ナザリック・ディフェンス   作:犬畜生提督

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<前回のあらすじ>

ジル「ああ、闘技場の遊戯(ゲーム)でもいいが――別に、アレを倒してしまっても構わんのだろう?」



会食

――その後の玉座での会談は、アルベドの取り仕切りのもと、(とどこお)りなく進んでいった。

 

……と言っても、(ほとん)どの内容は既に書面にて確認が済んでいる。ここでは面と向かって合意を取るのが主な作業だ。難しいことなど何もない。

 

(しかし、それにしても……)

 

先ほどより、この場の最上位者である魔導王アインズは、時々「ああ……」とか「うむ……」とか重々しく頷くだけで、全く口を挟まない。ジルクニフが皇帝として報告を受ける時は、不明瞭な点については問いかけ、追加の情報が欲しければ調査を指示し、思いついた妙案があれば提示し、時には不完全な報告にダメ出しをする、など、要所要所で口うるさくするのが常であった。自分とは随分と違うな、とジルクニフは思う。

 

(それだけ配下を信用しているということなのか、それとも、言わずとも全てを把握しているということなのか……)

 

こんなところでも、王としての器の違いを見せつけられるとは……、と、若干の敗北感を(いだ)くジルクニフであった……。

 

 

 

 

会談の後は、簡単な立食会を(もよお)すという取り計らいがあったのだが、ここでまたしても、ジルクニフは敗北感を味わうことになる。

 

「これは……なんと素晴らしい……」

 

会場を見たジルクニフは、はじめから世辞を言うつもりだったとはいえ、思わず素の声が入ってしまった。

 

きらびやかなシャンデリアを吊り下げた高い天井の下には、磨き抜かれた大理石の床。壁には、誰かは知らないが高名な画家の作と思しき名画が掛かり、ほぅと溜息をつかせる。細工の凝った柱時計、掛けられた宝飾剣と紋章盾、静かに存在を主張する白磁の壺、絶妙な位置で空間を整える観葉植物……。会場の全ての調和が、高い次元で保たれている。

 

そこに、後から運び入れたとは思えない重厚なテーブルが規則的に置かれていた。テーブルには純白のクロスが掛けられ、更にその上には、銀食器であるか疑わしいほどの高貴な輝きを放つ、精緻(せいち)な装飾を施された器たち。そして、その上に盛られるは、彩りも鮮やかな料理の数々。鶏も豚も牛も魚もある。生に見えるものもあれば、魔法の作用でか、今も出来立てのように湯気を上げているものもある。その幾つかは、今まで皇城で(ぜい)を尽くしてきたはずのジルクニフでさえ、見ただけでは味の想像もつかない。

 

(いいか、ここで出されている料理は全部、人間の食べられるものだ。決して()()()などない。信じろジルクニフ!)

 

……とりあえず、そこだけはきっちりと自己暗示をかけておいた。

 

「さあ、固い話はもう終わった。バハルス帝国の盟友諸君。あとはゆっくりと楽しんでいってくれたまえ。では、乾杯!」

 

魔導王がそう音頭を取ると、全員が手に持った、やや背の高い透き通ったグラスを掲げる。その中身は、発泡する淡い桃色の食前酒だ。

 

「……美味い……」

 

各所から、隠し切れぬ感嘆の声が漏れる。絹のような上品さで喉を通り抜ける、爽快な甘味と酸味。それが全て胃の()に落ちた時、不思議と体中の疲れが抜け、活力が満ち、食欲が湧いてくるような気がした。

 

感嘆の声は、時を経るごとに加速していく。礼装の騎士達は、最初の品を緊張しながら取り皿に取り、恐る恐る口にした。そしてすぐさま、驚きに目を(みは)った。

 

「……うま」

 

