真剣で貴方と恋がしたい   作:長光

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第参話ようやく出来上がりました
ここまで読んで下さりありがとうございます
予想以上に一日が長いですが
これからもよろしくおお願いします


参話 昼休み放課後の生活 前編

朝の過激なHRから時間がたち

今は昼休み クリスは皆に囲まれていた

ところが当の八坂の周りは誰もいなかった

それはそうだろう 奇人変人の多い学園でも

腰にそのまま刀を差している人間はいない

それに皆何を話していいかも分からない

故に八坂の周りは人が居なかった

だが八坂はそんなことは気にしていなかった

 

さて如何したものか 夜叉と祭の機嫌が悪い

やはり今朝の事が原因だろうか

まぁ考えても詮無きことか 取り敢えず機嫌を直してもらおう

 

そう考えた私はすぐに行動に移す

元々こういう事は考えているより行動に移して失敗した方がいい

相手もこちらの反省の意を少しは分かってくれるはずだから

何より技の研究以外で頭を使うのは好きでは無いのだ

 

そこで食堂までの案内を誰かに頼みたいが

生憎と私は人と話すのがあまり得意ではない 

いや少々コミュ障なのかも知れないが気にはしない

そこでふと朝に会った青年の事をようやっと思い出すと

私は食事を終えている彼に声をかけた

 

直江大和 恐らく武力よりも知略に優れている人物とみた

少ない時間だが教室内の人間おおよその性格は分かった

 

「おい、直江大和、少し案内を頼みたいがよろしいか?」

 

私がそう呼びかけると一瞬 ビクリ と跳ねた後 少し考え

構わないという返答であった

 

恐らく案内が面倒というのもあるが

俺と揚羽の関係について問いたいのだろう

正確な事は言えないが まぁ答えても構わないか

彼奴に五割くらい丸投げしよう

いや丸投げと言っている時点で全部か 気にしない方向で行こう

 

そう考えながら教室を出る

騒がしかった教室が一瞬無音になった気がするが気にしない

 

「で どこに案内して欲しんだ」

 

揚羽の事を訊きたいというよりも私に関わりたくないというのが

優っているのだろう

 

「いや、購買まで頼むよ その代わり君が訊きたいことに

一つ答えよう」

 

すると直江大和はしょうがないと言いながら

ラッキーと言う表情を浮かべていた

 

そして私たちは購買へ向かった

 

その途中 鉄心と会い 頼んでいた生徒全員の名簿を借りた

これで この学園の生徒と教師の顔と名前を覚えることができる

 

入学してしまったのなら全力で学生生活を送る

そう決めたのだ

残り少ない時間をとにかく有効に使う

それが八雲八坂だ

 

そして 失礼ではあるが私は名簿に目を通しながら

食堂へ行く

 

漸く購買に来ると私としては会いたくない人間に遭遇してしまった

そう 川神百代 である

直江大和は如何やら川神百代の舎弟であるようで

ジュースをタカラれている

私はそれを見て見ぬ振りをし 彼女たちの好きな

フルーツジュースを買い

私は直ぐに1-Cへ届けようとしたがそうは問屋がおろさなかった

彼女がこちらを凝視いていたのである

今の私は体内で発生した莫大な量の氣を

ある事情により体内で血液と共に循環させ細胞の活性化

を促している

発生した氣は体内で消費されているので私の事を知る人間以外は

私が氣を使えることは知らない

故に氣を使うことはばれていない筈だが

地力の方を見破られたか?

私の彼女へ対する見積もりが甘かったか

 

いや表情を見る分にはばれていない様だ

なぜ此奴程度の人間が帯剣許可を得ているのか不思議でならない

と言う表情だ

このまま興味を失ってくれれば助かる

が世の中と言うのはやはり願いが叶わぬ様になっている物らしく

彼女の視線は私から腰間の一刀へ視線を移す

(しまった、俺自身の氣を隠すことで精一杯で 刀刃が纏う氣まで頭が回らなかった)

 

刀に限らず魂を込めて作り上げたものは氣を宿すことがある

それは時に妖気と呼ばれ時に神気と呼ばれる

妖刀と聖剣は紙一重

人を斬ればどの様な刀も妖刀となり

斬らねば聖剣となる

数多の血を吸えば魔性の剣となり逆に悪しき者たちはこぞって欲し

争いを巻き起こす⦆

だがどちらの刀も人を引き付ける事には変わりはないのだ

 

腰間の一刀は万が一 氣を使い果たした時のために溜めておいた

保存食のようなものである

基本的に 常時周囲の氣を取り込むようにしていたのが

今回は仇になったようだ

 

「おい、お前、私と闘え」

構えながらそう言い放つ川神百代

その体からは制御し切れないのか 膨大な量の氣が漏れ出していた

面倒だ彼女とのもそうだが体を動かしたくない

彼女の機を読むのはそう難しい物ではない

一瞬で制す事も出来るが

 

今後の平穏な学生生活を送るためには

非常にめんどうな相手なのだ

そう考え逃げ道を探していると 遠くから鉄心がことらを見守っていた

そんな鉄心と目が合う

 

(いや、見守ってないで助けにこい!)

