銀色の二重奏   作:乱れ咲

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完成

私とラウラは15歳になった。篠ノ之束との約束の期限まで、残り1ヶ月。そう。今は3月。肌寒かった風に春の香りが漂い始め、生命が活動を本格的に再開させる頃。

私とラウラはハンブルクに来ていた。要件は第三世代ISについて。2機がほとんど同時に完成したため、まとめて呼んだらしい。

愛車を操り、軍が管理する格納庫群に到着した私達を出迎えてくれたのは、2つの真っ黒な影だった。

黒。そのインパクトが強い。強調された黒。昼間であるためか、より目立つ。

開発部長らしき人がやってくる。珍しい。男だった。

「お待ちしておりました。ボーデヴィッヒ少佐、ヴァルター少佐。これが、第三世代IS。あなた方の専用機となります」

 

1機目。シュヴァルツェア・レーゲン(黒雨) 型式S-r.01

右側面に装備されている大型カノン砲が目を引く。武装は、

・88mmリボルバーカノン(6発、自動拝莢)

・ワイヤーブレード6基

・プラズマ手刀(刃渡り70cm)

・ルナーズメタル・ヘキサ合板装甲(対ビーム仕様)

第三世代たる所以でもある第三世代兵器はAIC(慣性停止結界、アクティブ・イナーシャル・キャンセラー)。腕部から対象物の周辺空間に慣性を停止させる領域を展開することで、動きを封じる。ラウラの専用機。待機形態はレッグバンドになった。近・中・遠距離を戦える全距離対応強襲型であるが、機体の反応値が高く設定され、常人には扱えないらしい。近距離では手首に装備されたプラズマ手刀、中距離では肩部と腰部に搭載されたワイヤーブレード、遠距離では右肩部のリボルバーカノンを用いる。リボルバーカノンは反動が非常に大きいため、脚部にアイゼンを装備し、銃架として機能させる。片目故の距離の掴みにくさは、ISのサポートを使うことで克服している。

 

2機目。シュヴァルツェア・ヴォルケ(黒雲) 型式S-r.00

・75mmリボルバーカノン(6発、自動拝莢)

・高周波ナイフ×2(全長65cm、刃渡り45cm。シースを脚部に取り付けて、そこにしまうこともできる)

・67口径セミオートショットガン(8+1発or20+1発、散弾数8発)

・50口径マシンピストル(50+1発)

・ルナーズメタル・テトラ多層装甲(対ビーム仕様)

第三世代兵器はシュピーゲル(鏡)。銀の粒子をAIのサポートを利用して操作することで光の反射を操り、自身の姿を別の所に作り出す。このとき、作り出された姿は自身の動きを反映する。待機形態は黒の十字架を鎖で繋いだネックレス。近・遠距離特化型であり、状況によってスタイルを変える。リボルバーカノンはシュヴァルツェア・レーゲンのものと同様に推進用の液体火薬を銃のシリンダー内でプラズマ臨界寸前まで加熱させ、発射時にはバレル内のレールガンで追加速させている。また砲身を長くすることで射程を長く、威力を強くしているため反動は大きいが、物心つく前からライフルを撃って身につけた力無くとも反動を殺す技術とISのセンサー・リンク、スラスターによって制御することを前提に作られているらしく、その反動は何も知らない人が使えば腕が吹っ飛ぶ程らしい。リロードはシリンダーごと取り替えることも、リゾットフレームのように弾を込めることもできる。複雑な機構を組み込むために砲身やストック、機関部は大きく設計されている。絶対開発にハーデン=ヴュルテンベルク駐屯地の誰かが関わった。でなければこんな馬鹿げた武器を腕で撃たせるわけがない。こちらも機体の反応値は高く、常人には扱えない。そもそもIS自体の特性からか私にしか扱えない。背部には4基のマルチ・スラスター。前方や横方向にも展開できるらしく、それで減速や方向転換もできるようだ。装甲は4層と薄くなっており、軽量化されている。そのため防御力はシュヴァルツェア・レーゲンに大きく劣る。シュヴァルツェア・レーゲンのリボルバーカノンのような標準的に装備している火器もなく、加速力に優れ、ひたすらに速い。操縦者が男性という特異な状況から存在は秘匿されているものの、スペック上では2815km/hは簡単に出せるようだ。だが、特異な加速力より姿勢制御が非常に難しい。機体の戦闘スタイル上高速切替は必須となり、バスロットには簡易的ではあるが高速化処理が施されている。

2機は最新鋭の試験技術を多く用いていながらも高い完成度と優れた実践能力を持つらしい。

 

機体を渡され、手続きに入る。ラウラはその実力から代表候補生となっているため専用機をもらう理由があるが、私にはない。今も女装してどうにかごまかしているのだ。ラウラがたまに笑いをこらえているのは、それが原因である。しかし、どうして開発部長も笑いそうになっているのか。

1時間に及んだ手続きを終え、(女装を隠すのに必死だったため)ベルリンへ帰ろう、となった時である。ラウラと私の通信機が同時に鳴る。個人的な用ならば携帯にかかるはずだ。同時に通話を開始。

「隊長達!大変です!ISに乗れる男性が発見されました!!!」

、、は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

笑いを堪えるのに必死だった。愛しい男が自分の隣で女性のふりをしており、しかも下手な女性よりも女性らしいのだから、面白くて仕方がない。変声術でも習っていたのか、声も高い。髪もサラサラで、切るのが面倒とか言って伸ばしていたのが役に立っている。ダメだ、腹がよじれる。必死になって男であることを隠しているためか、手続きに時間がかかっているのも、面白い。耐えろ。今こそ、軍人の意地を見せる時だ。

通信機が鳴る。私とフェルトのが同時に鳴るということは、黒兎隊からとみて間違いないだろう。互いに顔を見合わせて通話を開始する。

「隊長達!大変です!ISに乗れる男性が発見されました!!!」

ISに乗れる男性?フェルトだけではないとは思ってはいたが。さて、誰だ?いや、それよりも今はどうやってこの場から立ち去るかを考えなくては。




シュヴァルツェア・ヴォルケは、火器やナイフも全て黒です。シュピーゲルはかなり無茶な設定ですが、まあ、科学の進歩ということで。
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