口の中で弾ける食感。弾力があるのに柔らかく歯で噛み切れる肉。溢れる肉汁……。自分達が普段食する家畜の肉や狩猟肉(ジビエ)と同じとは到底思えない、人間のために神様が用意したかのような生き物の肉の味がした。野菜も青臭さが全く無く、摘み立てのような新鮮なシャキシャキ感と、やはり知っている品種とは根本的に異なるような、ほのかな甘味が感じられる。更に加えて、各料理の味付けに使われている調味料や、備え付けのポットにて供される各種のソースが、異次元の高みへと味を引き立てている。その多くは全く未知のもので、一体どの素材をどう調理したらその味を再現できるか、その糸口すら掴めない。

 

(畜生……美味いな……)

 

ジルクニフも、苦々しく賞賛を送る。また部下達の求心力が下がってしまうではないか……。しかし、たかが食ごときでこの皇帝ジルクニフの牙城を崩せると思うな! あ、そっちのも下さい。

 

「カクテルです。いかがですか?」

「……いただこう」

「こちら、お取りしましょうか?」

「……うむ、頼む」

 

会場では、見目麗(みめうるわ)しきメイド達が、鮮やかな足運びで給仕を行っている。その仕事は完璧で、パッと見回してみても、テーブルの上に空いたグラスどころか、水滴一つ落ちていない。

 

騎士達の何人かは色目を使っている。しかし、残念ながら()()()()()()だ。メイド達はどれだけ熱視線を浴びても、その端正な顔の眉ひとつ反応しない。がっくりと肩を落とす部下達が多数……。

 

ここにいる騎士達は皆、ジルクニフ直近の精鋭達だ。まあ、この前闇妖精(ダークエルフ)の引き起こした局地地震の被害のせいで、つい最近繰り上がった者達も居るが……。彼らにはこうした状況にも備えてもらうため、社交界での常識を叩き込んである。この場がどういうバランスの上に成り立っているかも、各員当然分かっているはずだ。たかが下働きのメイド相手とはいえ、ここで問題を起こしたら、その首を差し出しても収まりがつかなくなる恐れがある。さすがに粉をかけるような馬鹿な真似をする奴などいないだろう。

 

……若干名、外見上は澄ました顔でマナーを守りつつも異様なスピードで次々と料理を口に運ぶ者や、メイドの背中を鼻息荒く目で追う者がいたりするが、まあ大丈夫だろう。……大丈夫だよな? とりあえず顔覚えとくからな。

 

それはそうと、向こうでロウネが「相変わらず美味い」といった表情で、特に驚いたところもなく、悠々と食事を楽しんでいる。あいつやっぱちょっと太ったな。とりあえず深い意味はないが、あいつもあとで小突いておこう。

 

 

 

 

アインズは立食会の間、会場の奥でゆったりと椅子に座って配下の者達と談笑していた。玉座ほどではないが、これも見事な上位者の椅子だ。

 

アインズはもとより飲食不可なので、下手にテーブルに交じることもない。そもそも、これは社交パーティーでも何でもなく、ただの食事会である。コネのために顔を繋げておく相手も、家の格付けのためにドロドロした心理戦を繰り広げる相手もいない。人間達が(はぐく)んできた貴族社会の手練手管は、魔導国相手にはまるで意味を成さない。

 

……とはいえ、挨拶くらいは必要だろう。ジルクニフは三騎士に付き従うよう声をかけ、近くにいたメイドに空いたグラスと取り皿を渡すと、再び「むん」と気合を入れて、奥の一角へ向かった。

 

「アインズ様、この度はこのようなおもてなし、心より感謝致します」

「やあジル。なに、気にするな。先ほどは長々と(ひざまず)かせてしまっていたからな。その配慮と思ってもらえればいい」

「ご高配、痛み入ります」

「私には存在しないから分からないが、ニンゲンは疲労も空腹も感じるのだろう? 難儀(なんぎ)なものだな。私もうっかり忘れないように留意せねばなるまい」

「…………」

 

ジルクニフはどう反応していいものか迷い、曖昧(あいまい)な笑みを浮かべた。なお、アインズのこの言葉はわりと本音である。自分を含め、身の回りが人外すぎるため、最近感覚が麻痺してしまっている。気をつけねば……。

 

