変更に伴って大きく変化した。

 貧弱な現代っ子たる転生者たちが住みやすい環境を作るべく生活インフラを構築するも、転生者同士の衝突によってその殆どが消失。人々は残存する僅かな設備に群がって生きている……みたいな感じも想定していたけど、「異能力同士による破壊の影響は法則性にまで及ぶ」という設定変更に伴い、インフラ維持どころか中世時代の生活すら困難になっていると判断。力ある者が奪い、殺し、食らう世界で固定された。

 

 

 

・異能力

 

 転生者が得た力。俗に言うチート能力。絶対に勝利し、弱点はない。これを如何に調理するかが重要であるように思える。

 

初期案

 転生者毎に別個の能力を持つが、それぞれに弱点があり、そこを突くと無力化あるいは強奪出来る。

 

変更点

 チート性強調の為に弱点を廃止。勝負にならない為、矛盾による解決を模索するも頓挫

 

決定案

 何でも出来る力。ただし世界の在り方を無視する為、歪曲を発生させてしまう。

 

 設定の肝であり、最も変化した要素。

 初期案では転生者同士の戦闘を想定していたので、相応の数と、別々の弱点を用意しなければならなかった。が、「一見すれば無敵」などという難しい代物なんて思いつく訳ないだろいい加減にしろ。そもそも弱点があっては、ただ強い能力というだけでチートとは呼べないのでは? そんな事から、話や世界観設定なんかの問題もあり、決定案へ。

 

 まずはチートである為に弱点の存在は許されない。その時点で話にならないからと別の仕組みを考えた結果、矛盾という何かそれっぽいのに行き着くも駄目。途方に暮れた結果、思考放棄こそが答えであると確信。「異能力による矛盾は世界を歪ませる」という設定へと至る。

 

 生活インフラ構築の必要性を問われていた矢先、「知ってるだけで作れる訳じゃない」という当然の事実に気付く。じゃあ知ってるだけで実現出来てしまう力にしようって事で、別個の力ではなく共通の「何でも出来る能力」という形に落ち着く。

「法則を無視して不可能な筈の事象を強引に存在させている」ので"強引な創造"と命名した。

 本編内で「この解釈は主人公の想像に過ぎない」としているのは、それ以外に別の何かを思い付いた奴もいたかもしれないと思ったから。誰か知ってる? 教えてください。

 

 

 

・歪曲

 

 異能力同士の衝突によって生じる矛盾が生み出す世界の歪み。矛盾の解決手段を模索する過程で思いつく。具体例を考えるに当たって「常に力のベクトルが定まっていない状態」をイメージした時、ぐねぐねと"歪"み、捻じ"曲"がる蛇のような大地を思い浮かべた事から命名した。

 

「異能力由来の矛盾が歪曲を生むのなら、矛盾させなければいいのでは」という疑問を否とすべく、「能力の使用それ自体が歪曲を引き起こしかねない」デメリットが必要となる(あらゆる物資を無限湧きさせたり、銃で無双されてもまったく面白くないから)。結果、「その場に存在しないものを生み出す行為すらも歪曲を発生させる」ようにした。しかしそうなると、発動後すぐに歪曲しては異能力自体が認知されず、転生者の凄さも何もないので、遅発的に歪曲を生むシステムが求められる。それが本編の"運命"。

 

 

 

・登場人物

 

主人公:高崎 洋海(タカサキ ヨウミ)

 高校生くらいの年齢。挨拶の台詞を書くその瞬間まで名前などまったく考えていなかった。当然、その文字列に意味などなく、単純に語呂が良いからこうなっただけ。でも洋海って名前はちょっといいかもしれない。

 初期案から決定案まで「転生に浮かれるも現状を知ってドン引きする」という要素と性別以外、何もかもが未定だった男。「服装が詰襟」という設定を書き終えて読み直した今になって思い出すレベルですっかすか。

 結局、君ってどうやって死んだんだろうね? 少なくともトラックに轢かれたり、神様の手違いで死んだ訳じゃない事だけは確かなんだけど。

 つうか神が手違いなんて犯す訳ねぇだろ馬鹿にしてんのか。

 

 

以下、モブの方々

 

短刀の男:レド

 第一異世界人兼説明役。名前は後付。歪曲の影響を「老化速度低下」か「急激な老化」かで、そこそこ悩んだ。進める内にどんどん辛辣な物言いになっていった結果、ジェダさんが登場する事となった。

 

弓の男:???

