小さな出会いの物語(次回更新未定)   作:宇彩

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テスト期間小説書けなくてやっと書けるようになってテンションが上がっている作者です。やっと更新できた…

これから何日か休校日が続くのでその間に連載している二つともたくさん更新できればいいなーと考えています。

楽しんでいただけたら嬉しいです。
では、どうぞ


第二話 賑やかな夕飯と目覚めた魔女

 

「っあー、疲れた」

 

 腕に抱えていたシルマをとりあえずいつも俺が使っているベッドに静かに下ろしてブランケットをかけた後そう呟きながらぐぐっと伸びをする。

 なるべく全身怪我だらけの彼女を揺らさないように、そして隣を歩いていたセイを置いていかないように…途中から疲れたようでシルマのお腹の上に飛び乗り帽子をクッションにすやすやと寝ていたが…ゆっくりと歩いていたため家に着いたときには辺りはすっかり暗くなっていた。

 シルマの近くに落ちていた折れかけのほうきを室内の壁に立て掛け、彼女の傷をきれいにするために使ったタオルは流しで軽く洗って血や土を落としてからまとめて洗濯機に放り込む。一通り終わり夕飯でも作ろうかと考えながら彼女の隣に寝かせておいたセイの頬を人差し指でつつくと、よほど起こされたのが嫌だったのか眠そうな顔をあげてこちらを睨んでくる。

 

《なにさ、僕はもう少し寝たいんだよ…》

「夕飯作るけどお前もなんか食べるか?」

《食べる食べる!》

 

 さっきの睨みは一体なんだったのかと突っ込みたくなるほどに目を輝かせながらがばっと起き上がる。

 

「態度変わりすぎか…で、何がいい?大体のものはあるが」

《魚。焼かなくていいよ》

「簡単でよろしいこった」

 

 予想通りの返事を聞きながら台所へ向かうとなぜかセイが寝床から飛び降りて付いてきた。

 

「どうした?別に毒は盛らないから監視してないで寝てていいぞ?」

《シルマも助けてもらったし家に連れてきてまでくれてるんだ、お手伝いくらいするよ。それにもうアルデのことは信じてるから大丈夫》

「っていってもお前猫じゃねーか」

《てーつーだーえーまーすー!》

「はあ…はいはい、じゃあそこの棚の中から香味草の入った小瓶持ってこられるか?」

《お安いご用っ》

 

 そう言いながら棚へ向かっていくセイを見送りながらこちらも準備を始める。ちなみに香味草っていうのはほんのりと香りと味を付けるために料理に加える草のことでうちの畑で育てたものを乾燥させて細かくして小瓶に入れておいたのだ。今日はずいぶん疲れたのであまり手間のかからない魚と野菜を炒めた簡単なものにしようか…と考えながら地下倉庫を覗いて使う野菜を選んでいると棚の方から《ひゃ~!》という悲鳴が聞こえた。

 

「おーいどうしたー?」

《小瓶の蓋開けちゃった》

「なんだそれだけか。なら…」

《それで頭から草被った~!》

「はあ!?」

 

 セイのいるはずの棚の方へ少し早足で向かうとそこでは黄緑色の粉を頭から被ったセイがふらふらぐるぐると歩き回っている。恐らく香味草を被ったことで前が見えないのだろう。

 

「こりゃまた思いきり被ったな」

《感心してないで助けてよ~前が見えないし香りで酔いそうなんだよ~》

「はいはい。っておいそのまままっすぐ歩くと…」

《なに?…ふぎゃっ!》

「……壁にぶつかるぞ」

《言うのが遅いよ!》

 

 壁に思い切り鼻をぶつけたのかぷるぷると震えているセイを片手でひょいと持ち上げて流し台へ連れていき粉を手で払ってやるがなかなか落ちないので、くいっと蛇口を捻ると何かを察したのか掴まれている手から逃れるためにジタバタとしだした。

 

《水はやだよ!猫は水が苦手だって知ってるでしょ?》

「なら安心しろ、お湯で洗ってやる」

《そういう意味じゃなーい!》

「でも被ったのが香味草だからなぁ…このままだとずっとこの強めの香りを漂わせてることになるぞ?」

《…洗っていいや》

「よし諦めたか」

 

 そんなことを話しながらセイの体をぬるま湯で撫でるようにしばらく洗ってやるとなんとか香りも消えたので水を止めてタオルの上に乗せてやり、自分でゴロゴロ寝返りうって水分取れよーと声をかけていいかげんにお腹が空いたので自分の夕飯を作り始める。別に香味草なくてもいいやと思いながら自分とセイの分の魚から骨をとるために捌いて鍋に放り込んでいるとセイから話しかけられた。

 

《ごめんねアルデ》

「ん?別に平気だ、香味草なくても十分旨いからな」

《ならいいけど…》

 

 しゅんとしているセイの頭をよしよしと撫でてやりながら料理を続けると5分ほどで程よい焼き加減になったので火を止めて皿に盛り付ける。セイの分の魚を乗せた皿と自分の分の皿をテーブルに持っていき下ろすと小さくお腹をならしたセイも付いてきたので目の前に皿を置いてやる。

 椅子に座り自分の分の料理を食べながら先ほどの香味草被り事件(俺命名)を思い出し、この家にいてこんなにも楽しいと思ったのはいつぶりだろうかと考えていた。というのも、俺はこの家に一人で住んでいるし近くに家もなく森を出て町に行かないと話すような人もいないので普段あまり誰かと話すことがないのだ。テーブルの下を覗いて魚をはぐはぐと食べているのをぼーっと眺めていると、セイは突然食べるのをやめて耳をピクピクと動かしながらベッドの方へと歩いていった。

 

「どうした?」

《んー、感かな。さっきまで静かだったシルマの“気”が動き始めたから起きるかなって》

 

 そう言いながらシルマの隣に座ったセイを眺めながら「気ってなんじゃ気って」と呟いているとシルマから「ん…」という小さな唸り声が聞こえ彼女は薄く目を開けた。そして隣に座っているセイを見ると安心したようにふわっと笑顔になる。

 

「よかった…無事だったんだね」

《シルマ!よかったー!》

「ここは…?」

《アルデが僕らのこと助けてくれたんだよ》

「アルデ…誰…?」

《あの人!》

 

 そう言いながらセイは俺の方を振り返りシルマもそれにつられこちらに顔を向け、シルマの吸い込まれそうな綺麗な青い瞳を見ていると先ほどの笑顔はどこへやら突然怖い顔をしながら起き上がろうとする。だがあんなにひどい傷を負っていたのだ、起き上がれずに痛みに顔をしかめるだけだった。

 

「ひどい傷だからしばらくは安静にしなきゃダメだ」

「人間…近付かないでやめて…!」

《大丈夫だよシルマ、アルデは傷付けたりしないよ。むしろ僕たちを助けてくれたんだよ》

「やだ…やめて…」

《シルマ…?》

「やだ…やだ…」

 

 セイの呼び掛けにも反応せずにシルマは布団を頭まで被ってカタカタと震えながら壊れたロボットのように同じことをずっと呟いている。よっぽど魔女狩りがトラウマになってしまっているのだろう、人間に恐怖心を抱いてしまっているようだった。

 

「セイ、これはやばいな」

《うん…人間が怖くなっちゃったみたい…》




いかがでしたでしょうか。

ご意見やご感想、ご指摘がありましたらお願いします。

お読みいただきありがとうございました。
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