「食事は楽しんでいるかね?」

「はい。これほど見事な料理の数々、感動を禁じ得ません」

「そうかね。料理を担当した者にも伝えておくよ」

「宜しくお伝え下さい。私のところの料理人にも、是非ともご指南頂きたいくらいです」

「ははは。考えておこう」

 

ただのお世辞と社交辞令であることは分かっているが、一応ジルクニフは心の中で小さくガッツポーズを取った。

 

「……しかし、これほど(ぜい)を尽くした料理の数々、何とも恐縮してしまいますね」

 

たかが属国相手に……と続いたはずの部分は()えて言わない。意図だけ(ほの)めかす。

 

「ん? そんな大層なものでもないぞ。我がナザリックでは、これが普通だ」

「そうなのですか!?」

「うむ。気に入ったのなら、次の報告に来る機会にでも、また振る舞ってやろう」

「ありがとうございます、アインズ様」

 

(軽く探りを入れたつもりが、棚ぼたになってしまった。……奴め、表情は読めないが、見栄を張っている様子はないな。どうやら本当のことらしい)

(「これが普通」というのはちょっと見栄だが、こいつらがこれから稼いでくれる額に比べたら微々たるものだからな。まあ、お礼の意味も込めて、このくらいはサービスしてやろう)

 

……お互いの小さな思惑が交差していた。

 

「アインズ様、既にご存知でしょうが、改めてご紹介させて頂きます。こちらが我が帝国が誇る三騎士、『雷光』のバジウッド・ペシュメル、『激風』のニンブル・アーク・デイル・アノック、そして『重爆』のレイナース・ロックブルズです」

 

後ろに控える三人が、直立して右手の拳を胸に当て、騎士の礼を取る。

 

「帝国が誇る」の部分に強烈な自虐が入っている気もするが、さすがに紹介しないわけにはいかないだろう。現在、個としては帝国最強の戦力である三人を紹介する。なお、当然であるが、「前は四騎士だったけど一人は貴方の部下に殺されました」とは、さすがに口に出さない。

 

「ふむ……。確かに三人とも見たことがあるな。そちらの二人は、最初に我がナザリックでジルと会った時にも後ろに控えていた者達だな。それとそっちの彼は、カッツェ平野での戦争で私と行動を共にしたのだったかな?」

「はっ! 覚えて頂き、光栄です!」

 

ビシッと硬い声で答えるニンブルの顔色は悪い。当時の惨状を思い出してのことか……。

 

「そういえば、アインズ様。闘技場のオスクから聞いたのですが、そのカッツェ平野の戦争で、アインズ様が使われた魔法は、何でも十年に一度の大魔法であったとか……?」

 

ジルクニフが、ここぞとばかりに機を逃さず確認を取る。

 

「さすが、耳が早いな。その通りだ。ジル、お前のたっての願いということで、私の最大の魔法を使わせてもらった。威力は期待通りだったかね?」

「いえ、むしろ期待以上でした……」

「そうか。満足してもらえたようで何よりだ」

 

完全に隠しきれず、つい若干引きつった笑みを浮かべてしまうジルクニフ。それに対し、気持ちよさそうにうんうんと頷くアインズ。

 

「それで、その……もうあの魔法は……?」

「ん? ああ、そうだ。一度撃ってしまった以上、向こう十年は()()同じ魔法が撃てん。それを覚えておいてもらえると嬉しいな」

「……そのような希少な魔法を使ってくださり、心より感謝致します……」

 

色々と腹に据えかねるところはあるが、ジルクニフはもう過去を振り返らない。それよりも、今得た情報を活かすことを考える。ただで転んでやるものか。

 

(……あれ、大丈夫かな……?)