 上に同じ。名前すらない。あえて今付ける気にもならない。歪曲の影響を「ひとつの目に瞳が3つある」とかにしたから、それを隠す為にゴーグル(転生者製。道すがら拾ったやつ)をつけている。引きつった表情筋は後付。気持ち悪い目を見せたくはなかっただろうから。

 

杖の女:リリゥ

 上に同じ。名前は後付。主人公に一目で「異世界だな」とわかってもらう為にエルフ耳で杖を構える事になった女。自分の事を人間だと思い込んでいる精神異常エルフという疑惑も後付。それについては、最初はレドさんに教えてもらうつもりでいたのだが、上述の理由からジェダへとシフト。

 

バンダナの男:ジェダ

 転生者にも少しだけ優しい異世界人。名前は後付。レドさんがあまりにも手酷いから生まれた男。罰云々の件を言わせたいが為に用意された代用品。彼が妙に同情的なのは、過去に転生者と何かあったんじゃないですかね? その答えはバンダナが知っているのかもしれない(思いつき)。

 

取り巻きたち

 正確な人数も、男女比率も、名前も不明なジェダの子分たち。どういう経緯で集ったのか不明(考えてない)。親分との関係は良好の様子。でももしかしたら裏切ったりする奴も出てくんのかなぁ。悲しいなぁ……

 

最初の転生者:世界王

 最もおいしい思いをしたであろう人物。偏見に沿った典型的な転生者。能力の規格外さをアピールすべく、スケール大きく世界統一をやってもらう事にした。

 生活インフラの構築も彼にお願いしたのだが、全世界を覆うと生じる歪曲がとんでもない規模になる為、自分のお膝元たる王都に留めてもらい、勝者のままご退場。残された全人類に語り継がれ続ける憎悪の的。流石は世界王、やる事が違う。

 世界統一から王都の建築まで幅広く行ったので、そこから"何でも出来る能力"というふざけた利便性の設定が生まれた、ような気がする。

 そして王都を大歪曲の舞台とするに当たって、「異能力による両立し得ない事象の衝突が歪曲を招く」という設定に至ったのも、彼が拘りぬいた王都を築いてくれたから。ありがとう世界王。

 彼は今も理想の王都と、愛する女たちと、因縁の敵たる二人目の男と一緒に、仲良く捻じれ続けている事だろう。

 

二人目の転生者:二人目の男(???)

 世界王と敵対した男。英雄願望全開。弱き者の味方。奴隷たちの王。解放者。

 大歪曲を引き起こす為に生まれ、名前ではなく番号で呼ばれ続ける悲しい人。

「奴隷に優しく」は転生者の基本だろ? 知ってるぞ。

 

三人目の転生者:???

 誰?

 

黒幕:"意思"

 何者なんだよお前は。

 

 

 

・本作品投稿の経緯

 

 私は現状、設定を思いつくばかりで、物語という形に加工しきれない。発想が及ばなかったり、考えるのが面倒臭くなったり、そもそも出力手段が未熟であったり。あれやこれやと考えてこそみるものの、しかし作品として出力出来ない。今回公開したこの設定群もそのひとつだった。

 焦るばかりで動けない。それが堪らなく不快だったので、いっその事「考えきる前に走り出してみよう」と思い立った結果がこれだった。俗に言う「見切り発車」だ。

 

 1話時点で考え付いていた事は、「浮かれた主人公が出会った異世界人に現状を教えてもらい、歪曲とかを見て唖然とする」だけ。だから、主人公は状況把握も放棄してただはしゃぐだけだったし、出会った異世界人のキャラもさっぱり固まってなかった。どう〆るかも未定だったから、ひたすらに不安定な文章になっている。見直してみたら凄いね。後日、書き直すわ。

 

 

 

 

 こんなところだろうか。5回程の書き直しを経て、ここまで書いた。

 詳細を省いた部分もあったが、書こうと思えばそれだけ入り組んでわかり辛くなるので、この位に留めておく(書き直す羽目になった原因がそれ)。設定を考えるに当たり、別々の要素を順番に決めていくのではなく、「ここが決まればここもこうなる」みたいな感じで少しずつ全体の形が定まっていくので、いざ経緯を書こうとしたら滅茶苦茶に大変だった。

 が、意味はあったと思う。こうして改めて筋道をなぞり直してみる事も、無論、この作品を一応でも完結まで持っていけた事も。

 

「ここについて知りたいんだけど」とかありましたら、気軽にお願いします。私自身も見落としている箇所があるかもしれませんので、是非に。

 

 

 

 最後に。

 これは異世界"転移"という括りでよかったのだろうか? 元の姿のままなんだけど、死んでるんだよね、主人公。

「死んで別人になる」なら転生で、「異世界へ送られる」のが転移らしいが、これってその中間みたいで、分類に悩んだんだよね……。

 場合によってはタイトルが変わるかもしれない。まぁ内容が変わる訳じゃないから、どうでもいいっちゃ、いいんだけれども。

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