ちぐはぐな部分が有るかも知れませんが
温かい目でよろしくお願いします
漸く朝日が顔を出し始めた早朝
一人の男が多馬大橋を走っていた
端から端までを往復し、それを飽きずに続けている
その数 千百二十 往復
常人なら既に息を切らしているだろう
しかし、彼はまるで無限のスタミナがあるかの様に
苦もなく続けていた
そして、千二百往復を全力で疾走し終えたとき フ と集中力が切れたのを感じた
そこで一先ず休憩とした
そして、休憩を終えると川隣りの草原にて素振りをする
やはり室内で素振りをするのと、外でするのでは距離感が違う
外の方が開放的で相手との距離が広く感じられる
百回の素振りを終えると、不意に視線を感じた
普段なら直ぐに気づけるのだろうが、今は余りにも眼前の闘争に目が眩んでいたのだろう
(俺とした事が、迂闊……いや未熟か…)
ただ、気が付かないのも無理もないと思う
その視線に敵意や殺気など後暗い感情があれば即座に気付いた筈である
だがこの視線は純粋な、そう、極めて純粋な赤子の様な好奇心と言えるものだろう
それ故に集中が切れた今になって気が付いたのだ
「そんな所で見てないで、降りて来たら如何だ」
するとその女性は、脱兎の如く逃げ出した
逃げたことは仕方がない、だが、タイヤを引きずりながらあの速力、日ごろの鍛錬の程がうかがえる
因みに俺は別に怒っているわけではない
見られてしまったのは私の不注意であるし、何より、外で鍛錬をしていた私が悪いのだ
そも、見られたのはただの素振りである
特徴的な素振りをしていたわけでは無いので流派の秘密が暴かれる事も無い
恐らく大丈夫だろう
そう思い直し、私は帰路についた
果し合い
果し合い三十分前
私はすでに到着していた
寿命も勿論、到着していた
だが、両者ともに始めようとは、ならなかった
八坂も寿命もその時間にベストを持って行っているのである
そもそも入口でバッタリ会った時点で二人とも緊張感を削がれてしまった
よって、二人とも開始時刻まで月見をしている
本来、両者互いに戦う事を好まない性格である
だが、止むを得ず刃を抜くこともある
それが、今である
寿命はたった一人の後継者である嫡子を殺されたのだ
例えどんな外道であっても息子は息子
寿命が今まで守ってきた栄流は潰えるのだ
だが寿命もそれで良いと思っていた
自身が死に病であると知るまでは
そう、死を意識した瞬間、彼は今までに無いほど戦いを求めた
先祖が代々伝えてきた栄流合気術
人を殺すために、ただその為だけに磨き上げた、洗練られた``武``
それを最高の敵を相手に、振ってみたい、心からそう思った
そして、相手は唯一人いた、だが、彼には…八坂には憎いという感情を抱けなかった
自身の息子の、鬼畜の…いや地獄の鬼すら反吐を吐く様な所業を考えれば
彼を憎むどころか、むしろ賛同する
だが、最後の戦いに、これを利用させてもらう
彼も気が付いているだろう、故にこそ勝負を受けてくれたのだ
私は分かるもう直ぐこの体は役目を終える
どこかに、栄の業を残したいそんな気持ちもあるのかもしれない
だから、私が勝てばそれまで
彼が勝てば栄の業と、刀を彼に伝える事が出来る
数百年の長く続いた歴史は途絶えるときは一瞬である
故にこそ、心のどこかで彼に期待しているのだ
必ずや私を超克し、そして栄の秘宝奥義とも言える、刀刃を用いた投げ技
彼が是を‘見盗り‘開眼し、そして、もう一度この世にあの魔剣を黄泉還らせてくれると
寿命は、そんな事を思いながら無言にて
草木も眠る丑三つ時に果たし合いとは随分と洒落ている
八坂はそんな事を思いながら バッ と飛び退きながら飛燕を見舞う
その剣は寿命に容易く受け流される
ボクシングでいうジャブの様な物で挨拶代わりである
最も今の一合で仕留められなかったことを、八坂は内心悔んだ
間違いなく威力はなかったが速さは百代に見舞ったそれを軽く超える物である
もしも、早さ重視でなく威力を持たせていたのならば
確実に投げ飛ばされ、今頃はこの世とおさらばしている
