皆様はいかがでしょう?
「はぁ……」
恒例の
自分の力が強くなっていることは明確に感じてきているがいつまでたっても
鬼灯も成長しているから仕方ないといえば仕方ないのだが、だからといっていつまでも
いつか絶対あいつだけを
あいも変わらず良い匂いである。
その匂いを感じ取った彼は今日もまた朝食を奪われてなるものかと覚悟を決めリビングへと入っていけば……
「おぉぉぉおおおお!鬼うめぇっス!鬼灯!お前の母さん料理のプロッスか!!?」
「キヒヒヒヒ、美味しいよねぇ。ははうえの料理は。だからぁ……隙ありぃ!!」
「うぉぉおお、それ俺の卵焼きッスよ!?っく、ならば、そっちの鮭はいただくっス!」
凄まじい戦闘がすでに始まっていた。
というかなんかいた。
夜嵐イナサくん。
お泊まりですねわかります。
それを知っていたが故に焦凍は一瞬トオイメをしながらも直ぐに持ち直し席へとつく。
「頂きます」
「「そこだぁあ!」」
「させるかぁぁあああ」
「横がガラ空きじゃよ」
「「「俺たちの漬物がぁあああ!?」」」
食事についた途端鬼灯とイナサの箸が自身の食事へと迫るが、それを阻止するべく氷の盾を出そうとした瞬間、華麗に3人から漬物を奪う
今日も賑やか且つ疲れる1日が始まる。
それは焦凍の受難の1日の始まりでもある。
いや、受難は起床から既に始まってたね。
【第4話クジはいつだって不公平】
いつもならば静かに歩いていくはずの焦凍の登校は珍しく騒がしかった。
「そう!そうなんすよ!やっぱりヒーローといえばオールマイトと酒呑!!2人の活躍が熱いっス!!今日なんて一緒に朝食食べれるとか感激っす!!!」
1人増えただけでこんなにも騒々しくなるのか。昨日の夜から続くヒーロー談義にお腹いっぱいである。しばらくヒーローについて語りたくないレベルで。そんな様子が表情から読み取れる。
鬼灯は変わらず嗤っているがその表情はいつもよりもわずかに硬い。
ああ、こいつもなのか、と焦凍は不思議な安心感を覚えながらイナサとの会話を適当な返事で応対する。
そういえばいたな。昨日。
遠目だがものすごい勢いで
ああ、そうだ、あいつに押し付けよう。
やかましい奴を押し付けるのもどうかと思ったがPuls Ultraである。頑張れ緑谷。
焦凍の中でやかましいイナサを押し付けるターゲットに知らないうちになった緑谷。
焦凍の中にちょっぴり黒い部分が生まれた瞬間でもある。
「ご飯!!!」
いたって普通の科目を普通に受けた彼らは集団で食堂へと来ていた。そう集団である。
焦凍はイナサを緑谷へと押し付けるように仕向け、それは確かにうまくいった。
イナサと緑谷は一致団結。
互いにヒーロー談義について花を咲かせていたのだが。
イナサから出た鬼灯たちの親があの酒呑ということを聞いた瞬間、目の色が変わったようにこちらへとやって来た。
それは何も緑谷だけではない。
その周囲でオタク談義を呆れたように見ていたものたちもこぞって鬼灯たちの周りを囲い、そのまま食堂へと連行されていった。
その後食堂では主に焦凍が養子だという話や、普段の日常に対する質問責めの数々により、焦凍は昼飯の味をあまり覚えていない。
なお、鬼灯は普通にバクバク食べていた模様。
ここに、焦凍の企てた黒い心算は見事に瓦解したのだった。
「わーたーしーがーーー」
5限目。
昼食を取り終えようやく授業かと思った矢先、聞いたことのある声が聞こえてくる。
というか明らかに声が聞こえた瞬間、扉の画質が変わった。あんな空間干渉のような人間離れしたことを平然とやれる存在なんて、世界広しといえど片手で足りるだろう。
「普通にドアから来た!!!」