 

(まだ何も起きてないから助ける必要はないであろう)

 

(起きる前に助けろこの耄碌爺!)

 

(ワシにそういう事を言うなら助けない)

 

[拗ねやがった もう知らん如何なっても責任は取らんからな]

彼らはあくまでも眼で語り合っている

八坂は心の中で感情は豊かだが 表情は能面のように無表情である

 

元来かれは表情が少ない人間であったが 武術に打ち込むために

表情を動かすことはなくなった 表情からかなりの情報が得られるからである

しかも ある事情により笑わなくなった

そのため 表情を作ろうとすると 表情筋がツルという現象が起きる

 

現にクリスから話題を振られたときに露骨に嫌そうな顔をしたが

その所為で一時間ほど表情筋が痙攣していたという悲しい現実がある

 

八坂が鉄心の方を向いてよそ見をしていた一瞬の隙を突き 

彼の死角である右から打撃を放つ

――川神流『無双正拳突き』

 

それは 偶然であったのか はたまた必然であったのか

それは神のみぞ知ることである

少なくとも彼女の中では想定外であった

 

百代の攻撃は八坂に当らなかった

では八坂の攻撃が当たったのか

いや 当たってはいない

では鉄心が止めたのか  それは間に合わなかった

八坂は半身になり

右手で刀を鞘ごと抜き柄頭が百代の喉元で止められていた

百代は信じられないという表情をしていた

それはそうだろう完全に右目の死角から それも不意を突いたにもかかわらず

攻撃をしようと僅かに拳を引いた所で 気付けば彼の攻撃を受けていたのだから

 

八坂は刀を落し差しに差し直し

無言にてクルリと背を向け悠然と立ち去ろうとした

だが諦めきれない百代は再度攻撃を放つ

完全な視角である後ろあらである

 

――八雲流 秘剣 居合『 飛燕の一太刀 』

 

八坂は気づけばこちらを向いている

 

(しまった、やってしまった さっさと逃げよう)

そう思うと 八坂は羽織を脱ぎ彼女に肩からかけてやった

 

「すまない 許してくれ それでは」

 

そう言って次こそ食堂を後にし 隠れていた鉄心の元へ行き

名簿を返した

その時に百代の怒号が響いた気がした

「鉄心 孫娘が可愛いのは分かるが キチンと言い聞かせておいた方がいいぞ」

そう抑揚なく八坂は言い放ち八坂は

少し昔を思い出してしまい 迷いをそこへ置いて往く様に

その場を後にした

 

 

 

 

一年生の教室へ向かう

(さすがに恥ずかしい )

しかし妙である皆がこちらを見る目に

どこか慣れたものを見るような感覚があった

祭は今日 転入したばかりの筈である

つまり 私たち以外にも帯剣許可を得ている人間が居るという事である

まぁ考えても栓無きことである

 

そんなことを考えながら歩いていると1‐Cについた

 

「失礼する、八重祭という者はおられるか」

 

八坂はそう言いながらぐるりと見回す

皆はどこか危ない人間を見るような表情であった

 

すると一人の女生徒と目が合った

和装が似合いそうなとであった

 

彼女は帯剣していた 八坂のように腰に差しているのではなく 

夜叉や祭のように袋に入れて常に持ち歩いているのである

 

そして八坂は他の人間と変わらずその刀刃に目を向ける

それは他の人間から見た場合であった

八坂の場合は意味が違う

その刀が放つ氣に心当たりがあった

そしてその刀を担う者にも心当たりがあった

 

八坂はその女生徒へ近づいてゆく

 

「へ、あ、あの」

 

女生徒は慌てている

それはそうだろう 誰だって知らない人間にいきなり近寄られたら一瞬は慌てる

ましてやコミュニケーション能力に欠損を抱えている人間なら尚更である

 

 

八坂は女生徒のあごに手をやり グイとこちらに向ける

そこだけ見るならラブコメに見えるが

両者ともに無表情となると ややというより かなり不気味であるだけである

 

そして八坂は彼女から手を離す

 

「君が 大成の娘か 確かに似ているな」

 

八坂は彼女にも聞えるかどうかの声量でポツリと呟く

 

「父と知り合いなのですか」

 

彼女は先程とは違い喜の感情が見て取れる

 

「ああ、 まぁ 師匠であり弟子でありという複雑な関係かな」

 

