銀色の二重奏   作:乱れ咲

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御指摘、感想等ありがとうございます


忠告

クラス対抗戦なるものがあるらしい。そして、2組の代表が変わってあの鈴さんになったのだとか。何の問題もない、良い試合になるように祈る。この祈り癖が反映されて、シュヴァルツェア・ヴォルケの待機形態が十字架になったのだろうか。どうでもいいか。

 

 

 

食堂にて、食事をしようと座る席を探す。いい具合に空席があった。そこに座る。

ふと、騒がしい一角を見つけた。・・・ああ、いつものか。織斑一夏争奪戦にまた1人加わっている。弟君と鈴さんが座り、篠ノ之箒とセシリアさんが詰め寄っている。少し唇を読んでみたが、どうやらそれぞれと弟君の関係について話しているようだ。まあ、どうでもいいか。他人の人間関係に首を突っ込む気はない。仕事でなければ必要ないからな。放っておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕方。ISを動かし、高速切替等の練習。頭の中で仮想敵を生み出して戦う。この時、私より少し強い敵をイメージすることが重要だ。強すぎると、いかに長く戦闘を続けようかと考えてしまい、勝とうという意志があまり出てこないのだ。銃のマガジンは空にしてあるが、何回引き金を引いたかカウントしておく。日頃から慣れていると、実戦でもマガジンに残り何発あるかが把握できるのだ。連射速度が速いマシンピストルは大まかな感覚でしか把握できないが。

30分程やっていただろうか。アリーナがやけにうるさい。覗いてみると、弟君がセシリアさんと篠ノ之箒にリンチにあっていた。何をやってるんだ?アリーナに入って聞いてみようか。

 

「皆さん、何をしているのですか?側から見ると、ただのリンチでしかないのですが」

弟君がまるで救世主を見たような表情を浮かべる。え、本当にリンチだったの?これ。

「あら、フェルテンさん、こんばんは。これはISの訓練でしてよ?」

セシリアさんがさも当然のように答える。そうか。凄まじいな。

「織斑君に質問します。これは身になっていると思いますか?」

ビクッと反応。女性2人が弟君を見つめる。いや、睨む。弟君はうーん、とうなり、黙る。

「沈黙は肯定と受け取りますよ。織斑君、一体どんな教え方をされてきたのですか?」

弟君はひそひそと2人に聞こえないように話す。

「グッとしてズパーンって感じとか、右斜めに5度とかの擬音語やらやけに詳しい専門的な無駄に細かい指示説明やらだったよ。正直、わからん」

衝撃的だった。専門用語と無駄に細かい指示はまだわかる。知識さえあれば理解は可能だからだ。しかし、擬音語。お前はダメだ。なんだ、グッとしてズパーン!って感じって。それでよく伝わると思ったな。私は2人に向かって言う。

「教えるということは、何も自分のイメージを押し付けることではありません。一般に、擬音語であるとか、専門用語であるとか、そんなものは理解されにくいものです。特に織斑君なんてISに触れてまだ1ヶ月で、初心者。ろくに知識も持っていません。相手のレベルを鑑みて、果たして理解できるかを考えてみてください」

3人はポカンとしている。どうした、口をあけて。まあいい。

さっき見た中で私が気になった弟君の問題点を指摘した後、弟君と向き合って言う。

「織斑君にも問題があります。わからないのならわからないとしっかり伝えるべきです。それもただ伝えるのではなく、どうしてわからないのかを言いなさい。でないとお互い無駄な時間を過ごすことになります。・・・とりあえず、今日は終わりにしてください。もう日も暮れていますし、考える時間も必要ですから」

私は立ち去る。織斑先生に頼まれたから色々言ったが、これで良かったのだろうか。

 

 

 

 

自室に戻ろうと踵を返す。弟君が私の所に駆け寄って来た。

「フェルテン!!その、俺、お前のこと誤解してた!悪かった!!謝るから、仲直りしたいんだ!!」

「・・・?仲直りも何も、私と貴方の間に何か諍いがあったわけでもありませんよね?代表選抜戦以降貴方が私を避けていただけじゃないですか」

そう。あれ以降、彼は私を見ることすら避けていたのだ。目が合うと逸らされた。私自身特に興味もなかったため近づくことはなかったが。彼に避けていた自覚があるのか、またもや言葉に詰まる。

「それと、謝られる筋合いもありません」

「え?でも、選抜戦で自分の意見を押し付けて、、」

「なんだ、そんなことですか。人によって考えが違うことなんて当たり前です。押し付けた、と反省しているのならそれだけでも十分。次に生かして下さい。そして、気をつけて下さい。貴方の考えは、他人を無意識のうちに傷つけたり、侮辱してしまうことがある。今まで以上に周囲に気を配ることをお勧めします」

そう言って今度こそ自室に戻る。忠告は一応した。あとは、彼次第。

 

・・・最近、何処からか見られている感覚がある。気づきはするが追えない。かなりの手練れだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一言で言うならわからない奴だった。一方的に女の子を痛めつけるひどい奴かと思ったらクラスのみんなと仲良くしているし、セシリアともたまに話している。あ、箒とは話してないな。なんでも箒はあいつが怖いらしい。あと、剣道を馬鹿にされたのが嫌だったそうだ。

日常生活を見ているだけなら優しい奴だった。ますますわからない。訓練しているところを見たことがなかったから何もしていないのかと思ったら的確なアドバイスもくれるし、今考えれば何も努力してない奴があんなに強いわけがない。でも、あいつなんだか他の人間と一定の距離を保っているような気がするんだよな。

「何をボーっとしている!早く着替えてこい!」

おっと、幼馴染様がお怒りだ。

 

 

 

 

 

遂に私の専用機、シュヴァルツェア・レーゲンの最終調整が終了し、ドイツの代表候補生としてIS学園に転入することも決定した。協力してくれたブルーノ中将には感謝してもしきれない。待ってろ、フェルト。約束通り、すぐに行く。

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