「計画は順調?」
「…手筈通り。」
「こっちも準備OK♪じゃ、そろそろ始めますか。」
「…これが成功すれば、私たちは…。」
「うん、世界を支配できる。」
「…私、頑張る。」
「お!いいねいいね!じゃ、行こっか。」
「時空音計画、開始!」
二人の掛け声は闇の中に消えていった。
正月も遂に終わりを迎えた。冬も本格的になり、最近雪の日も増えてきた。里の人間たちは仕事が始まるとあわただしく動き出している。
それとは全く対照的に博麗神社は活気を無くしていた。正月のころは妖怪たちの宴会で活気づいており、初詣ということで少しだけ参拝に来た人もいた。賽銭箱にもお金が溜まり始め、浮かれ出したころに正月が終わってしまった。博麗神社の巫女、博麗霊夢はそれを惜しむかのように、神社の縁側で何かすることもなく座っていた。
「ああ…私のお賽銭…。」
小さな声で霊夢が呟く。
「何で書き入れ時にあれだけしか溜まらないのよ…。」
人が参拝に来たと言ってもいつもよりは多いというだけだ。
第一、妖怪たちが傍らで宴会を開いている神社に人が来たがらないのは当然のことである。
「後で妖怪どもに慰謝料請求しようかしら…。」
霊夢が一人でそんなことを呟いていると、
「おーい、霊夢ー!」
どこからともなくな声が聞こえる。
「あら魔理沙いらっしゃい、あいにく出せるお菓子はないわよ。」
「おいおい、せっかくこんな所まで来てやったんだぜ?そりゃないだろ。」
「あんたらが宴会で食べ尽くすからでしょ!」
「で?今日は何しに来たのよ?」
霊夢が尋ねる。
「いやあ、もう正月終わっただろ?」
「そうね、残念なことに。」
魔理沙はそれには応えず、話を続ける。
「そろそろ異変の一つや二つでも起きてないかと思ってな。確認しに来たんだぜ!」
「あんたねえ…、こんなときに異変が起きたらたまったもんじゃないわ。今神社は深刻な財政危機なのよ。」
「別にいつものことだろ、そんなの。」
「言わないで、悲しくなる。」
「はあ…またあのご老体から金借りようかしら。」
そのとき、
「…そんなこと言う奴に金は貸さないわよ。」
何もない空間から声が聞こえる。
「あら、ご老体、いらっしゃい。」
霊夢がすました顔で声のしたほうに返した。
その瞬間、その場所の空間そのものが割れる。空間の割れた先の禍々しい世界から八雲紫が現れた。
「で?あんたは何しに来たの?」
霊夢が再び尋ねる。
「はぐらかすつもり?まあいいわ、答えてあげる。ここに来たのはただの暇つぶしよ。」
「暇つぶしって…そういえばあんた今冬眠の時期じゃないの?」
「なかなか寝付けなくてねえ。」
「…そういうところが年なのよ。」
霊夢がぽそりと呟く。
「何か言った?」
「何も。」
紫が怪訝な表情を見せる。
「ところで霊夢、さっきの異変がどうとかいう話だけど。」
「そう、紫からも魔理沙に何か言ってやりなさいよ、そんなことないって。」
「いや、私もそろそろ異変が起こる予感がしていたのよねえ。」
「やっぱり!紫もそう思うよな!」
魔理沙が嬉しそうに言う。
「あんたまでそう言い出すの?そんな都合よく異変が来るわけ…」
そのとき、
「霊夢ー!霊夢ー!」
鳥居の向こうから声が聞こえる。
「この声…にとりかしら?」
「そうみたいだな、何か事件の臭いがするぜ!」
鳥居から覗いてみると、河城にとりが何やら大きな金属の箱のようなものを引きずって階段を駆け上がってきていた。
「はあ、はあ、はあ…。」
「にとり、大丈夫か?」
「うん、大丈夫。そんなことより霊夢!この箱調べて!」
「そういうことは私じゃなくて香霖の所に行きなさいよ。大体、私よりあんたのほうがそういうの詳しいじゃない。」
「でもでも!博麗神社じゃなきゃダメなんだ!」
「ダメ?」
「うん!絶対、博麗神社じゃなきゃ!」
「あら、そんなにこの神社を頼りにしてくれるなんてありがたい限りねえ。」
