銀色の二重奏   作:乱れ咲

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疑惑

更衣室に辿り着いた。果たして、弟君は無事なのだろうか。

結果としては、私達とあまり差は無かった。集まった人達はただ一目3人目の男子を見てみたかっただけのようだ。

「フェルテン、置いて行くなんて酷くないか?」

「ですが、あれが最善策だったかと」

「まあ、そうだけどさ、、」

そんな会話をしながら着替える。もっとも、私は制服の下にISスーツを着ているため、時間は全くかからないが。

弟君は着替えるために制服とTシャツを脱ぎ捨てる。

「わあっ!?」

弟君の半裸を見て顔を手で覆うシャルル・デュノア君。君は隠す気があるのか?

「荷物でも忘れたのか?って、なんで着替えないんだ?早く着替えないと遅れるぞ。デュノアは知らないかもしれないが、うちの担任はそりゃあ時間にうるさい人でーー」

「う、うんっ?き、着替えるよ?でも、その、あっち向いてて・・・ね?」

「???いやまあ、別に着替えをジロジロ見る気はないが・・・ってデュノアはジロジロ見てるな」

「み、見てない!別に見てないよ!?」

弟君。上半身裸で会話し続けないでくれ。

「ぐだぐだしてると本当に遅れますよ?」

「あ、ああ。すまん」

そう言ってやっと着替えだす。というか、制服の下にISスーツを着ていないのか、君は。

「にしてもこれ、着るときに裸っていうのがなんか着づらいんだよなぁ。引っかかって」

「ひ、引っかかって?」

「おう」

弟君は知らないから仕方がないけれども、知っていたらセクハラというものだな。

「さっさと行きますよ」

 

 

第二グラウンドに着くまで、弟君とシャルル・デュノア君はISスーツについて話していた。

時間ギリギリに到着。すぐに列に並ぶ。あ、弟君が織斑先生に叩かれた。

1組整列の端に加わる。隣はラウラだった。お互い顔を見合わせて少し笑ってから、切り替える。後ろは何やら騒がしい。また弟君絡みか。織斑先生が向かっている。あ、叩かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

「「「はい!」」」

いつもの倍の人数での合同実習。さて、何をするのか。

「今日は戦闘を実演してもらおう。ちょうど活力が溢れんばかりの十代女子もいることだしな。ーー凰!オルコット!」

この2人か。まあ、後ろでずっと何か言っていたら目をつけられるのは当然か。2人は口々に織斑先生に文句を言うが、織斑先生が2人に何かを言った瞬間、2人はやる気に満ちた。多分これも弟君絡みだな。

「それで、相手はどちらに?わたくしは鈴さんとの勝負でも構いませんが」

「ふふん。こっちの台詞。返り討ちよ」

強気な発言をする2人。いい友人関係ではないか。

ふと、上から何やら甲高い落下音が聞こえてきた。

「ああああーっ!ど、どいてください〜っ!」

山田先生が落ちてきた。降りてきたのではない。落ちてきたのだ。クラリッサが言っていたな。こんな時は『親方!空から女の子が!』と言うのだとか。

白式を展開した弟君を下敷きにして着弾。舞い上がった砂煙が晴れてみえたが、弟君、山田先生の胸を掴んでないか?山田先生、そんな満更でもない顔しないで下さい。教師としてどうなんですか。それに、弟君があと少し白式の展開が遅かったら彼は死んでたぞ?そこのところはどうなんだ?

溜息が出た。隣からも溜息が聞こえてきた。

弟君に向かってセシリアさんがライフルを撃ち、鈴さんが双天牙月を投げつける。なんだあれは。あの2人は一体何に対して怒っているのだ?というか無防備な生徒がいる前で兵器を使うんじゃない。弟君がレーザーを避け、山田先生が瞬時にアサルトライフルを構えて双天牙月を撃ち落とす。流石だな。

「山田先生はああ見えて元代表候補生だからな。今くらいの射撃は造作もない」

「む、昔のことですよ。それに代表候補生止まりでしたし、、」

実力に関して言えば、織斑先生がいなかったら十分国家代表としてやっていけそうな実力はあるぞ。それより、先の行動の危険性については説かないのですか?

