銀色の二重奏   作:乱れ咲

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衝撃

新たな男性操縦者の発見。今、この時期に。

(篠ノ之束はこれを見越していたのか・・・)

納得する。どういったカラクリなのかは知らないが、そうだと見て間違いないだろう。しかし、この場合、十中八九軍内部の男性は調べられる。当然、私も。ラウラがこちらを見てくる。言外にどうする?と聞いている。取り敢えずはこの場を切り抜ける。

「急ぎの案件が入りました。失礼します」

と有無を言わさずに退出。迅速にアウディに乗り込む。ハンブルクからベルリンまでの道程、私とラウラは考えを巡らせていた。

明日にでも世界各国が第2の男性操縦者を探し出そうと躍起になることだろう。

だめだ。何も浮かばない。落ち着かせるためにコーヒーショップでキリマンジャロを頼み、一服。

携帯が鳴る。知らない音楽だ。出ようとすると、勝手に通話が開始された。

「あ、元気ー?束さんだよー!カーナビのテレビをつけなされ!ほいじゃっと!」

・・・は?訳がわからない。言われた通りにテレビに切り替える。

あの日見た、眠たげな顔の女性が映っていた。

「全世界のみんなー!元気してるかな?かな?束さんから重大発表!実はもう1人、いるんだなー、これが!!ドイツにね、いるのだよ!!同じ男が!!ねー、みてるー?フェルテン=ヴァルターくん?あっははー!まったねー!!」

映像が切り替わる。ニュース速報の内容は私のこと。フェルテン=ヴァルターという人間について調べるらしい。4月までって言わなかったか?誤差か。テレビをきってカーナビに切り替える。ラウラがこちらを見る。そんな心配そうな目で見ないでくれ。頭を抱え、ベルリンに帰ることに切り替える。まずはそれから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

専用機を受け取るだけかと思いきや、面倒なことになった。ベルリンの演習場には軍関係者が押し寄せ、私の所属をどこから嗅ぎつけたのかマスコミまで出てきている。車が停められないためどうしようか考えていると、コンコンとドアが叩かれた。窓の外を見ると、黒兎隊が集まっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

車の中に黒兎隊の3人をのせ、駐車場へ。残りの3人は後から合流することになっている。堂々と車から降りると、人だかりが私達を一斉に見る。押し寄せる人。人。人。黒兎隊の4人で私を包囲、前進。全員が車に載せてあった銃を構えると、人は止まった。少々荒っぽいが仕方がない。人だかりに突入すると、全員が物々しい雰囲気にあてられて道を開ける。銃など御構い無しに来ようとする人には、全員の殺気のこもった睨みを向けて怯ませる。宿舎に入り、一息つく前に扉を閉めて鍵をかける。直後外が喧騒に包まれる。うるさい。

ブルーノ中将から電話があった。あの人は期限まであと6カ月になった頃から、既に根回しは始めていたらしい。ただ、どうしても時間が足りなくて行き届かなかった所がこの騒動を起こしているようだ。

ブルーノ中将はその階級と数少ない男性幹部の中のトップであることから、上からは悪いようにはされないだろう。流石にドイツ国内の男性の大部分を相手取るのは避けるはずだ。しかし、安全とは言い難い。考えてもいい案なんて出てこない。もう、休もう。少し疲れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日。午前10時頃、ラウラと自室にこもり、どうするかを相談していた。しかし一向に良い方向に動く気配がない。ブルルル!と私の携帯に電話がきた。表示されるのは織斑千冬の名前。藁にも縋る思いで電話に出る。

「おい、ヴァルター?聞こえているか?」

「はい、聞こえていますよ。どうかしましたか?」

「単刀直入に言うぞ。ヴァルター、お前、IS学園に来い」

?何?IS学園?

「そこでならお前の身柄の安全も保証できる。ヴァルター、お前は今年で16歳になるんだったな?学問は?できるか?」

「幼少期から勉強自体はしてたので、十分だとは思いますが、、」

「よし。ならば来い。そろそろドイツ政府から連絡が入るはずだ」

電話はここで終了。少し安心した。頭を私に引っ付けて通話を聞いていたラウラは安堵の表情を浮かべている。

黒兎隊に電話のことを話した。織斑教官がいると知れば、

「ああ、なら安心」

と口を揃える。流石、織斑教官。カリスマが違う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドイツ政府から連絡があった。

私は単身日本に渡り、IS学園に入学することを命じられた。もう一度言う。単身である。

私は呆然とした。ラウラは一緒に行けないのかと聞いた。返ってくるのはだめだという返事。曰く、ラウラのISシュヴァルツェア・レーゲンはまだ最終的な調整が済んでおらず、時間がかかるとのこと。

ラウラと離れなくてはならない。その事実が、私に重くのしかかる。

 

 

 

 

 

 

 

 

出発は明日、内密にらしい。自衛のためにある程度の武器弾薬の所持を許可されたのでこれでもかというほどに持っていく。なんとなく、軍生活が長いためか、頼れるものがそこにあるだけで落ち着くのだ。アウディには先に日本に行ってもらっている。

 

 

 

 

チェロ、所持している少ない衣服、愛銃を入れたアタッシュケースと弾薬を持ってベルリン演習場を後にする。ハーデン=ヴュルテンベルク駐屯地の皆には、昨晩の内に電話で挨拶しておいた。

 

玄関のドアの前に、人影が見えた。

ラウラがこちらを見ていた。歩いて、私からラウラの方へと近づいて来て、至近距離で目が合う。身長差が30cm程あるため、ラウラが私を見上げている。不意にラウラが私の腕を引いた。予想外の力で引っ張られた私は、体制を崩す。いつもなら瞬時に体勢を戻すが、何故かされるがままになっていた。

私の上に乗ったラウラが、キスしてきた。

「日本で待ってろ。すぐに行く」

そう言って、ラウラは宿舎に戻って行く。

ラウラの大きく見える後ろ姿を見えなくなるまで追う。ああ、どうして君は私が望んだことをいつもしてくれるのだ。

迎えの車に向かって歩き出す。不安は、気にならなくなっていた。




フェルテン=ヴァルター(15歳)
身長178cm 体重62kg 両目視力4.7
人間兵器として生まれたため身体能力は高く、特に視力が良い。
身長はほぼ止まったが、少しずつ伸びている。ドイツでは平均的な身長であり、実戦的な細マッチョ。だが弱点はある。肋骨部と脇腹の傷跡は残っている。この傷の事をラウラはまだ知らない。
髪は肩より少し下程まで伸び、1つにまとめている。最近はラウラにやってもらうことが多い。切ろうかとも思うが、面倒。黒兎隊のシンボルでもある左目の眼帯は、ラウラに「お前の目が好きなのだ」と言われ、以降持ってはいるがつけていない。
装備
・L96A1 ラプアマグナム
・UMP 9mm
・VP9 9mm
・Feld messer78 ブラックシース
・カランビットナイフ ブラック
・ミリタリーブーツ(両サイドに小型のダガーが仕込まれている。膝下まである)
・アウディA6オールロードクワトロ(日本に行っても武器はそのまま)
・IS シュヴァルツェア・ヴォルケ
・ISスーツ (黒に緑のライン。露出はなし。足首まで覆い、袖は7分)
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