一応最終話までの構想が出来たので
主人公はあくまで八坂ですので
他キャラが空気はお許しください
バシャッ
コン
カラカラカラ
バシャッ
一人の男が、真夜中であるのに水垢離をしていた。
この季節でなくとも井戸水は冷たいハズであるが、男は震えるどころか
かけ湯でもするように、頭から水をかぶる。
水はすぐに蒸発し、体に湯気が纏わりついて、男から発せられる闘氣に見えた。
「ふう、スッキリした」
そういって男は立て掛けた刀を手に取り ピュウ と抜打ちを放ち音もなく鞘へ戻す
(やはり、想像以上に鈍っている)
(道場内、敷地内では思うように振り回せんからな…)
「走るか」
朝日が顔を出す前、普段なら寝ているであろう時間に一人の少女は目が覚めた
そのまま二度寝しようにも、完全に目が覚めてしまい寝付けなく
ならばと、彼女はいつものコースを走り出す
その時彼女は、普段なら気にも留めないが、今日はなぜか気になりそこへ行く
人の声がする
シッ ハッ セイッ
そう小さいながら気合のこもった声がし、彼女はソレに釣られて覗き見る
そこには一人の男がいた、少なくとも凡手のそれではない
明らかな遣い手である、他流であるのに完成と言っていいほどのカタであった
彼女が男を見てからおよそ十二本目のカタを終えたとき、男は残心の構えを取ったまま透き通るような、それでいて有無を言わさぬ重みのある声であった
「そんな所で見てないで、こちらへ参れ、川神流」
彼女は突然声を掛けられたことに驚いたが それでもそこへ行く
警戒心が無いと言われてしまえばそれまでであるが彼女の場合、単純な好奇心が勝ったのだ
男は少女は気にも留めずまたカタを反復する
そこに会話は無く、少女はそれを見ていただけだった
それでも不思議と心地がよかった。
男はカタを反復し終えるとその場から立ち去ろうとする
「私は、川神一子。あなたは?」
そういって少女は自己紹介をするが男は足を止めなかった
一子はシュンとうな垂れる
「………雲……」
男はそう言って立ち去った
(大きくなったな、一子)
-食卓にて
「おはよう、八坂」
「おはよう、兄さん」
「ああ……おはよう」
八坂は素っ気なく返す
(姉さん、やっぱり兄さんの機嫌がよくないみたい)
(仕方がないでしょ、また学園へ通う事になったんだから)
(あの少女への誤魔化し効いたかな?)
「無駄口叩いてないで、はやく食え。冷めるぞ」
「「はぁーい」」
「そう言えば、兄さん、学園に差して行くの?」
「……勿論……」
「ソレより…はやく食え。今日は早く出るぞ」
-変態橋にて
「あれ、揚羽さんじゃありませんかお久しぶりです、なぜこんなところへ?」
そう言って黒髪の少女は話しかける
「おお、百代か人を持って居るだけだ、気にするな」
そう、何処か普段の彼女から考えれば邪険に返す
そんな所へ一人の少女が駆け込んでくる
ここは川神市の変態橋、何があっても不思議ではない
そしてその少女は揚羽のもとへ駆け寄った
揚羽はその子を抱きしめると、その少女を追ってきたと思しき男が邪魔だと言わんばかりに
仕込みを抜き揚羽へ斬りかかる
揚羽は少女を庇う様に背を向けその斬撃に備える
ゴン
少なくとも人体に打ち込んだ音ではない どちらかというと、厚い鉄板に斬り込んだ時のような音だ
揚羽は音の正体を確かめようとそちらを見た
そこには白髪の剣士がいた
左手一本で鞘ごと刀を抜きそのまま鞘で受け止めいていた
後姿ではあったがその人物が誰なのかすぐに分かった
長い白髪のせいで背の家紋は見えないが、その三尺を超える刀
雪のように白い鞘、雪の結晶をあしらった白銀の鍔
紛れも無く、彼女が待っていた男、八雲八坂であった
「なんだ、でめぇ」
仕込みの男はそう切先を向け凄んだが、八坂はまるで意に介さない
八坂はクルリと仕込みの男に背を向け
少女の前に静かに屈み ポン と頭をなでる
「案ずるな、渡しはせん」
短くそう言う
仕込みの男以外にも、そちらの筋と思しき男たちが集まった
仕込みの男は勝利を確信し 口辺に ニタリ とやらしい笑みを浮かべた
「どうやら、役者は揃った様だね」
白髪の男の声は平たんであったが、どこか懐かしさを含んでいるような気がした
仕込みの男は訳が分からない、と言いたげな表情を浮かべる
「行くよ」
そう言って白髪の男は少女を抱き上げ、歩き出す
「何をしている、揚羽、君もだ」
「……うむ」
そう言って再び歩き出す
「まさか君がこんな事に手を染めているとはね、沖田一番」
「その呼び方まさか、やさ」
「それ以上は今のお前から言われたくないな、それじゃぁ、サヨウナラだ」
そう言って白髪の男は左手で少女を抱き上げ、右手を九鬼揚羽と繋ぎスタスタと去ってしまった
「追いますか、沖田さん」
そう言った男は白髪の男が近付いて来た時、スーツの襟からトリガーガード付近まで無意識に抜いていた
「市川、自分の得物を見てみろ、止めておけ」
そう言われた部下は、銃をユックリと抜き、確認した
パキン と言ってトリガーガードから先が綺麗に折れた
仕込みの男は怪訝な顔が驚愕へ変わった
「あはは、相変らずの早抜きだな」
「近藤さんへの言い訳が出来たから、まぁいっか」
「正直な話、気が乗らなかったし」
「皆、帰るよ」
「「「「「「「「「うぃーす」」」」」」」」」
沖田と呼ばれた男は白髪の男とは正反対の方向へ歩き出す
その表情は先程と違い無邪気な笑顔があった
これからもよろしくお願いします