 

一方で、アインズは少し不安を覚えていた。実は、先ほどの偽情報はまだ守護者達には話していなかったので、今ここで伝わったことになる。そもそもこんな嘘を流した理由は、別のプレイヤーに同じ超位魔法〈黒い仔山羊(イア・シュブニグラス)〉を使われて首謀者を押し付けられては困るという、かなり単純かつ短慮なものだったりする。

 

(せめて事前に相談しておけばよかったか? 部下にホウレンソウとか言ってる本人がこれでは……)

 

……などと思いながら、チラッと横目でデミウルゴスを見やると、ばっちりと目が合った。

 

デミウルゴスからは「ニィ」と凄い笑みを返された。

 

(うーん……。たぶん幻滅はされてない。でもこれ絶対また悪い方向へ勘違いされてる……)

 

アインズは頭を抱えたくなった。

 

「ゴウン魔導王陛下、少しお願いがあるんですが」

 

突然、三騎士の一人、バジウッドが話しかけてきた。

 

「うん? どうした?」

「この度の素晴らしい料理に感動しました。もし余るんでしたら、部下一同で包んで持って帰って構いませんかね? お……私も、妻たちに持っていってやりたいんで……」

「おい、バジウッド!」

 

ジルクニフが強く(たしな)める。いくら自分に対してこういう性格を許容していたとはいえ、魔導王に対して見せるべき態度ではない。実際、アルベドの視線が冷たくなっている。

 

「も、申し訳ありませんアインズ様! この男、粗野な物の言い方しか知らないものでして……」

 

ジルクニフが冷や汗をかきながら必死でフォローする。

 

……実は何気に、その姿がアインズの心を打ったりしていた。ついでに言うと、バジウッドの「妻たち」というキーワードにもアインズは動揺したりしていた。

 

「よいよい。話は聞いているぞジル。お前が身分を問わず、剣の腕のみを頼りに、優れた戦士を雇っていることを。私もそういうところは見習わなくてはいけないな」

 

アインズは軽快にそう言う。嫌味だろうか? いや、不機嫌な様子はないようだが……。

 

「部下がとんだご無礼を……」

「よいと言ったぞジル。この三人とも、自らの実力で今の地位を勝ち取ったのだろう? ならば誇るが良い。私はそういう者が好きだ」

 

アインズが寛大な言葉を述べる。

 

「ただ、今のその程度の力量で、胡座(あぐら)をかいているようでは困るな。これからも精進(しょうじん)せよ。私を倒すのだろう?」

「め、滅相もない!」

 

クククと笑いながらアインズが言うと、三人は蒼い顔でブンブンと首を横に振った。

 

「おっと、料理のことだったな。余り物などではなく、ちゃんとした土産を持たせてやるから安心しろ。〈保存(プリザベイション)〉を掛けたやつをな」

「よ、宜しいんですかい!?」

「なに、こちらも世話になるわけだからな。この程度で遠慮することはない」

「ありがとうございます!」

 

世話になる、というほどの何かがあっただろうか? 引き受けたことと言えば、あの任務とも呼べない迷宮探索の依頼くらいだが……。と、ジルクニフは心の中で首を(ひね)っていた。

 

(……ところで、さっきから気になっていたのだが……)

 

――と、アインズは、目を合わせないようにしながら思う。

 

(あっちの女騎士が、顔に広がった(うみ)を見せつけるようにして見つめてくるのはなぜだろうか? 以前見た時は、もっと顔を隠すようにしていた気がするのだが……)

 

と、アインズは困惑していた。だが――

 

(この元営業・鈴木悟を見くびってもらっては困るな。社会人の心得その一、相手の身体的特徴を(あげつら)うべからず!)

 

社会人の常識として、相手の見た目で態度を変えるなど言語道断。外見ではなく、あくまでその人となりを尊厳せねば。それに、人には触れてほしくないコンプレックスなどいくらでもあるものだ。それが女性の顔ともなれば、なおのこと絶対に話題に出してはならない。ハラスメント、ダメ。ゼッタイ。

 

アインズはそんな優しさを発揮していたのだが――

 

「アインズ・ウール・ゴウン魔導王陛下」

「うん? 何かね?」

 

(自分から話しかけてきたー!?)

