真剣で貴方と恋がしたい   作:長光

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4.9話 話間

川神院にて

 

「もも お主その羽織如何した」

 

鉄心は百代の羽織を見て そう言わずにはいられなかった

その羽織の紋は間違いなく八雲流の皆伝者のみに許される紋であった

 

故にその羽織は八坂がよほどのことがない限り他人に着せることはない

 

「少し訳があって借りたんだ 文句あるか」

 

そう言って百代が少しイラついた

ああも 一方的にあしわれ そのうえ その場に縫い付けられては流石に

機嫌が悪くなるのも仕方がないと思う

 

因みに鉄心はすべてを知っていてあえて言うのであるから

流石に性質が悪いと思う

 

「じじい あいつの事を知っているのか」

 

川神鉄心が八雲八坂の事を知らないはずがない

川神百代より強い人間である

 

だが八坂は普段から隠行が巧いのである

故にこそ八坂は八流派一弱く見え 帯剣許可は家の権力であると言われるのである

 

だが実力は折り紙つきだ

 

あの黛大成に教えを受け 一月で皆伝を言い渡され 返礼として秘剣を授けたのである

最もその秘剣を大成は持て余したという

 

それだけではなく以前機会があり手合せした時には

ついつい本気にさせられてしまっただけではなく

明らかな大差で敗北を喫したのだ

 

余程暈けていないかぎり 知らないという事は無いだろう

 

「ああ 勿論知っておるとも 其れがどうかしたのか」

 

さも億劫そうに鉄心は答えた

しかし内心は早く語りたいそんな気持であった

 

「いいからとっとと話せ」

 

そう言って百代は鉄心の襟をつかみ揺さぶった

よほど頭に来ているのだろう

 

そうして鉄心は彼女に自身の知りうる武について語った

 

彼女は怒りも消え失せ むしろ八坂に興味を抱いていた

 

それは好意と言える物なのかどうか

それは未だ解らない だがもしかしたら好意に変わるかもしれない物である

 

それはこの先の彼の選択次第であろう

 

 

 

 

 

 

 

九鬼揚羽のとの出会い

 

彼と彼女の最初の出会いは あまり好い物とはいえない

そもそも彼女が八坂に抱いていた感情は嫌悪に近いものであった

八坂と彼女の最初の出会いは見合いであった

まず見合いというものに憤りを感じていた

父の決めた事に異存はない 相手もそれなりの人間であると思っていた

だがあれでは… 一言で言うならば 失望 であろう

彼女は人生は闘いである という座右の銘をかかげている

勝負に勝つことで人間として成長し 輝いていけるという 考えを持っている

そのため 闘いを避ける八坂を見て失望した

彼と最初に顔を合わせたのは 見合いの場へ行く時に

 

絡まれていたのを助けたときであった

普通は逆であろう

 

闘おうともせずに謝っていた彼が気に食わなかった

彼女は八坂の鳩尾に一発入れたつもりだったが

手ごたえがまるでなかった

そして彼は約束があるからと走って行った

彼女もまたその席へ急いだ

 

後は良く有る事で

その席で感動の再会を果たす

彼女は怒って帰ってしまい

勿論見合いはお流れであった

 

では今の八坂への溢れんばかりの好意はいつ湧いたのか

 

それはこれから話そう

 

九鬼揚羽は強さの壁を超えた人間である

あの川神百代と張り合えるほどの武人である

その強さのほどは知れるだろう故 割愛しよう

 

そんな彼女でさえも不覚を取り 彼女が誘拐されたことがある

このことは九鬼の従者部隊でも上位の者の一部しか知らない

世間には漏れてはならない 極秘情報である

 

まず何時 誘拐されたかというと

彼女が怒って帰ってしまった時である

 

普段の彼女ならばそんなヘマはしないだろうが

その日は珍しく怒りにより注意力が散漫になっており

その隙を突かれて誘拐された

そして海外へ売り飛ばすために

まずよく有るような倉庫へ幽閉されていた

八坂はその場をすぐに突き止め木刀一本片手に乗り込んだのである

 

そして よく有る 三流の脚本の様な話である

 

八坂は百十八人の相手を

手や足など命に別状のない場所を打ちつけ

進む だが彼女に銃を突き付けられた瞬間に

ピタリと止まった まるで電池が切れたように

そして 八坂は 寸刻みにされた

それでも尚 八坂は苦悶の表情一つ出さなかった

 

ようやく助けが来た時には 満身創痍もいい所であった

揚羽が解放され八坂に駆け寄ると

八坂はフワリと笑い こう言った

 

「俺は 誰かが傷つくのを見たくない 誰かが泣いているのを見たくない

  やはり 平和がいちばん だから 君が無事でよかった」

 

そう言って 八坂は彼女の額に手をやり

―― 八雲流 禁術 『他者瞬間回復』

 

そうして彼女のキズを消した

額の九鬼印以外のキズを

 

そしてここで八坂は初めて苦悶の表情を浮かべ

もんどり打った後

 

「君に 大事なく何よりだ」

 

「それでは お元気で さようなら」

 

そういって 八坂はフラフラと帰って行った

彼女は動けなかった

 

胸に熱いものがこみあげてきていた

『君に大事なく何よりだ』

その声と太陽の様な笑顔を思い出す日々が続いて

我慢ができず 八坂に会いにゆき 気付けば月日がたち

 

今日のような交流が続いている

 

これが 彼と彼女の出会い (簡略版)

 

いずれ機会があればキチンとした形で紹介したいと思う

 

これはあくまでも 幕間話である

それでは 本篇で会いましょう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




これは話間ですので 時間軸は気にしないでください
いずれキチンとこの時の話を書きます
短くてすみません

それでは 本篇で会いましょう
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