「さて小娘どもいつまで惚けている。さっさと始めるぞ」

「え?あの、2対1で?」

「いや、さすがにそれは、、」

「安心しろ。今のお前たちならすぐ負ける」

ああ、あの2人、挑発に乗った。セシリアさんに至っては慢心までしている。ダメだな、これは。

「では、はじめ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果としては、惨敗だった。あの2人、全くお互いを意識していない。合わせようという気がないのなら、そこを突かれるに決まっている。ああ、他人の粗探しなんてそんな醜い争いをしないで、御二方。

「さて、これで諸君にもIS学園教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように。それと、凰とオルコットは先程の危険行動の罰として今日の授業の片付けをしてもらう」

ぱんぱんと手を叩いて織斑先生が言う。鈴さんとセシリアさんは文句を言うが、鋭い眼光で黙らせる。

「専用機持ちは織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰、ヴァルターだな。では6グループになって実習を行う。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな?では分かれろ」

「訓練機は打鉄とラファールが3機ずつです!早い者勝ちですよ!」

その言い方ではまずいです、織斑先生。ほら、男のところに集まってきた。

「この馬鹿者どもが、、。出席番号順に1人ずつ各グループに入れ!順番はさっき言った通りだ。次にもたつくようなら今日はISを背負ってグラウンド100周させるからな!」

そう言った瞬間、今までの行動が嘘のような機敏さで動く生徒。はじめからそうしましょうよ。

「ヴァルター君、よろしくね!」

そんなことを言ってくる生徒。ちなみにラウラは・・・やっぱりか。軍との温度差に困惑している。いや、呆れているのか。急いでラファールを取ってきて、ラウラに意識を向ける。

「ラウラ」

「フェルト、なんだこいつら。お前から聞いてはいたが、予想以上に兵器を扱っている自覚がないぞ。ISをファッションか何かと勘違いしているのではないか?」

プライベート・チャネルで話す。そう。自覚がないのだ、この人達。その手で簡単に命を奪える自覚が。しかし、それを今この場で指摘しても仕方がないので、事故のないようにしっかりと見張って教えるようにする。

「ISに触れて3ヶ月も経っていないんだ。それでも意識が低すぎる気もするが、仕方がないだろう」

「だが、これではな・・・」

「事故が起こったら私達の責任になる。厳しくやろう」

「・・・そうだな」

 

私とラウラは軍属の経験しかないため、どうしてもふざけることを許せない。弟君の班では何やら馬鹿なことをしているようだ。どうして連続して立ったままの状態でISから降りる。あ、織斑先生が行った。私たちの班はただただ真面目にやらせる。ふざけるようなら罰を与えることを告げて。こうして、私とラウラの班では、無駄な会話もなく、ただ有意義な時間が過ぎていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では午前の実習はここまでだ。午後は今日使った訓練機の整備を行うので、各人格納庫で班別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散!」

訓練機を片付けて格納庫でラウラと少し話した後、更衣室まで歩く。当然場所が違うので、途中までだが。昼食を一緒に食べることを約束し、分かれる。更衣室には誰もおらず、弟君の着替えもないので、先に行ったのだろう。私は着替えて少し待つ。シャルル・デュノア君が来た。

「どうも、デュノア君。少し時間いいですか?」

「う、うん?何かな?ヴァルター君」

「今晩時間取れますか?」

「え?うん。大丈夫だけど」

「でしたら、そうですね。午後8時くらいに校舎端の音楽室まで来てください。少し話がありますので」

「?わかった」

これでよし。あの疑問を聞かなくては。

 

 

 

廊下でラウラと合流して、食堂へ向かう。隣にラウラがいるだけでこんなにも見える世界が違うのか。初めて知った。

食堂にて、隅の丸テーブルに座って食事を開始する。癖で10分以内に食べ終えてコーヒーを飲んでいると、ラウラが聞いてきた。

「フェルト、私が居なくて寂しかったか?」

「もちろん、寂しかったさ。ラウラは?」

「寂しかったに決まっているだろう」

そう言って笑い合う。ああ、今日は久しぶりに笑った。

「そうだ、私はお前と一緒の部屋に住むことになったからな。よろしく頼む」

「了解。ラウラはいつ日本に着いたんだ?」

「今朝着いてそのままここに来たんだ。お前に知らせなかったのは、まあ、なんだ。クラリッサが言っていた、好きな人にはいたずらしたくなる、あれだ」

顔を赤くしながら言っても、可愛いだけだぞ?

それから、黒兎隊のことやハーデン=ヴュルテンベルク駐屯地のことを聞いた。ブルーノ中将が男性の不満をうまくまとめているそうだ。最近は男性軍人の解雇の件数も減っているらしい。夏季休暇には帰ろうか。近いうちに連絡を取ろう。

そろそろ午後の授業が始まる。そんな時間になるまで話していた。今晩の音楽室には午後7時から行く。どうも、ラウラにも見せたいものと、デュノア君に聞きたいことがあるらしい。さて、何だろうか。

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