若干動揺するアインズ。

 

「お見苦しいところをお見せして申し訳ありません」

 

そう言いつつ、レイナースはわざわざ見えるように顔の右半分をハンカチで(ぬぐ)う。そのハンカチは(うみ)から出た汁を吸い、黄色くねちゃっとなっていた。

 

(「お見苦しいところを」って、お前見せつけてんじゃん……)

「…………」

アインズは無言を通した。

 

「その、以前にとある魔物(モンスター)の強力な呪いを受けてしまいまして、それ以来、このような顔になってしまったのです」

「……そうか、大変だな……」

「……はい」

「…………」

「…………」

 

微妙な空気にいい加減痺れを切らしたのは、レイナースの方だった。

 

「ゴウン魔導王陛下。偉大なる陛下のお力を見込んで、恥を承知で一つうかがわせて下さい。私はこの呪いを解く(すべ)を探しております。陛下ほどの偉大な御方であればと見込んで、お尋ね申し上げます。もし、この解呪の方法にお心当たりがございましたら、何卒(なにとぞ)この惨めな私めに、希望をお与え下さいませんでしょうか?」

「…………ふむ……」

 

(あー、そういうことね……。……そういえば、『四秘宝』とかの設定はデミウルゴス達にお任せしてしまったけど、解呪のアイテムもあったな。何か関係がありそうだ……)

ここは何もしないのが得策、とアインズは判断した。

 

「呪いか……。であれば、我が力であれば、それを解くのは容易(たやす)い」

「な、なんと! では……」

 

レイナースの目が輝く。

 

「しかし、だ。レイナース・ロックブルズ。お前はその対価として、何を支払う?」

 

まずは軽く圧迫面接してみる。

 

「我が身を捧げまひゅっ!?」

 

普通に即答された。なお、最後にレイナースの語尾が乱れたのは、何か物凄い悪寒が背筋を駆け抜けたからだ。ジルクニフが横から睨みつけているが、そっちではない、もっと別のところからだ。というか、ジルクニフはこの際どうでもいい。

 

「……お前は帝国最強の騎士の一人なのだろう? それを捨てて、私に仕えるというのか?」

「もとより、エル=ニクス殿下とはそのような付き合いの身。ゴウン陛下の恩情を(たまわ)れば、このレイナース・ロックブルズ、喜んで陛下の元に()せ参じましょう」

 

それを現雇い主の真横で言い放つとは、見上げた根性だ……。

 

(……要するに、条件が良ければホイホイ引き抜かれるってことだよね。はい減点1)

人事部長アインズは、なかなかに辛辣(しんらつ)だった。

 

「お前は、そうだな……例えば、私の死の騎士(デス・ナイト)よりも良い働きができるのか?」

「そ、それは……」

「なんなら、今すぐそれを証明して見せても良いぞ。戦ってみるか?」

「ぅ…………」

 

さすがにレイナースには何も言えない。

 

「……まあ、そういうことだ。今はせいぜい、帝国の(もと)で腕を磨くがいい。聞けば、迷宮の四秘宝にも呪いを解くアイテムが有るというではないか。自己研鑽(けんさん)と腕試しも兼ねて、まずはそれを狙ってみてはどうだ? もしそれが手に入らなくても、お前が相応の実力を身に付けたのならば、目をかけてやろう」

「…………はい、そうさせて頂きます」

 

レイナースは、希望と落胆とが()い交ぜになったような感情を抱えたまま、引き下がることにした。

 

(意外とジルも、部下のことで苦労してるんだな……)

アインズの好感度が勝手に上がった。

 

 

 

 

「今日のこの後はどうするかね、ジル? このまま泊まっていっても歓迎するが……」

「……いえ、早急に取りまとめたい件がありますので、本日はこれにてお(いとま)させて頂きます」

「そうか、残念だ。帰路もまたドラゴンで良いかね?」

「はい。是非に!」

「では、またの会合を楽しみにしよう。達者でな、ジル」

「はい。アインズ様も……お元気で……」

 

――こうして、バハルス帝国の一行はナザリックを後にした。

 




ちょっとした閑話のつもりだったのに、いつの間にか丸々一話分に……。

次回は帝国恒例、各陣営の反省と総括の会の予定です。

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