紫が冗談のようにつぶやく。
『会話が破綻してるわね…精神操作の類かしら…。』
霊夢がそんなことを考えていると、
「おい、霊夢…。」
魔理沙がささやきかけてくる。
「確かにこの箱何か怪しい感じが伝わってくるぜ…結界みたいなものも張られてる…。あれは少なくとも私の力では開けられないぜ。」
「ほらね、言った通りでしょ、異変が起きるって。」
「何でちょっと嬉しそうなのよ…。あんただって幻想郷を乱されるのは嫌でしょ?」
「確かにそうね、でもこの程度なら冬眠前の軽い運動にちょうどいいわ。」
「ったく、何かあったら解決するのは私なのよ…。」
「まあまあ、いいじゃないか。何かあったら今回も私は協力するぜ!」
「とりあえず、ありがとな!にとり!これは私たちが責任を持って調べるぜ!」
「わかった!よろしく、魔理沙!」
そう言ってにとりは帰っていった。
「さて…。」
魔理沙が呟く。
「とりあえずこれは神社の中で詳しく調べるとするか…、アリスやパチュリーにも話を聞かないとな…」
「にとりの言っている事が変だった原因もわかるといいのだけど…」
「まあパチュリーなら分かるだろ。そこは安心してもらって構わないぜ!よっと。」
そう言って魔理沙は箱を持ち上げた。
「あれ?」
「どうしたの、魔理沙?」
「いや、何かこの箱、思ったよりも軽い…」
「その箱、返してもらえますか。」
突然、3人の誰のものでもない声がした
「え?」
3人は声の方向を見る、すると全身を紫色の服とシルクハットで包んだ一人の少女がさっきまで誰もいなかった箱の上に器用に立っていた。
「うわあああ!」
魔理沙は驚いて後ろに倒れかける。箱が宙を舞った。
それと同時に箱の上にいた少女が突然、
消えた。
少女は箱の落下コースに再び現れ、箱を抱えて着地した。少女が再び声を出す。
「もう少し丁寧に扱ってくださいよ、結構繊細なんですから、この箱。」
「あんた…、誰?」
霊夢が語りかける。
「私ですか?」
「私の名前は三浦音、気軽にミゥート、と呼んでもらって構いません。以後、お見知り置きを。」
「三浦音?あんまり聞かない名前ね。」
霊夢が言う。
「それにしてもこの箱…、あんたの物なの?」
「はい、そうですよ。ただ中身がどうなっているのかまでは分かりませんが。」
霊夢の問いかけにミゥートは笑顔で答える。
「ふーん、そうなの。」
「おい、霊夢!」
魔理沙が囁いてくる。
「こいつ、何かヤバいぜ!あの箱より強い魔力が湧き出ている!」
「ええ…私も気づいているわ…。でも、敵には見えないけど…。」
「よろしいですか?」
さきほどまで目の前にいたミュートが後ろから話かけてくる。
「うわあああ!」
今度は二人揃って声を上げた。
「なななな何だぜ?」
「はい、ここに来たのは箱を返してもらう以外にも皆さんに伝えたいことがあるというのもありまして…。」
「伝えたいこと?」
三人の中で唯一ずっと落ち着いている紫が問いかける。
「はい、実は…。」
ミュートが顔を急に曇らせた。
「三ヶ月後、幻想郷は滅びます。」
と、いうことで私の処女作となる「東方時空音´」、いかがでしたでしょうか。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
第一話は自分で見てても会話が多いとても見づらい作品となってしまいましたが・・・
今後成長していくと信じて私も書き続けていきますので、皆さんも温かい目で見守ってくださると幸いです。
この作品は原作があるものですがこれを書き終えた後はオリジナル作品にも挑戦していきたいです。
最後まで読んでくださり、重ねてお礼申し上げます。
第二話をお楽しみに!
(ちなみに原作、東方時空音は2月20日現在、非公開設定のままミゥート先生がパスワードを忘れて見られなくなっています。残念。)