お邪魔するわよ~。
「オオォォオオォッ!!」
「んなろぉっ! 〈要塞〉!!」
「ギィンッ!」と、ガガーランは
洞窟を進んだ先の少し広い空間。前人未到の深層を進む“蒼の薔薇”に、まるでボスのように立ちはだかったのは、波打つ剣と巨大なタワーシールドを装備し、赤黒く脈打つような邪悪なオーラを
こういう時、ガガーランは“蒼の薔薇”の
「っ!? ふっ!!」
「っ
神官戦士であるラキュースからの
……しかし、こちらには強みがある。そう、1対5という強みが。
「射出!!」
ラキュースが
「こっちも隙アリ!」
機会を
「おまけ!」
ヒットアンドアウェイで離れ際、ティナが武器を
「ガガーラン
骸骨の騎士が踏み込んだちょうどその位置から爆発が起こり、炎が吹き上がる。それはそのまま敵その巨体を包み込んだ。ガガーランはティアとの
忍術で作り出した炎はすぐに晴れる。しかし、骸骨の騎士は健在。アンデッドのわりに、弱点のはずのあの炎でも致命傷とはいかなかったらしい。しかし、ダメージはそれなりにあったのだろう。骸骨の騎士は、死角にいるティアへ憎悪の視線を向ける。
「ナイスだぜティア! ガラ空きだデカブツ! オラァ! 〈剛撃〉!!」
その機を逃さず、今度はガガーランが“
ガガーランが守りに徹することで、敵の隙を突いて3人が攻撃する。敵の注意が3人のどれかに向いたところで、ガガーランが攻撃を加えてまた注意を引き戻す。敵は強い。誰かに攻撃を集中されたら、すぐに落とされる。そんな綱渡りの戦いである。しかし、アダマンタイト級チームの名に恥じない、彼女らの流れるような連携は、その綱渡りを可能とした。そして、力量的に上のはずの骸骨の騎士を効果的に
「一斉攻撃! 今!!」
ラキュースの号令と同時に、今度は4人で同時に攻撃を叩き込む。骸骨の騎士は、一番危険と判断したガガーランの
「オオオァァァアアアア!!」
おそらく
――しかし、それこそが“蒼の薔薇”の狙いだ。
「ティナ、今よ!」
「不動金剛盾の術!」
「来いやオラァ! 〈要塞〉!!」
防御ごと叩き潰すつもりで、恐るべき勢いで振り下ろされた剣は、しかしまず七色の盾に阻まれる。即席のガラス質の盾は砕けたが、剣は勢いを殺された後、その先で硬質な「ギィィィン」という音に阻まれる。ティナの忍術の支援を受けて、ガガーランが受けきったのだ。そしてすかさず――
「不動金縛りの術!」
ティアが骸骨の騎士の
「イビルアイ、お願い!」
「みんなよくやった! とっておきのをくれてやる! 〈
その背後、完全な死角から、魔法の水晶の槍が飛来する。それは骸骨の騎士のひときわ太い背骨を正確に貫いた。
骸骨の騎士は「ビクンッ」と大きく
「……ふぃ~、やばかったぁ……。やったなイビルアイ! 美味しいとこ持っていきやがってこのヤロウ!」
「…………」
「…………」
ガガーランの「
「ガガーランまだ早い。コイツまだ――」
「オオオァァァォォォオオオ!!」
「っ!?」
突然暴れ出した骸骨の騎士は、面食らったガガーランよりも、最後に致命傷を与えたイビルアイに
「みんな
ラキュースが縦に振り下ろした“魔剣キリネイラム”から、漆黒の
◆
「ガガーラン、おつかれ」
「よくやった脳筋」
「このくらい余裕だぜ!」
ガガーランとティア、ティナが陽気に拳を交わし合う。
「どうやらブランクはないようだな。いい動きだったぞお前達」
イビルアイが、小さな体でそんな偉そうな言葉を吐く。しかし、これがイビルアイのポジションだ。
イビルアイは、先ほどの連携のようなものにはあまり積極的には関わらない。力量差がありすぎて、どうしてもバランスが
(何が起ころうと、私が守る! あの時のようにはさせない!)
それがイビルアイの決意である。
なお、先ほどの死闘も、実はイビルアイ単体でも別に勝てた。これについては分かってても誰も何も言わない。
……ところで、そんな中、ラキュースはちょっと酔いしれていた。
(き、気持ちいい……)
強敵を大技で仕留められた
「それにしても、あんなすげえ大物初めて見たぜ! なんてアンデッドか知ってるかイビルアイ?」
「……
「……は?」
「え?」
「……マジ?」
「うそ……」
4人は一斉に
「
「ああ、魔導王とやらの、アレだ」
「…………」
一同は絶句する。話には聞いていた。
「嘘だろ……? こんなに強いのかよ……」
強い強いと言われていても、一兵卒から見た話だろ、と
「あんなのが……何百体も……?」
……そう、ウヨウヨいるらしいのだ。もはや太刀打ちできるどころの話ではない。
「あ~もうどうなってやがんだこの世の中は!? 大悪魔は出るわガイコツ魔王は出るわ! 聞いたこともねえ極悪魔法に見たこともねえ桁違いの召喚
ガガーランが頭をガシガシと掻きながらそんな愚痴を垂れる。「人類の守り手」アダマンタイト級冒険者も、これでは
「そういえば、エ・ランテルにも謎の遺跡が見つかったらしい。そっちも中の敵が強くて、誰も奥まで辿り着けてないとか」
「うん。そんな情報あった。今はもう行けないけど……」
さすがに魔導国のお膝元では無理がある。人の行き来は普通にできるという
「確かに、ここ最近は異常だ。こんなこと、ここ数十年、いや、百年単位でなかった……」
イビルアイが実感を込めて言う。彼女が言うと真実味がある。しかし、どことなく興奮が見え隠れするのは、その「異常」の中に、大英雄モモンが入っているからか……。
「……因果が集結してる。やはり、『時は来た』、ということね」
ラキュースは、“魔剣キリネイラム”を地面につき立て、風に髪をなびかせながら遠くを見つめていた。風どっから来た?
◆
「なんにしても、さっきのヤツがこの洞窟のボスで間違いないだろ! んじゃあお宝でも拝みに行くとするか!」
ガガーランは陽気に全員を
「まだ分からない。油断大敵」
一応ティアが釘を刺すが、緊張感が
「……いよいよね。いよいよ『その時』が来るのね」
ラキュースも乗り気だ(?)。一同は先の通路を進む。
狭い通路を抜けると、その先には大きな空間が広がっていた。天井は洞窟の中と思えないほど高く、上手く扱えば〈
その中央。そこに――
「ヨク来タナ。待ッテイタゾ」
声は、少女のよう。しかし、硬質な、底冷えのするような殺気を孕んでいる。姿は、一見して小柄。しかし、全身が闇のように黒く、おまけにぼんやりと黒い
――正体不明の、何かが、いた。
次、ナザリック視点に変わります。