「ヒーロー基礎学!ヒーローの素地をつくる為様々な訓練を行う課目だ!」
オールマイトは背中を強調する様なポーズを取りマントを翻した。
「早速だが今日はコレ!戦闘訓練!!」
現役最強のヒーローが指導する戦闘訓練など、この雄英以外では普通は有り得ない。
それこそ、鬼灯達のように息子でもなければまずお目にかかることすら難しいのだから。
ヴィランを取り締まる戦闘ヒーローを目指す生徒達が心底楽しみだ、といった風に声をあげその声を満足気に聞いたオールマイトはリモコンを壁に向け、スイッチを押した。
壁が静かにスライドし、1から22迄の番号が書かれた棚が出現する。
「入学前に送ってもらった個性届けと要望に沿ってあつらえた……」
「
おおぉ!と生徒達が声を上げ、切島や上鳴に至ってはガッツポーズまでしている。
無理もないことではある。
現に少し意味合いとしては違うが、鬼灯や焦凍が鬼羽織を貰った時も興奮を抑えつけていたものだ。
各々が自身の出席番号が書かれた棚へと歩いて行き、鞄に包まれたコスチュームを取り出す。
「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!さあ、始めようか有精卵共!!」
その言葉とともにオールマイトは去っていく。残った冷めぬ興奮を覚える生徒たち嬉々として手にした
グランド・βへとA組は集まり始めた。
そこでは各々が届け出た
「おー、流石は酒呑の息子。
先程歓喜の声を上げていた切島が鬼灯の服装を見て思わず尋ねる。
確かに一般的に見ればあまり動きやすいとは言いづらい服装だ。
白の和服を見に纏い、紺色の袴を着た鬼灯は、ん?と切島の問いに疑問符を浮かべる。
「問題ねぇぞ。鬼灯は家ではずっとそれで動いてるからな」
「普段着か!!?」
その鬼灯に変わり捕捉するように焦凍が呟けばノリのいいツッコミが切島から帰ってくる。
とはいえ、この服装単なる私服ではない。
この服の最大のポイントといえばとてつもなく頑丈なところだろう。
それこそ、鬼灯が全力で動いても破れることはまずないレベルである。
無論、鬼灯が意図的に破ろうと思えば破れるが、普通の服では全力で動くだけで服の強度がもたない。
そんな鬼灯の全力に耐えれるだけでこの
一方で焦凍は半袖タイプの和服に袴を着ていた。
「お前もか!」
遅れたツッコミに遅いなと焦凍は呟くがそれは仕方ない。
そもそも、百鬼所属のヒーローは皆和服をベースにした
多くの者たちは
それ故に
まぁ、規律といっても某ハラキリ鬼の副長が作った様な苛烈きわまりないものとは違い割とゆるい規律なのだが、それ故にそのゆるい規律を無視すれば罰は重い。死への逃避など許されぬ100人組み手が開催される。
とまぁ、それ故に2人は和服ベースなのだが、2人が百鬼の見習いなど、ここにいる生徒、それどころか教師陣でさえ思うはずもなくただ親の影響だろうくらいしか考えていなかった。
当然2人は鬼羽織は羽織っていない。
「ヘイ!全員そろったね!さあ……始めようか有精卵共。戦闘訓練のお時間だ!!!」
再び湧き上がる周囲とは裏腹に、いつも嗤ったいる鬼灯から笑みが消えたのに気づいたのはおそらく焦凍だけだろう。
その目は鬼灯が初見の相手とやり合う時の目。油断なく相手を見極めようとする目だった。
「先生!ここは入試の演習場ですが、また市街地演習を行うのでしょうか!?」
ロボットっぽい
「いいや!もう二歩先に踏み込む!屋内で対人戦闘の訓練だ!!!」
オールマイトがいつもの笑顔で言うが、瞬間周囲の生徒を見定めていた鬼灯の瞳がギラリと光った。まさしく戦闘狂のそれである。