「ところで祭の席はここでいいのかな」

 

そう言って彼女の隣の席を指さす

 

「は はははは はい」

 

オドオドと彼女は答えた

八坂は机の上に先ほど買ったフルーツジュースを置いた

次の瞬間

 

「何のつもりだ祭」

 

八坂は鞘ごと刀を抜き

右手で鞘口を握り 鯉口を切り 左手で柄の縁金から拳一つ分下を握り相手の斬撃を受けた

 

「私はいきなり人に斬りかかる様に育てた覚えはないぞ 祭」

 

「兄さんが 隙が有ったら何時でも斬りかかっても構わない

 そう言ったんじゃありませんか」

 

「確かにそう言いはしたが 今の私に明確な隙が有ったかい?」

 

八坂はまるで子供を諭すような口調で祭に問いかけた

祭は何も言えなかった

それはそうであろう

八坂に明確な隙はなかった

 

「まぁい ところで祭 放課後は如何する?」

 

「放課後 まだ決めてないけど 姉さんと一緒かな」

 

「ならば 揚羽に町を案内してもらう約束なのだが一緒に行かないか?」

 

八坂は無表情ではあったが声に何時もより抑揚があったように思えた

恐らく表情とは裏腹にかなり楽しみにしているのだろう

 

祭は少し考えた

「夜叉姉さんと一緒の答えでいいよ」

 

「ならば夜叉にも聞かなければならないな」

 

八坂はそう言って無駄なく回れ右を扉へ向かって歩き

扉に手をかけるとふと何かを思い出したかのように振り返る

 

「邪魔をした それでは失礼する」

 

そう言って一礼し教室を後にする

 

 

 

 

2-S教室

 

八坂は1-Cの祭の所から2-Sの夜叉の所へとゆく道中

黛の事を考えていた

 

黛流の後継者 見た限りでは剣術はかなり使うだろう

才能という点では大成をして自身より勝と言っていたのだ

間違いなく今後が楽しみな人間である

故に八坂の心に由紀江に剣を教えたいという気持ちが

少しだけ芽生えてしまった

 

八坂が先ほど大成とは師弟の関係であると言ったのは

八坂は大成から黛流を学び返礼として八雲の奥義の一つである

『一ノ太刀』を伝授したからであった

 

一ノ太刀と言えば 剣豪 塚原卜伝 が有名である

八雲流の一ノ太刀は卜伝のそれかどうかは解らないが

しかし歴代で未だその剣を振って負けた者はいないと伝わっている

 

その秘剣を八坂は大成に伝授したのである

本当なら八坂はそんな心算など最初はなかったのである

 

大成が八坂に一振りの刀を注文したところが始まりであった

この話をすると長くなるので今は省略しよう

 

そのうち回想か何かでお話ししましょう

 

 

八坂がつまらない事を考えながら歩き

S組の前までくる

 

「失礼する 八代夜叉は居られるか」

 

中の空気はとてつもなくアウェーであった

物凄い逆風の中俺は夜叉の前までゆく

言いたくはないが物凄く居心地が悪い

これならまだF組の方がましである

 

「ひょほほほほ こんな所になぜF組の山猿がおるのじゃ」

 

何やら和装の女性が絡んできた

無視をすると云うのも気が引けるが相手をするのも面倒だ

 

だがもし私の前に選択肢があるとすれば

 

『無視する』 『無視する』 『シカトする』

 

というものしか出てきそうにない

心苦しいが今はとりあえず保留とし

そのうち相手をしてあげよう

 

「ほい 夜叉 これやるよ」

 

そう言ってジュースを彼女に渡す

そんな事をしていると彼女が何やら涙目になっていたが

今は相手をしない

 

「それで放課後は如何する 祭は姫と一緒の答えでいいと言っていたが」

 

「祭と二人で街を回ることにするよ」

 

夜叉はそうめんどくさそうに返事を返すと 机に突っ伏した

如何やら相当疲れたのだろう

私の服装にも目が行っていないようである

 

先ほどの和装の女性は

泣きながら何処かへ行ってしまった

次に会った時にはキチンと相手をして上げよう

そう八坂は心に誓うと 教室を後にし

午後の授業を受けたのである

 

 

 

 

 

 

 

とりあえず前編はここまで

放課後は後篇にて

それではまた次回

 

 




第参話終了です

次回第肆話 放課後編です

一日がものすごく長いですね
予定では二話ほどで終わる予定だったのですが




私の長い残業と連勤生活も終わり
漸く執筆活動に入れると思ったら
データを保存していた MOドライブが故障していまうという
アクシデントがありまして投稿が遅れてしまいました
今は新しいものに取り換えこれからも続けていけそうなので
皆さんよろしくお願いします
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