かなり肝を冷やした瞬間であった
八坂は人を斬るのに禁忌の感情を抱かずに殺せる
そう、彼は既に人を殺し慣れているのだ
だが、寿命は違う
これまで、師である父と弟子である息子としか仕合っていないのだ
ましてや、殺人など犯したこともないだろう
だが、今の彼は迷わず殺す
それは、喜ぶべき事なのか、非観すべき事なのか
この場合は言わずともよいだろう
八坂は刀を八双に似た構えにとり寿命は正眼にとった
二人の距離は寿命にとって一足一刀野まであり、八坂にとっては近すぎて逆に不利な距離である
八坂の刀は三尺五寸の超長寸刀であるのに対し寿命の刀は定寸刀であった
ちなみに八坂の刀は学園へ差して行く刀とは違う刀である
本来刀は長いほうに利がある
戦場では、鉄砲 弓 長槍 槍 長刀 大太刀 刀の順であった
ならば、八坂に利があるのではないか、そう思うだろうが八坂の刀は約一尺二寸寿命より長く八坂の方が身長も高い
そのため八坂は踏み込むと物打ちを外してしまい致死の斬撃を与えられない
そして寿命は大小二本を差している
物打ちを外した斬撃は致命傷にはならない
つまり、最初から斬らせて密着した状態で突き殺すという事も出来る
これは仕合に非ず死合なり なれば、最終的にはどちらが生き残っているかそれだけである
栄流の命運は既に尽きている、寿命が今更自身の体を気にかけるとは思えない
捨て身の作戦に出てもおかしくはなかった
だが、八坂がそんな事でやられているのならば、今ここに彼は立っていないだろう
幾人もの人間を殺したからこそ、今ここに彼は立つ
その死を無駄にしないために…
八坂は歴戦の古参兵である、対する寿命はこれが初めての他流試合
だが八坂は自身の勝機が殆どない事を知っている
八坂ははだ人生廿一年ほどしか生きていない、だが寿命は八坂の倍以上生きている
その人生経験の差が今の八坂と寿命のつり合いを保っている
八坂は踏み込むことをやめ、静かに体を起こし右足を前に出しそのまま打ち込む普段は全く修練しない
正真正銘の八雲流祖之型 不動の斬撃 技も何もないただ刃筋を正し力任せに打ち込む
それだけの業を振るう事を決めた
八坂は背中から冷汗が噴出した
眼前の寿命から意志が消えたのだ
勝とう、殺そうとする殺気も一切合切すべてが消えていた
普通の人間は闘争に目がくらみイキミ、起こりがわかりやすくなる
だが寿命はそんな物はなく、まさしく‘無念無想‘の境地へ至っていた
意志が消えると、相手の心を読むことが出来なくなる
相手の切先が刀が徐々に大きくなってゆき、そして、寿命の姿が消えた
八坂も考える事をやめた、意味のない事を悟った
対手たる寿命も八坂の意志が消えた事を悟った
‘心気‘の消えた人間は、人の形をした石仏に同じ
互いに仕掛ける事が出来なくなった
先に動いた方が殺られる
互いに長期戦を覚悟した
そして、どれ程の時間が経っただろうか
どちらからともなく、動き出し、相手を斬殺せんと刀を振り下ろした瞬間
扉が蹴破られた
二人の刀は寸止め状態で固まり互いに見つめあい
そしてゆっくりとドアの方をむく
そこには長身、長髪の獣のような男とその部下の様な一団がいた
八坂と寿命は一瞬にして納刀し、一団に向かって走り出す
その間、時間に直すならば刹那にも満たなかったであろう
それほどまでに二人の反応は素早かった
八坂は先に長身の男を投げ飛ばす、同時に寿命は入り口にいた男たちを一斉に投げ飛ばした
弾みで幾名かは階段を転げ落ちる
二人は全く気にせず平気でその上を走り下りてゆく
出口に着くと勢いよく二人は飛び出す
八坂と寿命は反対方向へ走りだす
「寿命、次に念氣が満ちたとき再び相まみえようぞ!」
そう言って八坂は逃げた
八坂は家の道場に着き刀を掛けると
力尽きたように深い眠りについた
数時間後は学園へ登校しなければならない事をすっかり忘れて
今日の所はこれまで
戦闘描写
勉強しておきます
このような自己満足の小説を
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