銀色の二重奏   作:乱れ咲

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守護

10月。私は14歳になっていた。篠ノ之束との約束まであと1年半。

ドイツ中がとあるイベント開催に伴って活気立つ中、黒兎隊は特に活気立ち、日々訓練に勤しんでいた。第三世代ISの開発は順調とは言えず、2機が返ってきていないため、残りの2機をある1人が優先的に使っていた。というのも、目前にまで迫ったISの国際大会に起因する。第二回モンド・グロッソ。そこに我らが副隊長、クラリッサが出場するのだ。しかし、当日は開催場所がベルリンであることもあり、周辺警備のため応援することはできない。だからこそ、できるうちに精一杯の応援をしよう、ということで、活気に満ちているのだ。

注目選手は織斑千冬。日本代表であり、第一回モンド・グロッソの優勝者(ブリュンヒルデ)である。クラリッサは、初戦を勝ち抜けば、2回戦であたるのだ。

「勝てる気はしませんが、頑張ります」

と弱気になっていたが、それではダメだと隊員が一喝。1機をローテーションで使い、その相手をクラリッサが1人でしているのである。私は、例のIS以外では一般平均程度の実力しか発揮できないため、サポートに徹している。

大会まで残り5日。文字通り死ぬ気で実力を上げていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大会当日、黒兎隊の面々は、各持ち場に散っていった。

ISは要人警護のために他の隊員とは遠く離れている。残りの6人は2人ずつ分かれ、私とラウラはペアであった。これで良いのか?とも思ったが、全員が納得しているので、問題はないのだろう。それでも、指揮系統の上位者を分けないのはどうかと思うが。

一回戦。クラリッサは勝利を収め、二回戦へ進んだらしい。実況の声が聞こえてきた。どうか織斑千冬に勝って欲しいと思いながら、警備に励む。

 

 

 

 

 

 

 

 

クラリッサは織斑千冬に敗れた。そんな実況が聞こえる。ラウラと顔を見合わせ、苦笑い。それならば、織斑千冬が優勝してくれることを祈ろうじゃないか。

 

 

 

 

 

 

 

 

私とラウラは建物の屋上にて周囲に目を光らせている。ラウラは双眼鏡、私はスコープを覗いている。

織斑千冬は準決勝に進出し、優勝は確実、なんて言われている。流石第一回ブリュンヒルデ。強い。

 

 

 

アリーナ入り口付近に車が停まっている。黒のセダン。窓はスモークガラス。怪しい。ラウラに伝え、監視。

10分後、同い年くらいだろうか?男の子が無理矢理連れられている。ラウラも気がついたらしく、G36Cを構え、降りて遊撃。他の隊員に連絡して包囲する。と言って階段を駆け下りた。了解、と呟き、エンジンを狙う。

距離は200。1発目、発砲。ラプアマグナム弾はフロントを陥没させ、小さく穴を開ける。ラプアマグナム弾で無理か。硬いな、防弾か?すぐさまコッキング。2発目、発砲。弾頭は1発目が開けた穴を通り、エンジンに直撃。煙を上げ、動かない。直ぐにコッキング。車から男が出て来ており、私を探している。頭を隠さないあたり、戦闘には慣れていなさそうだ。無力化に専念。狙いを定め、3発目、発砲。弾は両脚を貫通。行動不能。コッキング。4発目、発砲。2人目の脾臓部分に命中。悶絶。コッキング。5発目、発砲。車に入ろうとしたところに狙いを定める。左肺を貫通。悶絶。行動不能。それ以上は車から出てこない。ラウラに連絡。ラウラと黒兎隊の隊員達が突撃。この時、6発目で脚をやった男の銃を破壊することも忘れない。男3人を縛り上げ、車の中を確認。少年を保護。眠っているだけのようだ。急ぎ私も急行。担ぎ上げ、念のため救護班へ。人物照合、織斑千冬の弟、織斑一夏と断定。同時に、織斑千冬へ脅迫の電話。織斑一夏が拉致されたと聞いて慌てるブリュンヒルデにドイツ軍が保護した旨を報告。大会には予定通り出場し、見事2連覇を達成した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眠っている織斑一夏を織斑千冬に引き渡した。余程大切に思っているのだろう。ブリュンヒルデが安堵の涙を流していた。涙を拭い、私とラウラに向き合う。

「此度は、弟を助けていただき、ありがとう」

と、慣れていないであろうドイツ語で言ってきた。日本語で良いですよと伝える。ブリュンヒルデは続けて、今度は日本語で、

「こいつは抜けてはいるが、私の唯一の家族なんだ」

と、愛おしそうに織斑一夏を見ながら言ってきた。

家族。きっと、私の知っている家族とは違う、血の繋がった、本当の家族なのだろう。少しだけ羨ましかった。

その後、私が撃った3人は生きて拘束し、尋問を行うそうだ。内臓を撃った2人は死ぬ寸前だったらしいが、生きている。そして、黒兎隊には特別報酬が出ることとなった。そこでラウラは迷わず、

「では、ブリュンヒルデ殿にお願いがあります。我ら黒兎隊の外部講師として、指導していただけませんか」

と、本人に向かって頭を下げる。ブリュンヒルデは一瞬驚いた顔をして、

「わかった。しかし、弟を放っておくわけにはいかない。そうだな、1ヶ月だ。それでもいいか?」

「是非!!!!!」

黒兎隊の全員が言う。ここから1ヶ月、とても濃いものになりそうだ。




原作とは違いドイツ軍に強制されたわけではないので、教官期間は非常に短いです。しかし、フェルトという対戦相手の存在により黒兎隊の戦力はもとからそこそこ高かったため、原作並みにはなっています。そういうことにしておいて下さい。
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