まだまだ続く予定です
八坂は校門を出ると走る走る走る
まるで天かける龍のように彼はゆく
親不孝通りへ入ると素行不良な人間が何名が倒れていたが
八坂は気にせず走り抜ける
途中から殺気を感じ後ろをチラリと見やるとドコからわいたか
当麻家の人間が白刃引っさげ追ってきた
恐らくどこかへ隠れていたのだろう それも気付かぬほどに
前を気にしていたのかと思うと 未熟さを痛感する
前に視線を戻すとゴルフクラブを担いだ少女が居た
しかもその少女はこちらを向いてクラブを構えていた
(はぁ、嫌になる、至らない自分が)
前門の虎後門の狼と言うが後ろの狼共はさして気にする必要はない
そも俺に後退という言葉はないのだから必要ない
目前の虎はこちらを凝視し得物を見つけた様に嬉々とその牙を振るう
ガィン と言う鈍い音がしクラブが宙をまう
八坂は刀をチラリと見やる
酷い刃毀れだ 鋸の方が良く切れるのではないかと思うほど
酷い刃毀れであった ソレでもまだ人は斬れる
先ほどの乱戦の後半は少し力まなければ腕を切断できない程に切れなかった
今のクラブの切断で刃切れが三つ
一つは切っ先二寸ほどの切った所
残り二つはハバキ上五寸ほどのところに並んで出来ていた
刃切れが有れば必ず折損する訳では無いが やはりここまで酷使すると
怖いモノがある 土壇場で ボキン と折れて裏切られるくらいならまだいい
だがそのせいで折れた命は帰らないのだ
ここらで捨てて行くのも一つの手だが それは流石に忍びない
血によってかなり錆びついているが気にせず刀を納め
また走る
廃工場
漸く着いたがソコは正視に堪えない状況だった
辰巳は
凌辱の限りを尽くされた辰巳が横たわっていた
心の中によくわからない黒い何かが渦巻く
八坂はおもむろに懐へ手を入れる
パン
一発の銃声 そして眉間にもう一つの穴が開いた死体が一つ
そして計六発の銃声と六つの死体
チリンと音がすると三つの死体がまた生産された
「イトウ」
八坂はただボソリト呟いた
イトウと言う男へ八坂は氣を込めた掌打を打ち込んだ
その一撃は男の五臓六腑を焼き尽くす
男にこの世の物とは思へ無いほどの激痛を与えながら…
「辰巳」
八坂は出来る限りその声に優しさを込め
彼女を起こす
「師匠、私を殺してください」
辰巳は悔しそうにそう言い
やっとの事で身を起こし
顎を上げ目を閉じた
八坂もまた言葉はもう用をなさない
何を言っても彼女の心は救われない
死こそが唯一の救いでしかないのだ
”不名誉よりも死を” それが彼女の 辰巳と言う一刀の心金なのだから
八坂は刀を振り上げる
(師匠、 愛死ています)
八坂は刀を振り下ろし 首の皮一枚のこし きった
―― 『順刀』
首がツーと落ちる
彼女は 笑っていた
最後の彼女のいし 口がパクパクと動いていた
「い つ て ら つ し や い」
確かにそう動いた
バッ
目覚めるとソコは記憶にない場所だった
いや普段は使わない自分の部屋だ ここの所は道場で寝ているせいで驚いた
それにしても酷い寝汗だ頭から水をかぶった様に濡れている
「ふう」
息を整えると何故あそこまで寝汗をかいたのかわからなかった
何か夢を見ていたような気もするが もはや気にすることでは無い
チラリと携帯を見ると四月二十四日 転入初日であった
時間は午前二時 草木も眠る丑三つ時であった
ふと思い金庫を開ける
そこには数振りの刀剣があった
その中に白鞘の一刀があった
「辰巳……か」
刀を鞘へ戻し また鍵をかける
今日より私も学生か
止まっていた時間が動き出すのを感じた
水垢離でもして汗を流そうかな
「いい学生生活になればいいねぇ」
次話 から本当のスタートです
これだけの時間をかけて夢でした
なんだ釈然としない