「敵退治は主に屋外で見られるが、統計で言えば屋内のほうが凶悪敵出現率は高いんだ。監禁・軟禁・裏商売…このヒーロー飽和社会。真に賢しい敵は屋内にひそむ!君らにはこれから"敵組"と"ヒーロー組"に分かれて2対2の屋内戦を行ってもらう!!」
「基礎訓練もなしに?」
誰よりも早く質問したのは蛙吹だ。
そんか彼女の質問に対しオールマイトはグッと拳を握った。
「その基礎を知るための実践さ!…ただし今度はぶっ壊せばオッケーなロボじゃないのがミソだ」
「勝敗のシステムはどうなります?」
「ブッ飛ばしてもいいんスか」
「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」
「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」
「このマントヤバくない?」
「っんんんん、聖徳太子!」
*質問は1人ずつしましょう。
「いいかい!?状況設定は敵がアジトに核兵器を隠していて、ヒーローはそれを処理しようとしている!ヒーローは制限時間以内に敵を捕まえるか、核兵器を回収する事。敵は制限時間まで核兵器を守るか、ヒーローを捕まえる事」
まるでハリウッド映画みたいな設定である。
「コンビ及び対戦相手は…くじだ!」
「適当なのですか!?」
スッと出されたくじ箱に飯田が反応する。
そんな飯田に対し、大きな動作で腕で✖️を作ると
「プロは他事務所のヒーローと急造チームアップすることが多い。そういったことも踏まえた上でのクジさ!」
見事に正論で返してみせた。
飯田くん。一般試験の時もそうだが話は最後まで聞いてから質問しよう。
「そうか……!先を見据えた計らい…失礼いたしました!」
「いいよ!早くやろう!」
そう言って開催の準備を始めようとするが
「あの!!!」
振り返って拳を上げたオールマイトの出鼻を挫くような形でイナサが手をあげる。
ふん!と鼻息を荒くしてるが、オールマイトファン。仕方のないことである。
「このクラスは今年2人多いので、2人1組に分けるとなると、全部で11組になってしまいますがそこはどうするのでしょう!」
「心配無用だ!夜嵐少年!!だから、2組だけ3人になる様にクジを作った!故に3人1組の番号を引いた組はもれなく抽選せずにもう一方の3人1組と戦うことになる!」
「なるほどっス!ありがとうございます!!」
あいも変わらず大声で声を出し、見事な90°の姿勢で頭を下げる。
勢い余って頭を地面にぶつけているのはスルーしたほうがいいのだろう。
「じゃあ!組み分けを始めようか!!」
そう言ってクジが入っているであろう箱を全員に向けて差し出すオールマイト。
しかし、このトップヒーローは考えておくべきだった。
クジとはいつだって不公平だ。
特に、ズバ抜けた戦闘力を持つものたちがいるこの場で運任せの事などするべきではない。
そこに気づけなかったからこそ。
出久&お茶子
瀬呂&障子
爆豪&飯田
青山&芦戸
砂藤&口田
上鳴&耳郎
梅雨&常闇
尾白&葉隠
切島&八百万&峰田
轟&大江&夜嵐
とてつもなく残酷且つ凶悪な個性のチームが完成してしまった。
見極め終えたのか嗤う鬼灯
オールマイトの授業、それも戦闘訓練ということもありテンションが上がっているイナサ。
そして組み分けを見て固まってしまった八百万、切島、峰田。
そんな5人を見ながら静かに合掌しつつも、あの2人でしっかり纏まれるか、やや不安を覚え、胃に静かにダメージを負う焦凍だった。
なお、オールマイトもやや震えていた模様。
感想お待ちしております(豆腐魂)
_:(´ཀ`」 ∠):ノシ